Introduction to CAE for Strength Analysis: Learn from the Basics to Avoid Failure

2025年9月19日

 

ここでは 機械設計における 「強度解析の基本知識」 notes.

 

私自身、機械設計者として強度解析を学び始めた頃、専門用語の多さや、どこから手をつければ良いのか分からず戸惑うことがよくありました。  特に「強度解析 CAE」で検索して出てくる多くの解説サイトでは、ある程度の知識が前提で話が進むことがあり、初心者にとっては少し難しい と感じるかもしれません。

 

現在は機械の設計をしていく中で、個部品の強度計算はもちろん、架台となるフレームや歩廊、ホイストレールの強度計算など、お客様からの依頼に合わせて出来る範囲で解析を掛けて情報を提供する仕事もしています。(出来る範囲というのはPCスペックやCADアドインタイプの解析でやれる範囲という意味)

 

この記事では、過去の私と同じような悩みを持つ方に向けて、他のサイトでは省略されがちな「そもそもCAEとは何か?」という基礎の基礎から、初心者がつまずきやすい専門用語の意味まで、一つひとつ丁寧に解説していきます。  強度解析の基本的な考え方から、具体的な方法、実務的な考え、さまざまな解析の種類、そして適切なソフトウェアの考え方まで、強度解析の第一歩を踏み出すための 基本知識を網羅 The company is doing so.

 

まず、強度解析とCAEの基本的な概念とその重要性を理解し、最終的には 解析で失敗や後悔をしないための実践的な知識 を身につけるという流れで、一歩ずつ確実に学べるように構成しています。

Contents
  1. 強度解析 CAEとは?初心者が知るべき基礎知識
  2. 強度解析 CAEの基本的な方法と3つのプロセス
  3. 目的で選ぶ強度解析 CAEの代表的な解析種類
  4. 強度解析 CAEの結果を正しく評価する指標
  5. 失敗しない強度解析 CAEのための実践知識

強度解析 CAEとは?初心者が知るべき基礎知識

この章では、強度解析とCAEの基本的な概念について解説します。  なぜ今CAEが重要なのか、そして解析の根底にある理論はどのようなものなのかを理解していきましょう。

 

CAEがものづくりを変える理由

CAEとは「Computer Aided Engineering」の略で、日本語では「コンピュータ支援設計」と訳されます 。  これは、コンピュータの計算能力を活用して製品の性能を仮想的に評価・予測する技術体系のことです。  物理的な試作品を製作する前に、コンピュータ上に作成したデジタルモデルで性能を検証できるため、現代の製品開発において中心的な役割を担っています。

 

この技術は、もともと航空宇宙分野のような最先端領域で発展しましたが、現在では自動車、家電、医療機器に至るまで、あらゆる産業で活用されています 。  加えて、私たちが日常的に目にする製品だけでなく、ものづくりを支える現場の安全性向上にも貢献しています。

 

例えば、工場内で稼働する生産設備の架台や、作業員が安全に移動するための点検歩廊、重量物を吊り下げるホイストレールなどです 。 これらの構造物は、万が一破壊すれば重大な労働災害に直結する危険性をはらんでいます。  そのため、 労働安全衛生法やクレーン等安全規則で定められた強度基準 を満たしているかを確認するためにも、強度解析を用いて事前に安全性を徹底的に検証する動きが広がっており、製品開発の枠を超えて、働く人々の安全を守る技術としてもその重要性を増しています 。

 

 

強度解析で製品の安全性を検証する

強度解析は、CAEが扱う数多くの解析分野の中でも、特に基本的なものの一つ です。  これは、製品や部品に力が加わった際に、それが破壊したり、過度に変形したりしないかを確認するための解析を指します 。

 

例えば、橋の設計では、通行する車両の重さや風の力に耐えられるかを計算します。  また、スマートフォンの設計では、誤って落としてしまった際の衝撃に耐えられるかを検証します 。  このように、製品が使用される環境で想定される様々な力に対して、十分な強度と剛性を持ち、安全性を確保できるかを事前に予測することが、強度解析の主な目的 It is.

 

 

シミュレーションで試作コストを削減

シミュレーションとは、現実の現象をコンピュータ上で模擬実験すること です。  強度解析におけるシミュレーション は、設計した部品の3Dモデルに、仮想的な力や圧力を加えて、どこに力が集中し、どのように変形するかを計算します。

 

従来、このような検証は物理的な試作品を何度も作って実験を繰り返すことで行われていました。  しかし、試作品の製作には多大な時間と費用がかかります 。  例えば、自動車の衝突試験を一度行うだけでも、莫大なコストが発生します 。 CAEによるシミュレーションは、これらの物理的な実験の多くを代替、あるいは削減することを可能 にします。

 

これにより、開発プロセスの初期段階で設計上の問題点を発見し、修正することが可能になります。  このアプローチは「フロントローディング」と呼ばれ、開発の後工程での大幅な手戻りを防ぎ、結果として開発期間の短縮と劇的なコスト削減を実現するのです 。

 

 

強度解析をするために必要なソフトウェアとは?

これから強度解析を始めようとする際、「どのソフトウェアを選べば良いのか」という疑問は多くの人が抱えるものです。  市場には多種多様なソフトウェアが存在しますが、大きく分けると「3DCADにアドインされたシミュレーションツール」と「シミュレーション専用ソフト」の2種類があります。  どちらを選ぶべきかは、解析の目的や頻度、そして扱う問題の複雑さによって異なります。

 

3DCADアドイン型シミュレーションツール(設計者CAE)

これは、普段使用している3DCADの操作画面上で、そのまま強度解析を行えるようにしたツール です。  設計者が設計プロセスの延長線上で手軽に解析を実施することを目的としているため、「設計者CAE」とも呼ばれます。

 

代表的なソフトウェアとしては、多くの企業で導入されている3DCAD「SOLIDWORKS」に搭載されている「SOLIDWORKS Simulation」が挙げられます 。(ちなみに私はこれです)

  • メリット:
    • 操作の習得が容易:普段使い慣れたCADのインターフェース上で操作できるため、学習コストが低いのが最大の利点です。
    • 設計との連携がスムーズ:設計変更が解析モデルに即座に反映されるため、「設計しては解析し、結果を見てまた設計を修正する」という試行錯誤のサイクルを高速に回せます。
    • 導入のハードルが低い:設計者CAEは、設計の初期段階で大まかな性能を把握し、致命的な設計ミスをなくすことを主眼としています。そのため、比較的安価なパッケージから始められることが多いです。
  • デメリット:
    • 機能の制限:専用ソフトに比べると、解析できる現象が限られる場合があります。特に、材料が大きく変形する「非線形解析」や、複雑な接触条件を扱う解析は、機能が限定的であったり、上位パッケージでしか利用できなかったりします 。
    • 解析精度と計算速度: 高度で複雑な問題を解く場合、専用ソフトに搭載されている高性能な計算エンジン(ソルバー)に比べて、計算に時間がかかったり、精度が及ばなかったりする可能性があります。

 

シミュレーション専用ソフト(専門家CAE)

こちらは、強度解析をはじめとする様々な物理シミュレーションを行うことに特化した、高性能なソフトウェアです。解析を専門に行うエンジニアや研究者が使用することが多いため、「専門家CAE」とも呼ばれます。

この分野で世界的に高いシェアを誇るのが「Ansys Mechanical」です 。

  • メリット:
    • 高度で広範な解析機能:線形解析はもちろん、大規模な非線形解析、動解析、疲労、熱、流体、電磁場など、非常に幅広い物理現象を高い精度でシミュレートできます 。
    • 信頼性の高いソルバー:長年の研究開発によって培われた計算エンジンは、複雑で収束しにくい問題でも安定して解を導き出す能力に長けています。
    • カスタマイズ性:解析プロセスを自動化するスクリプト機能など、熟練者がより高度な使い方をするための拡張性も備えています 。
  • デメリット:
    • 操作の習得が難しい:高機能である反面、操作は複雑で、習得には専門的な知識とトレーニングが必要です。
    • 高価である:一般的に、CADアドイン型ツールに比べてライセンス費用は高額になります。
    • CADとの連携:近年は連携機能も向上していますが、設計変更を反映させる際に、CADと解析ソフト間でデータのインポート・エクスポート作業が別途必要になる場合があります。

 

どちらを選ぶべきか?

どちらのソフトウェアが優れているというわけではなく、目的によって最適な選択は変わります。

  • 設計者CAEが向いているケース:
    • 設計者自身が、設計の初期段階で強度不足などの基本的な問題がないかを手軽に確認したい。
    • 扱う製品が主に線形静解析の範囲で評価できる。
    • まずはコストを抑えてCAEを導入し、その効果を確かめたい。
  • 専門家CAEが向いているケース:
    • ゴムや樹脂部品の大きな変形、部品同士の複雑な接触など、高度な非線形解析が必須である。
    • 解析結果に非常に高い精度と信頼性が求められる。
    • 社内に解析を専門に行う部署や担当者がいる。

まずは設計者CAEから始め、そこで解決できない、より高度な問題が出てきた場合に専門家CAEの導入を検討するというステップを踏むのが、多くの企業にとって現実的なアプローチと言える でしょう。

 

 

解析の基本原理である有限要素法

多くの強度解析ソフトウェアが採用している計算手法が、有限要素法(FEM:Finite Element Method)です。  これは、複雑な形状を持つ解析対象を、三角形や四角形といった単純な形状の小さな要素(エレメント)の集合体として近似する手法です 。

 

コンピュータは、複雑な形状のままでは全体の挙動を一度に計算できません。  そこで、この単純な要素一つ一つの挙動を、材料力学の基本方程式に基づいて計算します。そして、それらすべての要素の計算結果を結合し、連立方程式を解くことで、構造物全体の変形や応力の分布を求めるのです。

 

この「分割して統治する」という考え方が有限要素法の本質であり、これにより、どんなに複雑な形状の部品であっても、その強度を高い精度で予測することが可能になります。

 

 

理論を学ぶための手計算との関係性

CAEソフトウェアは非常に強力ですが、それはあくまで計算ツールです。  正しい結果を得るためには、設計者自身が材料力学の基本的な知識を持っていることが不可欠です。  特に、単純な形状であれば、手計算によっておおよその応力や変形量を求めることができます。

 

手計算を行うことには、二つの大きなメリットがあります。  一つは、CAEの解析結果が妥当な範囲に収まっているかを確認する「検算」の役割です。  もし、手計算の結果とCAEの結果が大きくかけ離れている場合、CAEのモデル設定に何らかの間違いがある可能性を示唆します。

 

もう一つは、物理現象への理解を深めることです。  手計算を通じて、どのパラメータが結果に大きく影響するのかを体感的に理解できます。  この理解は、CAEで適切な境界条件を設定したり、結果を正しく解釈したりする上で、非常に重要な土台となります 。

 

 

強度解析 CAEの基本的な方法と3つのプロセス

強度解析を実際に行う際の作業は、大きく3つのプロセスに分けられます。  この一連の流れを理解することは、解析を体系的に進め、信頼性の高い結果を得るための第一歩です。  ここでは、それぞれのプロセスがどのような役割を担っているのかを解説します。

 

解析準備を行うプリプロセスの重要性

プリプロセスは、解析を実行する前の準備段階であり、現実の物理問題をコンピュータが理解できる形式に変換する作業です 。 この段階は、解析全体の成否を決定づける最も重要なフェーズと言っても過言ではありません。

 

主な作業内容は以下の通りです。

  1. 形状準備:CADで作成した3Dモデルから、解析に不要な微小な穴や角の丸み(フィレット)などを取り除き、形状を単純化します。
  2. メッシュ作成:形状を有限要素法の計算単位である小さな要素(メッシュ)に分割します 。
  3. 材料定義:モデルがどのような材料でできているか、その物理的特性(物性値)を設定します 。
  4. 境界条件設定:モデルがどのように固定され(拘束条件)、どのような力が加わるか(荷重条件)を定義します 。

 

「Garbage In, Garbage Out(ゴミを入れれば、ゴミしか出てこない)」という言葉が示す通り、プリプロセスでの設定が不正確であれば、どれほど高性能なコンピュータで計算しても、得られる結果は無意味なものになります。

 

 

複雑な計算を実行するソルバーの役割

ソルバーは、プリプロセスで定義された情報に基づいて、実際に計算を実行するプログラムです 。  その中核では、有限要素法に基づいて立てられた膨大な数の連立一次方程式を解いています 。

 

この計算プロセスは、基本的にはソフトウェアが自動で行うため、ユーザーが直接操作することはほとんどありません。  ユーザーは計算の実行を指示し、終了するのを待つだけです。  しかし、計算が収束しない、エラーで停止するといった問題が発生した場合は、プリプロセスの設定に立ち返り、メッシュや境界条件を見直す必要があります 。

 

 

結果を可視化するポストプロセス

ポストプロセスは、ソルバーが算出した膨大な数値データを、人間が直感的に理解できる形に可視化する段階です 。 計算結果は、そのままでは単なる数字の羅列に過ぎません。

 

ポストプロセッサは、これらの数値を以下のような形式で表示します。

  • コンター図:応力の大きさや変位量などを、色の違いで表現した図。危険な箇所が一目で分かります。
  • 変形図:荷重によってモデルがどのように変形するかを、元の形状に重ねて表示した図。変形を誇張して表示することも可能です。
  • グラフ:特定の箇所の応力や変位の変化をグラフで示します。
  • アニメーション:時間変化を伴う解析(動解析など)で、モデルの動きを動画で確認します。

 

設計者は、これらの可視化された結果を見て、設計上の問題点はないか、強度は十分かといった工学的な判断を下し、必要であれば設計変更の検討を行います。

 

 

解析精度を左右するメッシュの品質

As mentioned above,メッシュ作成はプリプロセスの重要な作業の一つですが、その品質は解析結果の精度に直接的な影響を与えます 。  しかし、このメッシュ作成は、多くの設計者が頻繁にエラーに遭遇する、いわば 最初の関門とも言える工程 It is.

 

 

なぜメッシュエラーは起こるのか?

メッシュエラーの主な原因は、CADモデルの形状の複雑さにあります。 特に、以下のようなケースでエラーが発生しやすくなります。

 

  • 微小な形状(フィーチャー):設計上は必要でも、解析の全体挙動に影響しない非常に小さなフィレット(角の丸み)や面取り、刻印されたロゴなどは、極端に小さなメッシュを生成しようとしてエラーの原因となります。
  • 複雑な曲面:滑らかに見える曲面でも、データ上は多数の微小な面の集合体であることがあり、メッシュ生成アルゴリズムがうまく処理できない場合があります。
  • アセンブリモデル:複数の部品が組み合わさったアセンブリモデル、特にボルトやナットのような標準部品が含まれていると問題が複雑化します。部品間の微小な隙間や干渉、ボルトのねじ山のような詳細形状が、メッシュ生成を著しく困難にするのです 。

 

メッシュ作成の実際:モデルの簡略化(ディフィーチャリング)

そこで、高品質なメッシュを効率的に作成するために不可欠な作業が、解析モデルの「簡略化」、または「ディフィーチャリング」と呼ばれるプロセスです。  これは、解析の目的に影響を与えない範囲で、CADモデルから不要な形状を意図的に取り除く作業を指します。

 

  • フィレットや穴の除去:応力評価の対象外である部分の小さなフィレットや穴は、大胆に削除します。これにより、メッシュの要素数を削減し、計算時間を短縮する効果もあります。
  • 部品の統合・単純化:ボルト締結部を例に取ると、ボルトとナットの複雑な形状をそのままモデル化するのではなく、梁要素や単純な円柱で模擬したり、あるいはボルトの存在を拘束条件で表現したりすることで、大幅にモデルを単純化できます。

 

この簡略化は、どこまで単純化して良いかという工学的な判断が求められるため、経験が重要になる部分です。

 

 

実践的なメッシュ作成テクニック

モデルの簡略化と並行して、メッシュの切り方にもいくつかのテクニックがあります。

 

  • 局所的なメッシュ分割:応力が集中することが予想される角部や穴の周りなど、詳細に結果を見たい領域のメッシュだけを局所的に細かくします。これにより、計算コスト全体を抑えつつ、重要な部分の解析精度を高めることができます 。
  • 要素タイプの選択:メッシュを構成する要素には、四面体(テトラ)要素や六面体(ヘキサ)要素などがあります。四面体要素は複雑な形状にも自動で対応しやすい反面、同じ要素数であれば六面体要素の方が一般的に精度が高いとされています。可能な限り六面体要素でメッシュを作成し、難しい部分のみ四面体要素を使うといった使い分けも有効です。
  • 品質指標の確認:多くのCAEソフトには、メッシュの品質を評価する指標(アスペクト比やヤコビアン比など)を確認する機能があります 。 エラーが出なくても、品質の悪い要素(細長かったり、潰れていたりする要素)が多く含まれていないかを確認し、必要に応じて手動で修正する作業が、結果の信頼性を高めます。

 

 

現実を模倣する境界条件の正しい設定

境界条件の設定は、解析モデルが現実世界でどのような状態に置かれているかを定義する、極めて重要な作業です 。  ここでの設定が物理的に妥当でなければ、解析結果は現実とかけ離れたものになってしまいます 。

 

拘束条件

モデルが動かないように固定する方法を定義します。  これが不十分だと、力を加えた際にモデルがどこかへ飛んで行ってしまい、「剛体運動」というエラーで計算が停止します 。  例えば、「ボルトで完全に固定されている」「ピンで回転だけは自由に支持されている」といった現実の支持状態を、ソフトウェア上の機能で模擬します。

 

荷重条件

モデルにどのような力が作用するかを定義します。  「面に均一な圧力がかかる」「特定の一点に力が集中する」「部品全体の自重を考慮する」といった、製品が実際に受ける負荷を正確にモデル化する必要があります 。

境界条件の設定は、単なるソフトウェアの操作ではありません。現実の複雑な物理現象を、いかに適切に単純化し、モデルに落とし込むかという、設計者の工学的な洞察力が最も問われる部分なのです。

 

 

目的で選ぶ強度解析 CAEの代表的な解析種類

強度解析と一言で言っても、その中には様々な種類の解析手法が存在します。  どのような現象を評価したいのか、その目的に応じて適切な解析種類を選択することが、正確で効率的な設計検証の鍵となります。  ここでは、機械設計の現場で頻繁に用いられる代表的な解析種類について解説します。

 

基本となる線形静解析の概要

線形静解析は、最も基本的で、最も広く利用されている解析手法です 。  その名前の通り、「線形」かつ「静的」な問題を扱います。

 

線形静解析の前提条件

この解析が成り立つためには、以下の3つの大きな仮定があります 。

  1. 材料が線形であること:力と変形量が比例関係(フックの法則)にあり、力を取り除くと完全に元の形に戻る「弾性範囲」のみを扱います。
  2. 変形が微小であること:部品の変形が非常に小さく、変形によって剛性が変化しないと仮定します。
  3. 荷重が静的であること:荷重はゆっくりと加えられ、時間的に変化しないと仮定します。 衝撃や振動のような動的な力は考慮しません。

多くの機械部品は、この線形静解析の範囲内で安全に機能するように設計されるため、強度解析の第一歩として非常に有用です。  計算コストが比較的低く、安定した結果を得やすいというメリットもあります 。

 

 

大変形や接触を扱う非線形解析

現実の世界では、線形静解析の前提条件が成り立たない現象も数多く存在します。  そのような場合に用いられるのが非線形解析です 。
非線形解析が必要となる主なケースは、以下の3つです 。

 

  1. 材料非線形:材料が降伏点を越えて元に戻らない変形(塑性変形)をする場合や、ゴムのように元々力と変形が比例しない材料を扱う場合です 。 金属のプレス加工や樹脂部品の変形などが該当します。
  2. 幾何学的非線形:薄い板が大きくたわんだり、細長い棒が圧縮されて折れ曲がったり(座屈)するように、変形量が大きく、それによって剛性が変化する場合です 。
  3. 境界条件非線形:部品同士が接触したり、離れたり、摩擦を伴って滑ったりする挙動を扱う場合です 。  歯車の噛み合いやコネクタの挿抜など、複数の部品で構成されるアセンブリの解析では不可欠です。

 

非線形解析は、より現実に近い挙動をシミュレートできますが、計算に時間がかかり、設定も複雑になるため、専門的な知識が求められます。

 

 

共振を回避するための固有値解析

固有値解析は、これまでの解析とは少し異なり、外から力を加えません。  その代わりに、構造物が持っている「揺れやすさの個性」を調べる解析です 。  具体的には、その物体がどのような周波数で振動しやすく(固有振動数)、その際にどのような形で揺れるか(固有モード)を算出します 。

 

最大の目的は、危険な「共振」という現象を避けるためです 。  モーターやエンジンなど、外部からの振動の周波数が、部品の固有振動数と偶然一致してしまうと、揺れが急激に増幅され、大きな騒音や最悪の場合は破壊につながります。

 

自動車のエンジン周りの部品や、橋、航空機の翼など、振動が性能や安全性に直結する製品の設計において、この固有値解析は極めて重要です 。

 

 

 

温度変化による熱応力解析

製品が使用される環境で、大きな温度変化にさらされる場合、熱の影響を無視することはできません。  例えば、自動車のエンジンやブレーキ、電子機器の内部部品などがこれに該当します 。

 

熱に関する解析は、通常2つのステップで行われます。

  1. 熱伝導解析:まず、発熱部品や周囲の温度条件から、製品全体の温度がどのように分布するかを計算します 。
  2. 熱応力解析:次に、熱伝導解析で得られた温度分布を荷重として与えます。  材料は温度が上がると膨張し、下がると収縮します。  この変形が周囲の部品によって妨げられる(拘束される)と、内部に力(熱応力)が発生します。この熱応力を計算し、部品が破壊されないかを評価します。

 

このように、温度変化が引き起こす変形と応力を評価するのが、熱応力解析の目的です。

 

 

繰り返し荷重に対する疲労解析

一度の大きな力では全く問題ないような部品でも、比較的小さな力が何度も繰り返し加わることで、徐々に目に見えない微小な亀裂が進行し、最終的に突然破壊に至ることがあります。  これが「疲労破壊」です 。

 

疲労解析は、このような繰り返し荷重を受ける部品の寿命を予測するための解析です 。  例えば、回転し続けるシャフトや、走行中に常に振動する自動車のサスペンション部品などが対象となります。

 

この解析では、「S-N線図」と呼ばれる、材料ごとの疲労特性データが用いられます 。  これは、ある大きさの応力(Stress)を何回(Number)繰り返すと破壊に至るかを示したグラフです。  静解析などで求めた部品の応力とS-N線図を照らし合わせることで、その部品がどのくらいの期間、安全に使用できるかを予測します 。

解析タイプ 解決する主要な問い 主要な入力 代表的な適用例 注意点・前提条件
線形静解析 静的な荷重に対し、どれだけ強く、硬いか? 荷重、拘束条件 一般的な構造部品の強度・剛性評価 微小変形、線形材料、静的荷重の3つの仮定が成り立つ場合に限る 。
非線形解析 大変形、接触、材料降伏を伴う挙動はどうか? 非線形材料データ、接触定義 樹脂製スナップフィット、シール部品、金属プレス成形 計算コストが高く、収束しにくい場合がある。専門知識が必要 。
固有値解析 どのような周波数で、どのように振動しやすいか? (荷重は不要)、密度 モーターやエンジンからの振動による共振回避、橋梁の耐風設計 算出される変形は相対的な形状であり、変位量そのものに意味はない 。
熱応力解析 温度変化によって破壊されないか? 温度分布、熱物性値(熱膨張係数など) エンジン排気系部品、電子基板、ブレーキディスク 通常、熱伝導解析で得た温度分布を荷重として適用する2段階の解析となる 。
疲労解析 繰り返し荷重に対して、どのくらいの期間もつか? S-N線図、応力履歴 回転軸、サスペンション、航空機の翼など、振動する構造物 静解析などで得られた応力結果と、材料の疲労特性データ(S-N線図)が必要 。

 

 

強度解析 CAEの結果を正しく評価する指標

解析を実行した後、ポストプロセスで得られる結果を正しく解釈し、設計にフィードバックすることが最終的なゴールです。  ポストプロセッサは様々な指標を可視化しますが、特に強度評価において重要となる基本的な指標について、その意味と見方を5つ 解説します。

 

 

材料の頑張りを示す応力とは

応力とは、物体に外から力が加わった際に、その内部に発生する抵抗力(内力)を単位面積あたりで表したものです 。  単位は通常、MPa(メガパスカル)が用いられます。

 

簡単に言えば、材料がどれだけ「頑張って」外力に抵抗しているかを示す指標です。  応力の値が大きい場所ほど、材料は大きな負荷を受けており、破壊の起点となる可能性が高いことを意味します。  ポストプロセスでは、応力分布がコンター図で色分けして表示され、どこに応力が集中しているかを視覚的に把握することができます。

 

 

荷重による変形量を示す変位

変位は、荷重が加わったことによって、構造物が元の位置からどれだけ移動、または変形したかを示す量です 。  単位は通常、mm(ミリメートル)で表されます。
変位は、結果として最も直感的に理解しやすい指標の一つです。設計においては、主に以下の2つの観点から評価されます。

 

  1. 剛性の評価:製品が過度にたわんだり、変形したりしないかを確認します。例えば、棚板が重さでたわみすぎないか、といった評価です。
  2. 干渉の確認:変形した部品が、周囲の他の部品とぶつかってしまわないか(干渉しないか)を確認します。

 

変形後の形状をアニメーションで確認することで、製品全体の挙動を直感的に理解する助けになります。

 

 

設計の余裕を示す安全率の考え方

安全率は、設計が持つべき「余裕」を数値で示したものです 。  これは、材料が耐えられる限界の強さ(許容応力)に対して、実際に発生している最大の応力がどの程度の割合かを示す指標です。

 

計算式は一般的に「安全率 = 材料の許容応力 ÷ 発生する最大応力」で表されます。

 

例えば、安全率が2.0であれば、設計上想定している荷重の2倍の力が加わるまで、その部品は破壊しないという余裕があることを意味します。  安全率が1.0を下回っている場合は、発生応力が許容応力を超えており、その荷重条件では破壊する可能性が高いことを示します。

 

要求される安全率の値は、製品の重要度や、破壊した場合の人命への影響、使用される環境などを考慮して、設計基準や各種規格 によって定められています。

 

 

降伏を評価するミーゼス応力

ミーゼス応力(von Mises応力)は、物体のある一点にかかる複雑な応力状態(引張、圧縮、せん断の組み合わせ)を、一つの相当応力値(スカラー量)に換算したものです 。

 

ミーゼス応力の役割

この指標は主に、鉄鋼のような延性材料(破壊する前に大きく伸びて変形する材料)が、永久変形を始める「降伏」に至るかどうかを判断するために用いられます 。  具体的には、解析で得られたミーゼス応力の最大値と、その材料の「降伏応力(降伏強度)」という物性値を比較します。  ミーゼス応力が降伏応力を超えていなければ、その部品は弾性変形の範囲内にあり、荷重を取り除けば元の形に戻ると判断できます。

 

注意点

ミーゼス応力は応力の大きさのみを示すスカラー量であり、その力が引張りなのか圧縮なのかという方向の情報を持たないという特徴があります 。  そのため、応力の種類を区別する必要がある場合には、次に説明する主応力と併用することが有効です。

 

 

破壊を評価する主応力

主応力は、物体内部のある点において、せん断応力がゼロになる特別な方向の垂直応力のことです 。  互いに直交する3つの方向が存在し、値の大きい順に最大主応力、中間主応力、最小主応力と呼ばれます。

 

主応力の役割

主応力は、ミーゼス応力とは異なり、力の方向(ベクトル量)と符号を持ちます。  正の値は引張応力を、負の値は圧縮応力を意味します。  この性質を利用して、鋳鉄やセラミックスのような脆性材料(ほとんど変形せずに破壊する材料)の強度評価に用いられることが多いです 。これらの材料は、一般的に引張応力に弱いため、最大主応力の値が材料の引張強度を超えていないかを確認します。

 

ミーゼス応力との使い分け

実務では、まずミーゼス応力のコンター図で応力が高い危険な箇所を大まかに特定し、次にその箇所の主応力を確認して、「引張が原因なのか、圧縮が原因なのか」を詳細に診断するという使い分けが効果的です 。

 

 

失敗しない強度解析 CAEのための実践知識

CAEは設計者にとって強力な武器ですが、その使い方を誤ると、誤った結論を導き、かえって設計の手戻りを増やすことにもなりかねません。この章では、特に初心者が陥りがちな罠を回避し、信頼性の高い解析結果を得るための実践的な知識と心構えについて5つ解説します。

 

 

解析に不可欠な材料特性のデータ

CAE解析において、モデルの形状データと同じくらい重要なのが、そのモデルが何でできているかを示す材料特性のデータです。ソフトウェアは、入力された材料特性に基づいて、力が加わった際の挙動を計算します。したがって、不正確な材料データを用いれば、当然ながら結果も不正確になります 。

 

多くのCAEソフトウェアには、一般的な工業材料のデータベースが付属していますが、特殊な材料を使用する場合や、より高い精度が求められる場合には、材料メーカーが提供するデータシートを参照したり、必要に応じて材料試験を行って物性値を取得したりすることが大切です。

 

 

材料の硬さを示すヤング率

ヤング率は、材料の「硬さ」や「変形のしにくさ」を示す最も基本的な物性値です 。 縦弾性係数とも呼ばれます。

物理的には、材料を引っ張った際の「応力(内部の抵抗力)」と「ひずみ(伸び率)」の関係における、弾性範囲での比例定数を意味します 。  ヤング率の値が大きい材料ほど、同じ力を加えても変形しにくい「剛性が高い」材料(例:鋼鉄)であり、値が小さいほど、変形しやすい「しなやかな」材料(例:ゴム)であることを示します 。

この値は、部品のたわみ量を計算する剛性評価や、固有値解析において極めて重要なパラメータとなります 。

 

 

変形の比率を示すポアソン比

ポアソン比は、材料のもう一つの重要な弾性特性です 。  輪ゴムを引っ張ると、長さが伸びると同時に細くなる現象をイメージしてください。  このように、ある方向に材料を引っ張った(あるいは圧縮した)際に、それと垂直な方向にどれだけ縮む(あるいは膨らむ)か、 その比率を示したものがポアソン比 です 。

ほとんどの材料でこの値は0から0.5の間に収まり、多くの金属材料ではおよそ0.3程度の値を取ります 。  このポアソン比も、ヤング率と並んで、材料の変形挙動を正確にシミュレートするために不可欠な物性値です 。

 

 

偽りの結果を生む応力特異点

応力特異点とは、解析モデル上の特定の点において、理論上、応力が無限大になってしまう現象です 。  これは実際の物理現象ではなく、形状のモデル化に起因する、有限要素法における計算上の問題です。

 

発生原因と見分け方

応力特異点は、主に形状の鋭い角(ピン角)や、点や線で荷重や拘束を設定した箇所で発生します 。  これらの場所では、応力(力÷面積)を計算する際の面積が理論上ゼロに近づくため、応力値が無限に大きくなってしまいます 。

 

応力特異点を見分ける特徴は、その部分のメッシュを細かくすればするほど、応力値が特定の値に収束せず、どこまでも上昇し続けることです 。

 

 

対処法

初心者は、コンター図上で真っ赤に表示されるこの異常に高い応力値を見て、設計に問題があると誤解しがちです。  しかし、これは計算上のアーティファクト(見かけ上の結果)であるため、その点の応力値自体を評価してはいけません。  対処法としては、特異点から少し離れた場所の応力値で評価するか 、設計上可能であれば、原因となっている鋭い角に小さな丸み(フィレット)を付けることで、特異点の発生を回避します 。

 

 

信頼できる強度解析 CAEのための精度向上

信頼できる解析結果を得るためには、ソフトウェアの操作技術だけでなく、いくつかの重要な心構えがあります。

 

検証と妥当性確認

解析結果は常に疑いの目を持つことが大切です。  可能であれば、手計算の結果や、過去の類似製品の実験データと比較し、結果が妥当な範囲にあるかを確認する習慣をつけましょう(妥当性確認)。  また、メッシュの細かさを変えて再計算し、結果が大きく変動しないかを確認する(メッシュ収束性の確認)ことも、結果の信頼性を担保する上で有効な手段です 。

 

シンプルなモデルから始める

初心者のうちは、いきなり複雑なモデルや解析に挑戦するのではなく、まずは単純なモデル、単純な解析(線形静解析)から始めましょう。  そこで得られた知見を積み重ねていくことが、より高度な解析を成功させるための近道です。

 

 

境界条件を再検討する

解析結果が直感や経験と大きく異なる場合、その原因の多くは境界条件の設定ミスにあります 。  モデルが本当にそのように固定されているか、荷重は正しくかかっているか、もう一度現実の状況と照らし合わせて、設定を吟味することが大切です。

症状 / エラーメッセージ 考えられる原因 推奨される対処法
「剛体運動 (Rigid Body Motion)」エラーで計算が停止する 。 拘束条件が不十分で、モデルが自由に動ける(並進または回転)状態になっている。 モデルがXYZの並進と回転の6自由度すべてで固定されるよう、拘束条件を見直す。まずは完全に固定してみて、計算が流れるか確認する。
最大応力が非現実的なほど高く、メッシュを細かくするとさらに上昇し続ける 。 鋭い角や点荷重による応力特異点が発生している。 特異点そのものの応力値は無視し、少し離れた位置で評価する 。可能であれば、CADモデルに戻り、原因となっている角に小さなフィレットを追加する 。
非線形解析で計算が収束しない 。 接触設定が不安定、時間ステップが大きすぎる、材料モデルが不適切など、複数の要因が考えられる。 時間ステップを小さくする。接触定義を見直す。より単純な問題設定に戻して、徐々に複雑化させる。
変形はもっともらしいのに、応力がほぼゼロになる。 荷重の大きさが間違っている、または単位系の不整合(例:NとkNの混同)。 すべての単位系(形状、材料、荷重)が整合しているか再確認する。荷重の値を手計算などで検算する 。

 

 

信頼できる強度解析 CAEのための精度向上

以下に今回の記事でまとめたポイントを箇条書きします。

 

  • CAEは物理現象をコンピュータ上で模擬する技術
  • 強度解析は製品の安全性と信頼性を確保するために不可欠
  • シミュレーション により開発初期段階で問題を発見しコストを削減できる
  • 解析の基本原理は複雑な形状を単純な要素に分割する有限要素法
  • 手計算はCAE結果の妥当性確認と物理現象の理解を深めるために重要
  • 解析プロセスは準備(プリプロセス)、計算(ソルバー)、結果評価(ポストプロセス)の3段階で構成される
  • プリプロセスでのメッシュ、材料特性、境界条件の設定が結果の信頼性を左右する
  • 目的に応じて線形静解析、非線形解析、固有値解析、熱応力解析、疲労解析などを使い分ける
  • 線形静解析は変形が小さく材料が弾性範囲にある場合の基本解析
  • 非線形解析は大変形、材料の塑性変形、部品間の接触など、より現実に近い現象を扱う
  • 結果の評価では応力、変位、安全率といった指標を総合的に判断する
  • ミーゼス応力は延性材料の降伏評価に、主応力は脆性材料の破壊評価や応力の方向を調べる際に用いる
  • ヤング率と ポアソン比 は材料の変形挙動を決める基本的な物性値
  • 応力特異点は計算上の問題であり、その点の応力値で評価してはならない
  • 常に結果を疑い、手計算や実験データとの比較検証を行う姿勢が精度向上につながる

 

That's it.