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・ボルト(ねじ)

ボルトの締め付けトルクの設定範囲




今日は「ボルトの締め付けトルクの設定範囲」についてのメモです。

一般的に、ボルトの締め付けトルクが図面や手順書に記載されている場合、複数の締め付けトルクで範囲が指定してあるワケではなく、一定の数値が多いと思います。しかし、中にはそのボルト締め付けトルクに範囲を持たせたい場合もあるかもしれません。その場合、どこまでをボルトの締め付けトルクとして狙えばよいでしょうか。今日は、ボルトの締め付けトルクの設定範囲についてメモをしておきます。

エピソードを読む

先日、あるエンジニアとの話の中で「締め付けトルクを管理する事は大切だが、その軸力を確実に把握する事は難しい」という話をしていました。「確かにそうですよね、ねじ締結を過剰に評価する必要はないですが、実際に締め付けたねじがどんな状態であるかくらいは把握の仕方を知っておくべきですよね」と。そんな話が出ました。

私は過去に、ある製品に組み込まれるサブアセンブリを納品する会社で働いていた事があります。その時に、製品に組み込まれたネジが途中で外れたという不具合が起きたのです。そのサブアセンブリの組立手順書には「このネジを締め付けるのは〇〇Nm」との記載がありました。もちろんこの締め付けトルクで締めてあれば問題がないハズ。

逆に言うと、締め付けトルクを決め付けている形で、そこからどれだけずれたら駄目なのか、そこが曖昧でした。

その故障をきっかけに、良かれと思って決めていた品質管理項目(数値)に対してお客様から厳しい(あるいみしつこい)問い合わせが止まりませんでした。ねじの締め付けは、トルクレンチで締め付けた証拠ををどう記録していくかであったり、それら機器の校正要求についてだったり、どれだけ締め付けトルクが落ちたらネジが緩むのか試験しろだったり・・・ねじの締結は曖昧な部分が多い。しかし、そんな時こそねじ締結の設計が妥当かのチェックをすると良いと思い、設計の視点から評価しなおしました。

その時に設計の妥当性を確認し、結果的に単なる締め忘れであったと証明した時のメモになります。

 

ボルトの締め付けトルクの範囲

締め付けトルクの範囲を把握するために、 まず、下の図をご覧ください。

ボルトの締め付けトルクの設定範囲

この図は何を表しているかというと、ボルトの締め付けトルクの設定範囲は、固定に必要な軸力+製品使用上の軸力換算負荷と、締め付け過ぎによる部品の破壊、もしくは耐力軸力の間であれば基本的には良いという図です。

 

部品の破壊とは

  • 締め付けが強すぎる→締結された部品の陥没、変形などの破壊

 

耐力軸力とは※耐力軸力は勝手に作った名称です

  • 締結に使用する材料の耐力における最大軸力
  • 有効な噛み合い深さが浅い→タップ破壊
  • 有効な噛み合い深さが深い→ネジ首破壊  など

 

よって、部品の破壊される締め付けトルクと、耐力軸力は設計の仕方により入れ変わる部分だと思います。必要トルクから限界の締め付けトルクまでの「許容範囲内」で、更に安全率を設定して締め付ける必要があります。このように、把握、設定してください。

 

色々出ている一般的な締め付けトルクは何者か。

一般的に出ている締め付けトルクはそのネジに対しての値です。設計において、固定する手段は様々。その中でボルトを利用する際に必要な軸力を把握し、その設計に使ってよい材料を加味した上でどんなネジを利用するか、そしてそのネジは一般的な締め付けトルクで締めた場合どれくらいの軸力が得られるか。だとしたら何本必要か、、、などの考えになります。あくまで目安ですね。

たまに、設計を間違えている場合、そのボルトの一般的な締め付けトルクでしめたら部品が陥没破壊してしまったとかありますので、必ずしもそのトルクで締めなければいけないものでもないです。全ては設計次第ですね。

 

最後に

今回の記事は、私の過去の経験や設計品質の考え方を考慮した私個人の考えですので、違う考えの方もいらっしゃるかもしれません。そこはご理解お願いいたします。ねじの締め付けはかならずバラつきますので「締め付けは一定値の◯◯Nmじゃなきゃダメ」というルールを守る=軸力も一定であるという保証ではなく、限りなく締結の品質を安定させ、ばらつきを抑えるためには必要といったところでしょうか。

特に、製品設計においては、ネジが支配する空間は極力減らしたいと思いますので、適切やボルト使用は重要なポイントだと思います。

以上です。

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