セルフロックの効くギヤ機構について




今日は「セルフロックの効くギヤ機構について」のメモです。

 

機械設計では重量物を縦一方向に上昇させたり、回転させるなどの機構を考えますが、その時には搬送物が落ちたり、回転が逆戻りして危険な状況になることがあります。 そうならないために私たち設計者はセルフロックという自動で逆回転できない機構を選択することがあります。

 

この記事ではそのセルフロック機能を持つ機構の代表とその特徴をメモしておきます。

セルフロックについて

ギヤ機構のセルフロックとは、具体的にはギヤが逆回転しないための仕組みで、入力側から回せば出力側は回るけれど、出力側から回しても入力側が回らないことを指します。 これにより意図しない動きや逆回転が防止されます。

 

 

セルフロックの効くギヤ機構

セルフロックの効くギヤ機構には以下のようなものがあります。

 

① ウォームギヤ構造

ウォームギヤは螺旋状のウォーム(ねじ状のギヤ)とウォームホイール(歯車)を構成する機構です。このギヤは高い減速比を実現し、特定の条件下ではウォームホイールがウォームを逆方向に駆動できないため、セルフロック機能を持ちます。

 

このウォームギヤのセルフロックに付いてギヤメーカーではこのように記載されています。

セルフロック性について:住友重機械工業株式会社

逆転効率が、ゼロまたはマイナスである時、低速軸から高速軸を駆動することは出来ません。これをセルフロックといいます。必要に応じて、セルフロック性のチェックを行ってください。尚、セルフロック性は、通常、静止状態における低速軸からの駆動不可性を表します。但し、セルフロック性は、歯車噛合い部分の摩擦の状態に影響されるため、逆転防止を保証することではありません。

セルフロック:協育歯車工業株式会社

ウォームホイールからウォームを駆動できない現象を指します。理論上進み角 4°以下でセルフロックとなります。

セルフロック:青木精密工業株式会社

ウォームギヤの特長であるセルフロック(自動しまり)は、減速機が停止している状態で、出力側から回り出さない(逆転しない)ことです。ウォームの進み角が摩擦角以下である場合、理論上セルフロック効果があります。しかし、潤滑の状態、歯面の状態(面粗さ、なじみの程度)、衝撃や振動による瞬間的な変化、その他の摩擦抵抗などにより不確実な場合もあります。そこで弊社においては、進み角4°以下をセルフロックとしております。

このように、ウォームギヤのセルフロックは効果があるという一方で、効果が薄い・効果がないものも存在するのでウォームギヤ=セルフロックが機能するとは言い切れません。

 

このウォームギヤは単体で購入できるので設計に合わせて選択してください。(探すなら:協育歯車工業小原歯車工業など)

 

 

② ラチェットギヤ構造

ラチェットギヤは一方向にのみ回転する構造になっているので、逆回転は基本的に起こりえません。 ラチェット機構を使うのは工具のような使い方をするものが多いですので、機械に組み込むことは多くは有りませんがセルフロックとして確実に機能します。

 

このラチェットも市販化されているものを購入して使うことができます。(探すなら:小原歯車工業(SRTシリーズ)など)

 

 

③ 高減速比構造

セルフロックというのは摩擦抵抗・摩擦角・外部の振動によって不確実なものですが、高減速比のギヤ機構もセルフロック性のある機能をもつと考えられます。

 

減速機構では、通常入力側に小さな力を加えても出力側に大きな力が伝わるのに役立ちますが、逆に出力側から力を加えるとその力が入力側に伝わる際に非常に小さくなるので実際に回すのに必要な力が大きくなります。 慣性の影響もあります。減速比が高いと、入力側の回転部品の慣性が大きくなりますので、出力側から回転させる場合には、この慣性を乗り越える必要があるため、回しづらさが増します。

 

モーター+減速機の構造で、本来なら出力側から回しても回ってしまうはずなのに、モーターに付属する小さな電磁ブレーキで止められてしまうくらい逆回転の場合は力が下げられます。

 

 

セルフロックが組み込まれている機器

スクリュージャッキ(一部を除く)

ウォーム歯車と台形ねじの構成で作られているスクリュージャッキは、ストローク内のどの位置でもセルフロック機能が働きますが、スクリュージャッキでも高速化を狙ったハイリード品にはセルフロック機能がないので使用する際はセルフロック機能があるか確認が必要です。

 

 

ウォーム減速機

セルフロック性を持つウォームギヤを組み込んである単体の減速機(ギヤボックスも市販化されている)は停止している状態で出力側から逆転しない機能があります。

 

ここも同じで、ウォーム減速機を使う場合もすべてがセルフロック機能を持っているわけではなく、潤滑の状態、歯面への衝撃や振動による瞬間的な変化もセルフロックが不確実な場合もあるので、提供メーカーにて型式ごとにセルフロックが機能するかを確認する必要があります。

 

 

以上です。