ケーブルベアの長さ・リンク数・キリの良い設置寸法、開口サイズの決め方

2017年9月1日




 

今日は「ケーブルベアの長さ・リンク数・キリの良い設置寸法、開口サイズの決め方」についてのメモです。 ケーブルベアの選定・設置において、メカ設計側が注意する基本的な事は2つあります。

 

  1. ケーブルベア内のケーブル・ホース達の密度を上げない
  2. 適切な取付をする

 

この2つが基本的な考えとなりますが、 〔2〕の適切な取付を行うためには、動くストロークに対して余裕を見る そして、取付高さを若干高くする というのがあります。 これは一般的ではあるものの、ケーブルベアを初めて扱うような方の場合、理解するまで少し時間が掛かります。

 

どうやってケーブルベアの寸法(リンク数)を決めれば良いか。 そして CAD上ではどのように書けば良いか。 今日は、その計算方法と寸法決めにあたっての補足してメモしておきます。

 

※この記事では全品種適用の一般的なケーブルベア設置についての計算であり、下記特殊利用の計算は含みませんので宜しくお願いいたします

  • 支持ローラ付きの設置
  • 支持プレート付きの設置
  • ロングスパン仕様

ケーブルベア寸法の計算

ケーブルベアを図面で表現すると人によっては「動く前と動いた後のケーブルベアの形状が、どこか対称的ではない」という事があります。(正確には対称にはなりませんが)

 

これは適切な計算が出来ていないためですが、 設計上無駄なくケーブルベアを設置したいところです。

ケーブルベアの長さ・リンク数・キリの良い設置寸法の決め方1

この図のように、ケーブルベアを無駄なく設置するには、動く前と動いた後のケーブルベア形状をしっかり計算する事が必要 です。 上記の参考は、椿本チェイン様のTKPシリーズ「TKP45H25」の 1250st用 のCADデータを、動作前・動作後二つをダウンロードし、合わせたものです。

 

しかし、実はこのままCADデータには使えないです。 では、以下にそれらの説明をします。

 

 

①ケーブルベアの設置高さには余裕代を持たせないといけない

まず、ケーブルベア設置の高さ寸法には余裕代が必要 です。

 

上の図でいう寸法「226」に取付の余裕代が必要です。 その理由は、ケーブルベヤは本体の自重・ケーブルなどのたわみを補うために、ケーブルベア自体が上側に少しふくらみを付けた構造となっている ので、上記の高さ「226」で取り付けてしまうとそのふくらみを抑えこむような状態となりケーブルベヤの寿命を縮める可能性があります。(これはどのメーカーのケーブルベアにも言えることで、カタログを見ると記載してあります)

 

その、最低余裕代は 10~20mm の間が多い かと思います。 ここの余裕代も各型式において様々なので、指定している最低設置高さ以上で行う必要があります。 それらを考慮した場合の各寸法は以下のようになります。

 

 

ケーブルベアの長さ・リンク数・キリの良い設置寸法の決め方2

 

任意の設置高さによって、ケーブルベアの全長(リンク数)も決める必要があります。 とはいっても、10~20㎜違うくらいではリンク数には大きく影響しませんのでご安心ください。

 

 

②長さの余裕代は、固定側、動作側で1リンク〜2リンク分あればOK

設置高さの次に注意するのは長さ方向の余裕代です。 今回 1250st のケーブルベアを例に挙げていますが、この場合はピッチ45のリンクなので長さ余裕代は 45㎜ 程度あればOKということです。(カタログでは各型式のピッチ寸法以上とされている場合が多いかと思います)

 

もちろん、今回の例は 1250st の駆動ですが、機構が前後に 50st ずつ余裕が必要な場合は、フルストローク 1350st が可能なケーブルベアを選定する必要がありますが、その場合、メカ的な最大使用ストロークに対し1〜2リンク割程度長く動けるもので手配する 必要があります。

 

③メカ的なフルストロークと実際に使用する使用ストロークを把握する事

例えば、使用ストロークが 1250st で、メカストッパーまで 1300st で設計するとします。 その場合は 1350st 出来るケーブルベアを 1250st で使用する絵にしないといけません。 ここのモデル(図)をおろそかにすると実機で干渉したりするので適切に計算して図面に反映させましょう。

 

それらも計算・把握できるようにしたのが次の計算シートになります。

 

④注意!! 固定金具かストローク中心ではないケーブルベアも存在する

今回の計算シートは一般的な 固定具がストローク中心のケーブルベアですが、中には 固定具がストローク中心に来ないものもある のでこの計算シートが使えない場合があります。(イグスはこの手のものが多いかもしれません)

 

その為、出来ることなら各メーカーでデータをダウンロードすることが望ましいですが、ケーブルベア寸法を入力計算する必要がある場合は以下を参考に計算してください

 

 

計算エクセルシート

ここでは、上記の内容が計算できる計算シートをダウンロードいただけます。 黄色の部分が入力です。 どうぞご利用ください。

 

 

補足:ケーブルベアの開口サイズの選定の考え方

ケーブルベア内寸の高さは ケーブル及びホースの外径が内寸高さの80%以下に納まるように選定するのが一般的 とされています。 私の場合は少し余裕を見て 60%前後を目安として 最大径φ4φ〜φ10=15mm前後 φ12〜φ16=22mm前後 φ18〜=φ/6*10前後)で考えるようにしています。

また、占有面積は一般的に「内寸高さ×内寸幅の60%以内」とされていますが、私の場合はホースモデルを設置し、余裕がありそうな幅で選定し、内壁や隣接するケーブル、ホースとの間隔は最大径の約10%程度余裕があるレイアウトにして設計しています。(あくまでも目安)

 

以上です。