今日は「ケーブルベアの長さ・リンク数・キリの良い設置寸法の決め方」についてのメモです。 ケーブルベアの選定・設置において、メカ設計側が注意する基本的な事は2つあります。
- ケーブルベア内のケーブル・ホース達の密度を上げない
- 適切な取付をする
この2つが基本的な考えとなりますが、 〔2〕の適切な取付を行うためには、動くストロークに対して余裕を見る そして、取付高さを若干高くする というのがあります。 これは一般的ではあるものの、ケーブルベアを初めて扱うような方の場合、理解するまで少し時間が掛かります。
どうやってケーブルベアの寸法(リンク数)を決めれば良いか。 そして CAD上ではどのように書けば良いか。 今日は、その計算方法と寸法決めにあたっての補足してメモしておきます。
※この記事では全品種適用の一般的なケーブルベア設置についての計算であり、下記特殊利用の計算は含みませんので宜しくお願いいたします
- 支持ローラ付きの設置
- 支持プレート付きの設置
- ロングスパン仕様
ケーブルベア寸法の計算
この記事の目次
ケーブルベアを図面で表現すると人によっては「動く前と動いた後のケーブルベアの形状が、どこか対称的ではない」という事があります。(正確には対称にはなりませんが)
これは適切な計算が出来ていないためですが、 設計上無駄なくケーブルベアを設置したいところです。
この図のように、ケーブルベアを無駄なく設置するには、動く前と動いた後のケーブルベア形状をしっかり計算する事が必要 です。 上記の参考は、椿本チェイン様のTKPシリーズ「TKP45H25」の 1250st用 のCADデータを、動作前・動作後二つをダウンロードし、合わせたものです。
しかし、実はこのままCADデータには使えないです。 では、以下にそれらの説明をします。
①ケーブルベアの設置高さには余裕代を持たせないといけない
まず、ケーブルベア設置の高さ寸法には余裕代が必要 です。
上の図でいう寸法「226」に取付の余裕代が必要です。 その理由は、ケーブルベヤは本体の自重・ケーブルなどのたわみを補うために、ケーブルベア自体が上側に少しふくらみを付けた構造となっている ので、上記の高さ「226」で取り付けてしまうとそのふくらみを抑えこむような状態となりケーブルベヤの寿命を縮める可能性があります。(これはどのメーカーのケーブルベアにも言えることで、カタログを見ると記載してあります)
その、最低余裕代は 10~20mm の間が多い かと思います。 ここの余裕代も各型式において様々なので、指定している最低設置高さ以上で行う必要があります。 それらを考慮した場合の各寸法は以下のようになります。
任意の設置高さによって、ケーブルベアの全長(リンク数)も決める必要があります。 とはいっても、10~20㎜違うくらいではリンク数には大きく影響しませんのでご安心ください。
②長さの余裕代は、固定側、動作側で1リンク分程度あればOK
設置高さの次に注意するのは長さ方向の余裕代です。 今回 1250st のケーブルベアを例に挙げていますが、この場合はピッチ45のリンクなので長さ余裕代は 45㎜ 程度あればOKということです。(カタログでは各型式のピッチ寸法以上とされているかと思います)
もちろん、今回の例は 1250st の駆動ですが、機構が前後に 50st ずつ余裕が必要な場合は、フルストローク 1350st が可能なケーブルベアを選定する必要があります。
③メカ的なフルストロークと実際に使用する使用ストロークを把握する事
例えば、使用ストロークが 1250st で、メカストッパーまで 1300st で設計するとします。 その場合は 1350st 出来るケーブルベアを 1250st で使用する絵にしないといけません。 ここのモデル(図)をおろそかにすると実機で干渉したりするので適切に計算して図面に反映させましょう。
それらも計算・把握できるようにしたのが次の計算シートになります。
計算エクセルシート
ここでは、上記の内容が計算できる計算シートをダウンロードいただけます。 黄色の部分が入力です。 どうぞご利用ください。
以上です。