検図をどう設計士育成に利用するか

2017年9月4日




今日は「検図をどう設計士育成に利用するか」についてのメモです。

 

最近ですが、若手設計士が育ってきたので「検図」という作業を任せるようになりました。その若手に「検図」をさせる中で気づいた事や、これからの技術者育成について考えましたのでそのメモです。

検図

若手にとって未知なる「検図作業」

今までは、モデルも図面も、自分が書いたものをチェックしてもらえていた若手社員数名(3人程)。設計士として成長してきたので、仕事のスピードが上がり精度も上がってきました。すると辛くなるのは私。

 

なんとなくわかりますかね、

 

10ある仕事内の5割位しかまだ仕事が出来ない人を指摘するのは簡単ですが、9割以上的確に仕事を詰めてきている人に対して、残り1割駄目なところを発見し、指摘する事の難しさ。ってありますよね。図面の検図なんて特にそうです。図面を20枚仕上げる仕事で、寸法入れも幾何公差もばっちり。「たいした部品でもないし、そのまま出しても大丈夫そうだね」なんてやったときの1枚だけにミスがあるパターン、、、、

 

難しいものほどミスが少なくて、簡単なものほど「え、こんなミスする?」っていうポカミス。をイメージしてもらえたらと思います。ですから、その検図に対するチェックも大変で、気の休まることろが無いというか、正直辛くなって来てます。

 

 

もう本人達でレベルをあげて育成しあう時期

そこで、急ぎの仕事でない場合は、若手同士で検図をさせることにしています。検図は書いた人がいて、それをチェックする人がいるので、それはたとえ同期の社員だったとしても「指摘しあえるよいきっかけ」になるんですよね。

 

今までは同じステージで仕事していたから和気あいあいとしていた仕事から一気に緊張感が走ります。

 

僕みたいに「明らかな先輩設計士」から言う言葉は、受け入れるし言われることに抵抗がありませんが、ほぼ同期の図面を見てその同期に指摘することにちょっと違和感を感じたことと思います。

 

難しいのは「ちょっとの事」をしっかり指摘できるか。

若手の検図合戦を見ていて、ちょっとおもしろいのが、少しの事をなかなか言わないし、言えないということです。

 

 

検図者としてやるべき仕事のひとつに「間違えている箇所を指摘する」という検図本来の目的があります。それらは明らかな間違いを指摘するので何の迷いも無いんですが、たまに、寸法間の距離が微妙にバランス悪いとか、レイアウトがこっちの方が見易いから書き直した方がいいとかの、どちらかと言えば検図者の趣味寄りの指摘事項はしにくいですよね。

 

そして、見にくいだけで製作は可能な図面であれば、特に言いたくてもなかなか言えない指摘です。

 

でもね、その少しをしっかり詰めまで行わないと徐々に図面のレベルが下がっていくんですよね。図面に対して「ここまでは許せるが、ここまで行っちゃうとダメ」という許容がどんどん広がっていって、いずれ雑な図面になってしまいます。

 

若手に検図をさせた結果、検図したのにそうゆう所を指摘し合わないためか、どんどん図面が初心者っぽくなっていきましたね。やはり、見にくい図面は絶対にだめです。見る人みんなに悪影響を与えてしまいますから。

 

 

厳しくする必要を理解してもらえたら嬉しい

以上のこともあって、検図作業を行いながら、お互いで「図面はこうあるべきだよね」と、どんどん質を上げていって欲しいと思っています。もちろん僕自身の図面にも厳しい目で見てもらい、指摘してもらえるようになれば嬉しいなと思います。

 

たまに、他人の図面を見たときに、書くべきことはちゃんと書いてあるのに非常に見にくい図面なんかがあります。図面は意図を伝える手段の一つですが、私はやはり図面には美しさが必要だと思っています。そんな質の良い図面を作るために、技術者同士で切磋琢磨し、お互いに育成し合っていってもらえたら嬉しいですね。

 

いつかは、僕の目(チェック)が入らなくても仕上がる図面に、お客様にも加工者にも「おたくの図面は綺麗に書いてあるね」と誉められてみたいですね。

 

以上です。

 

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