【部品図の書き方】寸法の入れ忘れをしないようにするためのコツ

2017年6月5日




今日は「【部品図の書き方】寸法の入れ忘れをしないようにするためのコツ」についてのメモです。

 

機械設計における部品図のあるべき姿は 作れる形状のものか と 作れる寸法が入っているか の二つを最低限満足している必要があります。今日は後者の「作れる寸法が入っているか」についての内容で 寸法の入れ忘れをしないようにするコツ をメモしておきます。

 

  • なぜ自分は寸法抜けを繰り返すんだろう・・・と落ち込んでいる方
  • 他の設計士・製図者はどのように寸法抜けをしない工夫をしているのか気になる方
  • 設計初心者、製図初心者の方

 

に向けて、経験を踏まえて寸法抜けをしないためのメモを残そうと思います。

【部品図の書き方】寸法の入れ忘れをしないようにするためのコツ

寸法の入れ忘れ(しますよね?)

寸法の入れ忘れが起きる原因

いきなりですが、実は私も寸法の入れ忘れをまれに起こします。その寸法入れ忘れのほとんどは検図の時に気づいて対処できます「あれほど気をつけているのにっ!!」って思います。笑

 

寸法って設計者以外からしてみると「簡単に入れられる」とか「忘れるとかありえないでしょ」とか思われがちです。 なぜなら 超ポカミスレベル で、 なぜか他人が見ると一瞬で解る んですよね寸法抜けって。

 

でも、寸法を入れるのって意外と難しい作業だったりします。寸法の入れ忘れについては、入れれば寸法は入るわけですから なぜ入れていなかったのか が問題になってきます。

 

「寸法の入れ忘れがある」と検図者に言われても、製図者は「入れ忘れたつもりは無いのに・・・」となるんですよね。寸法が入っていない原因は、僕の経験からすると以下の原因があります。

 

 

 

知ってて入れ忘れたパターン

図面を眺めていると、今入れなければいけない場所以外の寸法抜けを見つけることがあります。 後で入れるつもりで忘れている寸法。

 

 

そもそも気づいていないパターン

そして、部品図はスピードが命のごとく ササっと考えずに寸法を入れ易いところから入れていたり 、 縦なら縦寸法だけを先に入れる、横寸法なら横寸法だけを先に入れる などの行動が早すぎて 目の前の寸法抜けに気づかないパターン です。

 

 

寸法の入れ忘れを起こすタイプの人

誰もが寸法の入れ忘れを起こすかといえばそうではなくて、性格もありますし周りの環境によっても寸法の入れ忘れを起こしてしまいます。

 

しかし、頻繁に寸法抜けを起こすタイプの人は以下に当てはまるのではないかな?と思っています。

 

  • 納期に追われている人(急いでる人)
  • 他人がやってくれるからと、自分で検図しない人(適当な人)
  • 図面をマーキングしてチェックしない人(詰めが甘い人)
  • 自分の製図ルールを持っていない人(製図が安定しない人)

 

これら 上記を理解し対策している人がベテラン設計士、製図者 であり若手設計士の違いであると思います。

 

ベテラン設計士は 自分以降は基本的に検図者がいないので検図もかねている場合が多く 若手設計者は自分以降に検図者がいるので、早く仕事を終わらせたい、提出したいとなっていて、そういった状況が「寸法の入れ忘れが若手は多い」という結果に繋がっているのではないかと思います。

 

 

 

寸法入れ忘れをなくすコツ

本題です。以下に私のルールですが「寸法の入れ忘れをなくすコツ」をメモしておきます。

 

 

①加工するであろう順番で入れていく

部品は部品図のものをいきなり作ることが出来ません。その形状が出来上がるまでにはブロックから削ったり、元ある板を曲げるのかもしれません。 該当の部品がどのような作り方をするのかイメージ・想定しながら寸法を入れていきます。

 

例えば、いきなり穴寸法から入れるのではなく、

  1. 最大寸法もしくは部材寸法
  2. 形状寸法(基準、溝、幾何公差)
  3. φ穴一寸法(公差別)
  4. ネジ穴寸法(サイズ別) などなど、こんな感じです。

 

 

②一つの要素ごと入れていく

縦寸法や横寸法は、 縦ならなら縦 横なら横 と、一気に入れたいところですが それによる入れ忘れが多い です。 そのため、手間はかかりますが加工する順番を意識した上で 一つの要素ごと加工できる寸法を入れていくようにします。

 

例えばタップを明ける時に、基準からのX方向Y方向に何mm、そして何ヶ所あるかというのを 単純に一つ一つ終わらせていく のです。複数サイズのタップを明ける場合でも、手間ですが このタップのXと、Y。 次はこのタップのXとY。 ←こんな感じで入れていきます。

 

 

 

③都度チェックしていく

ここをサボると寸法の入れ忘れはなくなりません。 最後にまとめてチェックするのは当然必要ですが、その都度チェックしていくのも必要 です。

 

私はここを欠かしません。たとえ何百枚図面を書こうが1枚ずつ CAD上でまず検図 をしていきます。

 

 

 

④最後は客観的に見て「部品製作をシミュレーション」してみる

最後は実際に印刷するなり、部品が小さい図面ならPDFでもよいでしょう、客観的に部品図を検図します。 自分で書いていても客観的に、他人の目で見ることがとても重要 になってきます。

 

色々な加工方法を知ってくると、各加工方法によってどう寸法が追ってあれば加工し易いのかなどがわかってきます。また、中には検図を一日置いてから実施する方もいますね。 頭をすっきりさせて客観的に見るテクニックの一つでもあります。

 

 

 

最後に・・・・検図者もピンからキリです。製図者が責任を持つのが当たり前。

ここから ちょっと厳しい事を書こうと思います。 各社さまざまなルールを持ち検図にあたっていることと思いますが、よく検図者もスルーして加工先で寸法抜けが見つかる・・・・なんてことが ありますよね。

 

特に試作品ですね。さすがに量産図面においてはそんなミスは解消されています。

 

そこで製図者の方に意識してほしいのが 検図者は2割くらいのフィルターと考えていたほうが良い という事です。たまに「検図者が見逃した」なんていう方がいますが、製図者が責任を持つのが当たり前だと私は考えています。

 

以上です。

 

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