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機械設計における干渉チェックのポイントは5つだと思う内容まとめ

2020年9月17日

 

今日は「機械設計における干渉チェックのポイントは5つだと思う内容まとめ」です。

 

この記事では ツールに頼らない干渉チェックの方法5つをメモしています。

 

いきなりですが、先日私が設計した部品が干渉してしまいました。 

 

干渉チェックをしたつもりが・・・出来ていませんでしたね・・・。

 

最近は、干渉の無い設計が出来ていたので調子に乗っていたのか、注意力が不足していたんだと思います。

 

その干渉は、出来上がっている機械に、追加部品として複数の類似場所に同じ部品を追加するというもので、全てが同じように綺麗に付きませんでした。

 

普段何気なくしていた干渉チェックの項目は 特に見える化していたわけではなく頭の中にありました が、今回干渉した原因を探っている中で気づいたのは、こりゃ干渉チェックを箇条書きにして、意識しながら設計しなきゃだめだわ と、改めて干渉チェックのポイントが多い事に気がついたんですよね。

 

干渉チェックといっても何をどのようにチェックするかってすごく大切で、どれか一つが欠けても設計の質が下がるなって思うんです。

 

経験上、干渉チェックツールや機能では見えない部分に干渉が潜んでいる場合が多い ような気もします。

 

私にとって、干渉という言葉ほど攻撃力のあるワードはないと思っています。 現場から「干渉した」というキーワードを聞くだけで血の気が引きます(引きますよね?)。

 

私は今設計歴16年で、干渉はほとんど無くなったものの、今回のように新しいタイプの干渉に出会うことがあります。  私の場合、新規の生産設備設計が多くそのほとんどがぶっつけ本番。プレッシャーもあり、毎回緊張しながら設計しています。

 

私の場合は、CADツールによる干渉チェックは、複雑かつ密度の高い設計の場合は使いますが、それ以外は基本的に使いません。

 

ツールより大切な事があるからです。

 

3DCADを使う多くの会社で「設計確認シート」みたいな名前のチェックシートがあることでしょう。 そしてその中に「干渉チェックをした☑」という項目があると思います。

 

果たしてそのチェックは、意味・効果のあるチェックでしょうか?

 

今日は ツールに頼らない干渉チェックのポイント5つ についてメモしておきます。 是非参考にしてみてください。

機械設計における干渉チェックのポイントは5つだと思う内容まとめ

設計での干渉チェック

干渉チェックを行う5パターン

前置きが長くなりましたが、私が意識したいと考える干渉チェック項目は以下の通りです。

 

  • 静止時の干渉チェック
  • 動作後の状態で干渉チェック
  • 動作させながら干渉チェック
  • 組み立て時を想定した干渉チェック
  • 空運転時を想定した干渉チェック

 

このように書くと 簡単にできそうな項目に見えますが、干渉チェックはそう簡単ではありません。

 

少し補足します。

 

 

静止時の干渉チェック

静止時の干渉チェックは容易な反面サボりやすいので注意が必要 だと思っています。 構成部品の干渉は分かりやすいですが、ボルトなどの締結用のパーツが突き当たっていたり、板厚が適切で無いためにネジの長さが中途半端になってしまったりします。

 

静止時の干渉チェックをするポイントは、構成される部品全てを揃えた上で確認する事 です。 ネジに限らず隣接する機器等もしっかり表示して干渉チェックする必要があります。

 

また、2DCADユーザー及び3DCADを知らない方からすると「3Dの干渉チェックあるんだから良いよな」とか「3Dでやってんのに干渉起こしてんじゃねぇよ」的な事を遠回しに言われたり、思われたりしますが、CADツールの干渉チェックには向き不向きがあり完璧ではありません。

 

その為、適切な干渉チェックを行うために特殊なモデリングルールを持つ会社さんもあります。

 

 

動作後の状態で干渉チェック

動作後の干渉チェックも必須です。 静止に加えこの動作後の干渉チェックを行う設計者は99.99%位ですね。 しかし、全動作のチェックを結構サボっている人は結構いる んじゃないでしょうか。

 

ここのポイントは、3DCADも2DCADも全動作をチェックしておいた方が良い です。これは時間掛かっても全動作チェックしましょう。

 

また、2DCADによる設計では干渉チェックを1面で終わらせず、3面しっかり作らないと干渉を高い確率で見逃します。

 

 

動作させながら干渉チェック

動作端の干渉チェックは容易ですが、動作中の干渉チェックも重要ですよね。例えばテーブルのように回転するユニットは動作端の干渉チェックをしても動作中に干渉していたり、ケーブルベヤも動作中に懐が干渉したり。

 

その為、3DCADでは拘束条件を付けてモデルを動かしましょう。 2DCADの場合もグループ化して動かすなどで行うと良いです。

 

また、動作の順番を間違うと干渉する場合もあります。 具体的には実際の動作で 「原点復帰」 という動作がありますが、これは電気屋さんが一歩間違うとぶつかってしまうので、メカ設計側としては原点復帰の時にもできるだけ干渉を避けるような設計だと完璧ですね。

 

 

組み立て時を想定した干渉チェック

組み立て時の干渉は、

 

  • 組み立て時に干渉があり仮置き出来ない
  • 組み立て用工具や手が入らない

 

など考慮してチェックします。

 

ただ、これは組み立てる本人ではないので、組み立てに使う工具や設備を把握することは出来ないですから、一般的(JIS)に情報のある工具で組み立てられるように意識するとよく、組み立て辛いであろうユニットは、サブ組みして組み立てる方式にすると良いです。

 

そしてそれを分かりやすく図面を分けておくと良いです。

 

調整作業も同じことが言えます。調整というのは組み立てた後、ワークなどを載せた状態で調整する事も多くある ので、その状況で工具や手が干渉なく調整出来るか確認が必要です。

 

 

空運転時を想定した干渉チェック

機械には空運転時の干渉もあります。例えばエアシリンダなどでワークをクランプする部分では、一般的に数ミリストロークを残してエアシリンダがワークを押さえたりしますが、空運転時にフルストローク動きます。

 

これ、レイアウトに余裕のある機械はあまり気にしない場所かもしれませんが、密度の高い機械は要注意部分となります。

 

さらに、今の例だと単体の干渉になりますが、空運転時の動きにおいて目一杯動く事により他のユニットとの干渉が起きる場合もありますので、一応念のため確認しておきたいポイントとなります。

 

 

以上のように、これら干渉チェックは時間を掛けて確認できると良いと思います。 干渉チェック機能は確かに便利ですが、本当に必要な干渉チェックってCADモデル上の干渉だけではないので ツールで干渉チェックした=干渉無しではない と私は思うのです。 

 

干渉チェックは設計者の経験によりある程度はカバー出来るものの、経験を積んだからといっても楽できない作業の一つです。 初心者だろうが熟練者であろうが サボったらサボった分質の悪い機械の出来上がりです。

 

 

最後に

今回は、過去の経験も踏まえてしっかり書き出してみたので、これを見ながら私も干渉チェックを怠らないようにしていきたいと思います。

 

以上です。

 

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