今日は「一般的に使われているめっきの種類とその特徴」についてのメモです。
今日も簡単ではありますが、めっきについての特徴をメモしておきます(特によく利用される「無電解ニッケルめっき」についての情報は多めに記載しています)
各種めっきの特徴
亜鉛めっき
亜鉛めっき膜厚:2~25μm(0.002~0.025mm)
亜鉛めっきの適用材質:鉄や合金
亜鉛めっきの表示方法
Zn8
亜鉛めっきの特徴
- 鉄鋼製品の錆止め効果が大
- めっき皮膜にピンホールがあっても亜鉛と鉄の電池作用によって亜鉛が犠牲になって鉄素材の錆を防ぐ
- 鉄素材の防錆めっきとして有利(銅、ニッケル、スズなどと比べて亜鉛の価格が安い)
- めっき後、クロメート処理をすれば防錆効果をさらに高めることができる
光沢(ユニ)クロメート処理<別名:ユニクロ>
ユニクロめっきの膜厚:2~20μm(0.002~0.020mm)
ユニクロめっきの適用材質:鉄や合金で主にSPCC、SS400、S45C、SKS93
ユニクロの一般的な表示方法の例
Zn10/CM1(亜鉛めっきユニクロの、めっき厚み10μm)
ユニクロめっきの特徴
- 亜鉛めっき後、クロム酸を主成分とする混酸に浸炭する処理で耐食性が向上する
- 白さびの発生を防ぎ、指紋その他の汚れがつきにくくなり、外観がよくなる
- 塗料、染料の密着がよくなる
- 皮膜中に6 価クロムが少なく3 価クロムが多く、青白色で光沢がある
- 外観は良いが耐食性は有色クロメート皮膜よりも劣る
ニッケルめっき
ニッケルめっきの膜厚:3~20μm(0.003~0.020mm)
ニッケルめっきのビッカース硬さ(HV):350
ニッケルめっきの適用材質:鉄および合金や銅
ニッケルめっきの表示方法の例
Zn15
ニッケルめっきの特徴
- 耐蝕性向上(クロムめっきより耐蝕性が大きい)
- 装飾用途に使用
無電解ニッケルめっき
英語:electroless nickel plating
無電解ニッケルめっきの膜厚:3~8μm(0.003~0.008mm)
無電解ニッケルめっきのビッカース硬さ(HV):500以上※リン含有量により異なる
無電解ニッケルめっきの熱膨張係数:14.5μm/m℃
無電解ニッケルめっきの適用材質:鉄(合金)及び銅、アルミ合金、主にSPCC、SS400、S45C、SKS93、SKD11、SUJ2、SCM415、SCM435
無電解ニッケルめっきの一般的な表示方法の例
Ni-P10:無電解ニッケルめっき、めっき厚み10μm もしくは Elp-Ni10:無電解めっきでニッケルの、めっき厚み10μm
無電解ニッケルめっきの特徴
- 素材の形状や種類にかかわらず均一な厚みの皮膜が得られる
- めっき皮膜が硬く、耐磨耗性がよい、ピンホールが少ない
- めっき皮膜は磁性がなく、熱処理すると磁性を生じる
- 電気めっきに比べてめっき液が高価で寿命が短い
- めっき皮膜中のニッケル純度が低く、リンなどとの合金めっきである
- 光沢電気めっきと比べると外観が劣る
- 電気めっきに比べると排水処理が困難
無電解ニッケルめっきが幅広く利用される理由
めっき液に含まれる還元剤の酸化によって放出される電子により、被めっき物に金属ニッケル皮膜を 通電せず析出させるため、樹脂やセラミックスのような不導体にもめっき可能であり幅広く利用 されている。
硬質クロムめっき
硬質クロムめっきの膜厚:3~7μm(0.003~0.007mm)
硬質クロムめっきのビッカース硬さ(HV):800~1000
硬質クロムめっきの適用材質:鉄(合金)及び銅、主にS45C、SKS93、SKD11、SUS440C、SCM415、SCM435
硬質クロムめっきの表示方法例
ICr3: 硬質クロムめっきで、めっき厚み3μm
硬質クロムめっきの特徴
- 硬さが硬く、耐磨耗性、耐食性に優れている
- 機能めっき用として広く用いられている
よく使われているめっきの指示方法
一般的なめっきの指示方法(簡易的な指示方法)は以下の通りです。(こちらがよく利用されています)
JISによるめっきの指示方法
JISに記載されているめっきの記載方法(詳細記載方法)は以下の通りです。これに揃えるべきなんですが、よく見る一般的な記載ではあまり見ません。
以上です。
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