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・LMガイド(リニアガイド)

LMガイドを選定する際に理解しておくべきポイント

2019年5月7日




今日は「LMガイドを選定する際に理解しておくべきポイント」についてのメモです。様々な機械によく利用されるLMガイド(リニアガイド)。

このLMガイドは機械要素の中でもボス的存在といいますか、選定のタイミングが非常に難しいアイテムの一つだと個人的に思っていますが、今日はそのガイド選定のために最低限理解しておくべき内容をメモしておきます。主にガイド選定初心者の方に向けて優しくまとめています。

LMガイドの選定

LMガイドという機械要素を選ぶ必要がある時

数あるガイドの種類の中からLMガイドを選ぶ必要がある時を簡単に言うと

 

  1. 高い負荷が複数方向から掛かるけど
  2. より軽くスムーズに高速搬送したくて
  3. それが長時間持って(高耐久・高寿命)
  4. その間ずっと高精度を維持したい(精度変化が起こしたくない)

上記ような場合にはほぼ100%LMガイドが必要となります。

 

LMガイドの選定のキーワードとなるのは「寿命」

最近では、安いガイドも購入できる事から寿命を気にしない場所(そんなに長時間利用しない場所)でも、ちょっと精度がある程度ある安いリニアガイドを利用する場合があります。実はLMガイドの寿命は結構長いので、LMガイドの負荷計算・寿命計算をざっくりで行う場合が多いのも事実。

例えば、大きめにガイドを仮選定しておいて、THKのサイトなどで最終的な寿命計算をする(最後に答え合わせする)という設計士もいれば、やってない人(履歴残していない人)もいますよね。LMガイド自体のカタログの静・動定格荷重が圧倒的なレベルなので、一番良くないのはそれっぽく適当に決めている場合です。これは、僕個人的に問題視していて、今AIを使った装置の故障などの予防・予知が言われているのに、この重要な設計部分が根拠なくていいのか? という考えがあります。

 

LMガイド自体にも沢山あるので選定を優先する順位

LMガイドが必要な場所が解った所で、LMガイドは寿命や保守部品としての要求がない限り、自由度が高いので、どの型式・型番を選べば良いか悩みます。ここに私が意識している選定条件の順番をメモします。

 

①ユーザーのメーカー・型式指定が最優先

まずはエンドユーザーの指定があるかないかは重要なので先に必ず確認します。もし指定がある場合は仕様書に記載してあるはず。なければわざわざ確認する必要はありませんが、エンドユーザーからの指定がなければ購入する部署(私の場合元請け様)の意見を取り入れメーカーを選びます。それがなければ自分の扱いやすいメーカーの順です。

 

②環境に合わせたオプションを付けられるか確認

メーカーが決まれば型式もそれなりに決まってくるかと思いますが、基本的には標準型を選定し、次に使用状況においた環境に対応できるオプションがあるか確認します。シールの種類、材質などですね。これもポイントですが、環境に合っているであろうオプションをこちらで選定せず、まずはユーザーに実績を確認するのが良いかと思います。我々設計士が選定するものが逆に過剰な場合もありますので。

 

③負荷計算をして要求寿命に対して満足するか確認

ようやくここで負荷の計算をして型番を決める工程になります。ここはちょっと説明が必要なので次の見出しでまとめます。

 

④DRで話題に出す

要求された型式において、負荷計算し決めた型番をDRで話題に出してユーザーの確認を得ます。

 

⑤確定

ここでようやく確定です。

 

LMガイドの負荷計算について少し説明

ここではLMガイドの負荷計算について少しだけ説明してみます。まず負荷計算の順番を確認ください。

 

  1. ガイドレイアウトを決める
  2. そのレイアウトに駆動条件を入れて平均荷重を求める
  3. 型番を仮で決め寿命を求める
  4. 寿命がOKならそれを使って詳細設計をする
  5. 詳細設計後に再度寿命を再計算する
  6. 寿命がOKなら設計完了

 

以上のような流れになります。この負荷計算の手順は少し複雑で解りにくい上、いくつかの問題点があります。

 

質量中心位置の把握が難しい

負荷計算は、載ってる物の質量中心の位置情報を必要とします。「荷重/ブロックの個数」ではないんです。ここでいう質量中心を正確に求められるのは、3DCADによる質量中心測定機能で、なおかつ搬送されるワークやジグなどの材料に密度などの情報が入っている場合に限ります。2DCADがだめではないですが「質量中心位置は大体ここくらい?」というやり方で設計するしかないのが現状ですね。

 

仮で型番決めても変更がよく起きるので負荷計算のタイミングが難しい

負荷計算を仮の型番で決めても、詳細設計を進めていくとレールの幅やブロックの幅を変えたりする必要が出てきます。例えば、ブロックのネジを締めるために、計画していたブロック位置からちょっとずらした場所にブロックをレイアウトしたりして、負荷計算した状態とは違う状況になりったりします。

大体LMガイドの選定でミスるのはこのタイミングが多いです。仮選定の時点で、安全を多少見ながら決めたサイズで設計終盤までいくことがあります。最後に計算し直したら能力に不安がある状態。っていうのがありえます。このタイミングでブロック幅や高さの違うサイズに変えるのがとても大変なんですよね。

 

安全率を多めに見とけば良いとは思うけれど、ずっとそれじゃダメなきがしている

上記二つの問題点を簡単にまとめると、質量中心が曖昧だと正しい負荷計算ができない。そして仮にしっかり負荷計算をして型番を決めても、最後の確認計算で狙い値から大きく外れる場合があるということです。これがLMガイド選定の難しさと、上手く選定するためにしっておくべきポイントとなります。

さっきの話に戻りますが、今機械の故障予防・予知に関して注目されている中で、これからはそういった事に対応するため設計に対しても要求が増してくると思うんです。あくまでも僕個人の考えですが、予防予知した所で機械を改善しようが無かったら意味ないと思うんです。機械が壊れる原因、そもそもその選定が正しかったのかを問われる気がするんですよね

だからって、どうしようもないですが。今のところ何度も確認計算繰り返すしかないですね。

 

最後に

今回、この記事と同時投稿で「水平搬送する場合のLMガイド基本計算」の計算シートと記事を投稿していますので、そちらで負荷計算の方法を確認してください。LMガイド壁掛けなどでの利用もあるかと思いますが、それはまた空いた時間で計算シートを作りたいと思っています。

今回の計算シートに限らず、計算シートをUPしている理由は、少しの値変更で何処に変化があるのかを理解するのが目的です。LMガイドはブロックの設置幅・レールの設置幅・質量中心の位置・加速度・減速度など、寿命に影響する部分が沢山あります。寿命を延ばす方法がいくつかあるとしたらその中でどう最善な処置をするか、計算シートを見ながら設計していくためです。こういった根拠を持った装置作りがあってこそ、これからの時代の予防・予知が活きてくるんじゃないかと思っています。

以上です。

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