今日は 「TRIZとは何か。TRIZは発明を効率的に行うための手法」 についてのメモです。
皆さん、「TRIZ(トゥリーズ)」をご存知でしょうか。
開発における課題解決の手法で用いられる「TRIZ」ですが、TRIZとは一体何か。そして実際にどんな手法をTRIZが利用するのか。
この記事は、私自身が改めて「発明を勉強したい」という思いでまとめています。 TRIZをマスターされている方にとったら基礎の基礎の内容ではありますが、私なりの言葉でTRIZの手法をかみ砕いて基本的な考え方、捕らえ方を説明していますのでご理解お願いいたします。
TRIZとは何か
TRIZの生まれ
由来:旧ソビエト連邦で生まれた発明的問題解決理論。膨大な数の特許調査し、それら「発明」の研究成果がTRIZで、TRIZは成果を導く案内役、創造的思考力の向上(能力開発)とされています。
露語:Teoriya Resheniya Izobretatelskikh Zadatch
英語:Theory of solving inventive problems
Theory of inventive problems solving
※理論とは:事柄を法則的・統一的に説明するため、筋道をつけて組み立てたもの。
TRIZを簡単に説明すると
過去から今現在までの発明・問題解決の考え方・方法を体系化(システム化)して、新しい課題を解決する方法。
または
様々なプロセスにおいて「どうしたらよいか・・・」という問いに対し「思考を支援する」ツールであり、アイデアの出し方をいくつかのパターンに当てはめて「教えてくれる」ツールと言える。
TRIZを使うタイミング
私たちエンジニアが、ある製品を開発するにあたって課題にぶつかったときに、それらを解決するための「策」を効率よく発想したいときに使います。TRIZは「科学的」で「体系的(システマチック)」な方法論で、思考手順を踏んで問題に取り組むのです。それらから結果的に問題解決の新たな切り口であったり、障害をブレークスルーすることができます。
TRIZが効果を発揮する場所
私たちが日々取り組んでいる問題解決。それには段階がありますが、それらのレベルに応じて解決する手段を選ぶ必要があります。TRIZは以下5つのレベルの4と5において特に効果を発揮するとされています。
- 簡単な問題解決
- 既存に対しての小規模改善
- 既存に対しての大規模改善
- 既存に対しての根本的変更
- 新規発見
TRIZの基本的な概念
TRIZの基本的な概念として「理想性を無限に近づける」事があげられます。
理想性とは
「理想性=有益作用÷有害作用」の式で表され、有益が大きければ理想性が高く、有害か小さければ理想性が高いとしているのです。
TRIZやり方
最小問題から最大問題へと問題の幅を広げていく
※最小問題:現状のすべてを前提条件とし一切変更せずに目的を果たそうとする問題
※最大問題:前提条件を付けずにとらえる問題
最小問題でブレークスルーできれば実務的であり本来の革新的問題解決となる
TRIZが難しいとされている理由
TRIZは哲学や手法群、知識データベースを包含(ほうがん)した「体系的方法論」であるために、難しいとされています。
TRIZの構成として3つの要素があり、それは「思考プロセス」「テクニック」「知識データベース」であり、これらが関連しあっているのがTRIZの特徴となります。
1.思考プロセス
- ARIZ:問題の状況を「定義」「再定義」するなどの手順
2.各プロセスでのテクニック
3.知識データベース
- 40の発明原理:技術的矛盾を解決するための「定石集」
- 76の標準解:類型化された問題解決の「定石集」
- 技術進化のパターン:技術進歩の発展・進歩パターンを「まとめた物」
- イフェクツ:自然科学の法則を目的別に整理した「リスト」
TRIZの技術的矛盾と物理的矛盾
技術的矛盾:ある特性を向上させようとするとそれを阻害する特性が出てくる
解決法:矛盾マトリクス
物理的矛盾:同一システム内にある対立的特性が求められる場合をいう
解決法:分離の法則
多くの企業が利用しているTRIZ
技術開発部門が 革新的製品・技術を生み出すための発想手法として TRIZを全社的に取り組んでいる企業は沢山あります。
TRIZの適用範囲としては基本的に「技術システム」への適用とされていますが、マネジメントの意思決定や制作形成の分野にも適用が広がっているようです。
TRIZは問題解決策なのでそれだけ出来てもだめ
私たちのような中小のエンジニアは「既存の製品」の枠を超えることが大変難しいです。
その理由はニーズに対しての発明をすることが根付いていないから。
既存品の「枠」を超えるという事は、より価格や機能において魅力的な製品であることだと思うのですが、そのためには売れる商品を企画する「QFD」で出た課題を「TRIZ」で解決するのが良い流れではないかと考えています。
個人的に自分の考えで編み出した答えが「発明原理」に当たっているとうれしくなる。
私も日々「矛盾」の発生する技術課題に直面することがありますが、考えて考えて、、、出た答えがTRIZの「発明原理」にあてはまっているのを確認できると、とてもうれしく思います。 そしてそれがかなり高い確率で当てはまっている事に驚くのです。 そう考えれば、TRIZを知らないのはとても勿体ないと思います。
TRIZの良さはやってみないとわからないもの。
エンジニアは他人のアイデアが嫌い
TRIZは簡単に言えば「他人のアイデア」を参考に問題を解決するので、なかなかやりたがらないエンジニアが多いですね。しかし、アイデアというのは出ること、出すことを楽しむものであるのでTRIZにおいて出た答えを、それが正しいか答え合わせする必要はなく、それらアイデアが出る事を楽しむようにしたらよいのではと考えています。
TRIZでたくさん出たアイデアをどう処理する?
その時にでた沢山のアイデアは、どれを選ぶかが重要になります。また、そのアイデアを有効化するには、今何が必要なのかを考える必要があるのです。
その時必要な要素によって、必要とされるアイデアを有効化させていくのが良いとされていますし、その時採用されなかったTRIZで出たアイデアは、時代が変わったときにに再利用できる事も考えておくべきなのです。
TRIZを根付かせるためにやるべきこと
TRIZはいきなりチャレンジするのは難しいです。日々の業務で自然にTRIZを利用する仕組みが必要で、利用した後にTRIZで開発した製品の「裏付け」を自然にする仕組みが必要だと考えるからです。「アイデアが出る事を楽しむようにしたらよい」のですが、それらアイデアをエンジニア同士でレビューできる仕組みが出来たら良いと思います。
以上です。
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