今日は「機械設計の仕事で納期に追われる現実」についてのメモです。機械設計における仕事の納期と作業の進め方についてまとめたいと思います。
なぜこんな事を書くかというと、毎回毎回納期に追われバタバタと機械設計の仕事をしているのが辛くて辛くて、、、いいかげん改善できない自分が嫌いになりまして、設計歴12年目にしてこれを機に納期との戦い方を自分の力でまとめあげ、これからの自分のために理解してやろうと思ったわけです。
まぁ、書き始めたらとまらずとても長くなってしまったので、二部構成にしました。
また、この記事は一人250h/月くらいの作業を2ヶ月、機械設計者約10人程度で行うくらいの設計案件(3D設計)を題材にしています。
前編「納期に追われる現実」
まず「納期」については皆さん誰しもが理解できる単語かと思いますが、納期の重さって考えたことがありますか? たとえば友人との予定のような融通が利く納期と、大きいプロジェクトの予定のような絶対的な納期では、明らかに重さが違います。
機械設計は友人の口約束のような感じで仕事は進みません。基本的には絶対的な納期に間に合うように仕事を進めていきます。ですから予定より進捗が遅れれば残業で補うか、人を投入して補うかしないといけません。
機械設計は納期までの限られた時間しかない
世の中にはタスクを人に伝え、振り分ければ良い仕事と、タスクを実際にこなす仕事があります。機械設計の実務者は基本的に後者なわけです。「物を運ぶ機械、切断する機械などが必要だ」と伝えるのではなくて、そういった課題を、実際に作ることをするのです。※タスク:課された仕事。課題。
ですから機械設計実務者は納期までの限られた時間を作業量が超えてはいけません。
でも、超えてしまうことが多々あります。
今やコンカレントエンジニアリングにおいて、プロジェクトの進行が早まっているが、実際はマネジメント側のツールが日々進化している中で、実際の仕事が前に進む実務者のツールや仕組みが結構限界を迎えているのがあります。
参考記事:コンカレントエンジニアリングとは何か。解りやすく説明します。
最近のものづくりはスピードがものすごいです。
簡単に言えばAさん「かえるのうたが~きこえてくるよ~」はい!次Bさん!ではなくて、
A「かえるのうたが~きこえてくるよ~」
B「かえるのうたが~きこえてくるよ~」
C「かえるのうたが~きこえてくるよ~」
D「かえるのうたが~きこえてくるよ~」
みたいな感じで、作業が並行過ぎてもうワケが解らなくなっています。
要するに、こういったプロジェクトでは納期に対する責任の重さはますます重くなってきているといえます。マネジメント側の動きがスムーズで、納期に対する遅れにおいては実務者の納期遅れがかなり印象としてあるんじゃないでしょうか。しかし、それもなかなか見えないのです。
だって設計者は意地になっても、倒れようが納期に間に合わせるようにするからです。
※私ではありません
では実際に、納期に対して機械設計実務者が遅れてしまう要因は何があるのか。以下に纏めてみます。これは私が考える実際に納期を遅らせる要因のランキングであり、ほかの人から見たらぜんぜん違う視点になるかもしれませんが、ご了承ください。
第1位 上手く行けば1回で済む作業の手戻り
もう、機械設計における納期に間に合わないパターンは設計の手戻りが一番の原因じゃないでしょうか。設計者の勘違いでやり直し、根本的な設計ミス、計算ミスなどなど色々な要因で手戻りが起きてしまいます。
機械設計のお仕事は、一からつくる設備がまるで高級ベンツみたいなもの。考え方にもよりますが、始めにタイヤ付いた乗り物考えて~、次に適当にハンドルつけて~徐々にベンツまで。 ってわけじゃなくていきなり完成させたベンツを作るようなものです。というかそのような志を持って設計するのが普通です。
機械設計の究極は、はじめから答えとなる完成形を書いていくのがベストで、その完成形を作るイメージするにはいかに設計の引き出しを持っているか、ということでもありますし、正しい設計をしていれば始めから完成形を書き始めることができます。頭の中で要求を満たすための駆動機器や構造が、脳内のフローチャートをたどり細かい部品形状までイメージする。そんな感覚を持つことができるようになれば路線のずれにくい設計ができます。
ま、よっぽどでないといきなり完成形なんて書けませんけどね・・・
機械設計者自身の設計ミスでの手戻りは自業自得な領域なので、意地でも間に合わせる必要があります。(それでも納期延長のお願いだけはしてみてくださいね)
上手く行けば1回で終わるのに・・・というところではこんなことがあります。DRが明日だからとりあえずつけておけばいいや!なんて適当にパーツつけたりすることで、それが設計の最後の付近まで行ってしまうことで、後からしまった!!検討してなかった!!
なんてことですね。
DRが明日だからとりあえずつけておけばいいや!なんて適当にパーツつけたりしていませんか?
私はつけていますよ。
だってしょうがないもん。
でもいざDRになると、そういった中途半端な部分をやたら突っ込まれたりしますよね。
やっときゃよかったなぁ・・・なんてよくあります。そのたった数分の時間を大切にして1回の作業で済むようにするべきかな・・なんて毎回思います。
第2位 未確定部の多さや追加項目
仕様書が完璧だと私は信じていました。今も完璧であるべきだと思っていますが、実際は「これをこうしたい」とかの要望書に近いものが仕様書と呼ばれることがあります。
その要望から設計の絵描きが始まると手戻り、仕様の変更が頻繁に起きます。仕様書は始めから答えが出ている必要があります。それは設計をスムーズに行なうためです。しかし、仕様書の準備や仕様書を読み解く力は担当設計士の技量によって内容の質が左右されてしまいます。
でもね
ぶっちゃけてしまうと、
仕様書を始めから完璧に仕上げるなんてできませんよね?いざ設計し始めたら気づく変更すべき点なんて一杯ありますよね。
ですから私の場合、仕様書が薄いのは仕方がないと考えています。仕様書は完璧ではないと考える方が気が楽だし、完璧でないから設計担当者が仕様を詰めていく気持ちで取りかかればいいと考えています。
また、コンセプトの変更や仕様の変更は、その上手く行けば1回で済んだはずの完成形を若干でも崩すわけですから、一からやり直すことが当たり前になります。そして始めに設定していた納期は、すんなりいったときの納期のはずですから、少しでも変更があれば遅れてしまいますよね。
しかし、仕様に甘さがあってもそれを理由に納期を延ばすなんてなかなか出来ないものですし、とてもお願いしずらい・・・。たとえば仕様変更などによる手戻りは、実務を行う機械設計者が本気を出したとしても、良くて作業の質は変わらず残業が増える形になります。
これはつらいです。
第3位 精神的・体力的の消耗による作業効率の低下
納期に追われてくると、精神的体力も低下します。仕事が流れていく中で、事情を知らない会社同士ですから急な動きを見せる事にいかに対応できるかも重要なポイントだと思います。そこには、人それぞれの性格の問題も出てきます。ガヤガヤした中でも仕事できる人もいれば、一度に複数の事を考えたくない設計者もいます。詰めて考えていく設計士もいれば、広く浅く徐々に詰めていく設計士も居ます。
設計士の性格によっては仕事の動きに合わせずらい事もあります。後でやろうと思っていたことも、お客様の要求に対応するためデータが途中の時でも出さないといけない場合があります。そういった自分の思い通りに進まない場合においては、100%の能力を出し切り仕事ができないことが多々あります。
もう手遅れに近いレベルの納期に追われることで、精神的苦労が続き作業効率を大幅に落とすことがあります。作業効率が落ちても間違った作業をしなければ大丈夫ですが、疲れてきたときに「DRが明日だからとりあえずつけておけばいいや」と同じようなことをしてしまうので結果手戻りの発生につながります。
もう本当にいやです。 こればっかりは・・・。
納期に追われる現実のまとめ
では、ここで納期に追われる現実のまとめます。
第1位:手戻りの発生
第2位:未確定部の多さや追加項目
第3位:精神的体力の消耗
この3つは納期に追われていない今でも恐ろしい内容ばかりです・・。
次回(3月30日8:00投稿予定)は納期を迎えるこれから私たち実務者と実務者に作業を振る人はどう対応していけばよいかを纏めてみたいと思います。
以上です。