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機械設計メモ2

・組立図の書き方

組立図寸法の入れ方

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今日は「組立図の寸法・テキストの入れ方」についてのメモです。3DCADの普及により、今では3Dモデルを見ながら組立をする機会が増えてきました。そうなると、「モデルの使い勝手」に目がいきがちになってしまうために組立図の寸法の入れ方など、時間を掛けて丁寧に教わる事も減っているんじゃないかと思っています。

部品図を書く機会は沢山ありますが、組立図は沢山ありません。

今日は、組立図の作図経験が浅い方に向けて、私が組立図に寸法を入れる際に注意していること、入れる順番などを出来る限り解りやすく説明してみたいと思います。但し、これら組立図の寸法の入れ方については、様々な機械と組立図が存在するので、あくまで一例だという認識で読んでいただければ幸いです。

 

組立図の寸法

本当は、参考の組立図を用いて説明するのがベストですが、図面というのは外部に出しづらいものなので、組立図の寸法の入れ方を文章でお伝えすることにします。

組立図に必ず入れる寸法

これからお話しする内容はこちらです。(私が組立図に入れる寸法の順番です)

【1】全体寸法

  • カバー含めた全体(最大)寸法
  • カバーを省いた装置自体の全体寸法

【2】基準寸法

  • 設備が据え付けられている基準寸法
  • 設備の仕様基準寸法

【3】ユニット寸法

  • 工程別に分けたり
  • サブユニットなどの寸法
  • 組立ての順番などで切り分ける

【4】購入品の取り付け寸法

  • 組立図に悪影響が無い限り購入品の取り付けピッチや動作に関係する部分の寸法を入れる

【5】ストローク(可動)寸法

  • 機械に含まれる駆動機器の動くストローク
  • 可動後から干渉物までの距離など

【6】調整(調整場所)寸法

  • 適当に組んではいけない部分や位置決めの無い場所(調整が必要な場所)の組立寸法

【補足】組立図にあると便利な注記やテキスト

  • 強度メンバーのサイズ
  • 「一般的なやり方と違います」という場所
  • 勘違いし易そうな場所

 

では、ここからそれらの説明になります。

【1】全体寸法

組立図に必要な寸法、まず一つ目は全体(最大)寸法です。私が意識している全体寸法は2つあり、カバーを含めた全体寸法と、カバーを省いた装置自体の全体寸法になります。

カバーが装置に密着している場合はカバーを含めた寸法で全体寸分としますが、装置からカバーが離れ、自立して立っている場合は、カバーを含めた最大寸法と、カバー内の装置最大寸法に区別し、空間がどれくらい空いているかの寸法も入れています。

全体寸法を入れる目的は、全体のスケールを把握するためですが、最大寸法をいれるといっても、ネジの微妙な飛び出しとか、どこの部分か解りづらい端数の寸法は必要無い限り加えません。

 

【2】基準寸法

次に、装置の基準寸法を入れます。

基準寸法も大きく分けて2つあります。1つ目は、設備が据え付けられている基準寸法になります。その機械が建屋の何処から何処に設置基準があるのかや、加工機の取り出し口端面からの装置を設置する基準寸法などになります。

2つ目は設備の仕様基準寸法です。例えば搬送装置であれば、機械内の搬送ピッチなどの寸法です。これは実機では目に見えない部分がほとんどですが、非常に重要です。ポイントは、上記1つ目の基準から2つ目の仕様基準寸法に寸法が繋がると、見る人が解りやすいです。

 

【3】ユニット寸法

ユニット寸法は、工程別に分けるようにしたり、その組立て前に組んでおくサブユニットなどの寸法であったり、組立ての順番などで寸法を切り分けることがあります。これはあくまで組立てのし易さを意識するものであり、ユニットの寸法が入っていることで見難くなるようであれば記載はしません。

 

【4】購入品の取り付け寸法

組立図には、仕様に重要な購入品の寸法を入れます。それは、検図目的の意味がほとんどです。機械設計では、購入品のCADデータをダウンロードして使う事があります。その中間ファイルが実際の製品(カタログ寸法)と違う事はよくあります。

万が一寸法が違っていた場合、その他部品への影響も大きいことから、私は組立図に悪影響が無い限り購入品の取り付けピッチや動作に関係する部分の寸法を入れて最後にカタログと照合しています。

 

【5】ストローク(可動)寸法

機械に含まれる駆動機器の動くストロークを記載します。ストロークと合わせて表現したいのは、可動した後の絵になります。可動した絵は「二点鎖線」で記載します。

2DCADでは可動前のモデルをパターンコピーして隠線を消し、実線の部分を二点鎖線にするのが一般的だと思いますが、3DCADになってからこのパターンコピーするのが少し表現しずらい場合もあります。ここをサボらないように記載します。

このストロークの寸法を記載し、更にそこから干渉物までの距離などを記載しておくと良いです。

 

【6】調整(調整場所)寸法

調整寸法とは、例えばロッドシリンダーにフローティングジョイントを付ける際「ネジ部をどれだけねじ込ませるのか」などの、適当に組んではいけない部分や位置決めの無い場所(調整が必要な場所)の組立寸法です。

また、そういった部分は部分詳細図や断面などを書き、内部でネジが突き当たってないかなどを見て解るようにすると良いのと、「どこ」を調整するための場所かを明確にしておくと尚良いです。

さらに、調整組立後に「どことどこの距離がこの寸法ならオッケー」という寸法があると良いです。例えば組み立てた後の関連する他の部品までの距離などです。機械は部品(公差)の積み立てで出来上がっているので部分詳細図と同じように組んでも、結果的に寸法が若干ずれたりすることがあるためです。

 

【補足】組立図にあると便利なテキスト

ここからは、寸法以外に組立図で重要な役割をする注記やテキストについてです。

 

強度メンバーのサイズ(鋼材やシャフト径など)

強度メンバーとは、機械を支える鋼材です。その鋼材のサイズを記載することにより、事前に強度が足りているかの検討がし易くなります。これは特に計画段階で必要な内容になりますので、私の場合計画段階の組立図に強度メンバーを記載して、詳細に入るときに消します。全ての部材を記載する必要はなく、その装置で強度や剛性を特に注意するべき場所のみ記載します。(実際にこれでお客様も事前に確認できるので「もっとゴツくして」などの要求を初期でもらうことが出来ます)

 

組立時に注意することを記載

組立時に注意することとは「一般的なやり方と違います」という場所を記載します。

例えば特定のネジに対して「ロックタイト塗布」の指示をするような、普段は使わないけどここだけは利用してくださいねって場所です。ネジの締め付けトルクなんかも、これに該当します。

 

勘違いし易そうな場所へのコメント

上記の組立時に注意することと似ていますが、勘違いし易そうな場所とは、一見見分けのつかないような場所へ、それらが解るようにコメントをするという事です。例えば、よくRLという記載を利用しますが、ただの「R側」と記載するのではなく「上流よりみてR側」とかです。ちょっとしたことですが、その図面に関わる人たちの気持ちになって組立図を作成するとよいと思います。

 

以上です。




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