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機械設計メモ2

・カップリング

カップリングの選定や使い方のまとめ

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今日は「カップリングの選定や使い方のまとめ」についてのメモです。カップリングを選定する際に必要な情報、注意すること、選定における私の脳内フローチャートを纏めています。カップリングの種類が多過ぎてどう選定してよいか解らない方は、この記事をきっかけにカップリング選びの参考にしてください。

 

カップリング

カップリングの主な用途は「シャフトとシャフトを連結するもの」ですが、種類が多すぎです。(笑)

カップリングの用途はモーターの軸と相手側の軸を連結する目的もあれば、駆動側と従動側の偏芯や偏角を吸収する目的もありますし、若干の衝撃吸収にも使えます。種類が多すぎて決められない人も沢山いますカップリングの選定はモーターの選定と似ていて、ピンポイントで選定できなくても使えてしまうのがカップリングなんです。

全く同じ設備なのに設計士によってカップリングが若干違うって事がたまにあるんです。要するにピンポイントで選定しきれていない設計士も多いのがこのカップリングだったりします。でも問題なく使えているという・・・。ですから、設計初心者の方でまだカップリングのことわからなくても全然大丈夫です。この記事を読んで、9割以上は外れない選定が出来るようになれれば幸いです。

※選定の順番は状況によって変わるので、これが100点の選定方法ではないこともご理解お願い致します。

 

カップリングの選定方法とその順番

では、今からカップリングを選定していこうと思いますが、カップリング選定のポイントは、選定の順番とコツ(当たり前に考える事)を掴むことが出来ればスムーズに選定できます。ここからの手順は今回作成した資料と一緒に見ると理解が早いかもしれませんので、早速ダウンロードしてみてください。

 

 

そしてここからお話しする選定の順番はこちらです。

【1】用途別にカップリング型式を一気に絞り込む
・駆動源別
・用途別
・締結方法の把握
【2】許容トルクが必要トルク以上あること。
・ボディサイズの選定基準は軸径ではなくて、許容トルクで見る
【3】許容回転数も許容範囲内を選ぶ
・カップリングは重要で危険なアイテム
【4】軸径の組み合わせがある物を選ぶ
【補足】
・許容の偏芯・偏角・エンドプレイはあくまで目安
・外径と全長は選定の必須条件ではない
・カップリングのメーカ一から製品を探すメリット
・カップリングの使用に当たっての注意事項
・キー付きのシャフトにクランプタイプの締結方法を選択しても良い

 

では、それらの細かい説明をしていきます。

 

1.まずは用途別にカップリング型式を一気に絞り込む。

まず、始めにやることは、この膨大な量からカップリングの形を一気に絞り込む作業です。

1-1:駆動源別

カップリングで駆動力を伝える側には分類があります。指令に対して高精度で駆動するサーボモーターやステッピングモーターの大型の物や小型の物。一般的なモーターの大型の物や小型の物。駆動源が変わればそれを従動側に伝えるカップリングも構造が変わります。

その理由はその駆動源の特徴にあわせてカップリングが作られているからなんですが、その駆動源にあわせてカップリングを絞り込みます。(エクセルシートで言えば、タブの切り替えくらいざっくりいきます)

 

1-2:用途別(1-3も同時に見ます)

駆動源別でカップリングが数種類に絞れてきたら、駆動源で駆動する物がどんな状態であって欲しいか。というカップリングの特徴と用途を把握します。

エクセルシートでいえば、特徴、用途1、用途2です。この時点では「大体この手の物を選べばよいのね」程度でオッケーです。ただ、次の「1-3」の締結方法も同時に確認します。

 

1-3:締結方法の把握(1-2も同時に見ます)

カップリング自体の構造で一番気にするのが締結の方法です。

これから設計する機械、すでに設計されている機械に合わせて取り付け可能なカップリングを選びます。特徴や用途が合致していて、締結方法もベストな物を選定出来れば最高ですね。但し、全てが完璧に行えない場合もあります。

例えば、既設の改造などは、既存形状により選定の範囲が狭くなるなどの影響を受ける事があり、用途は満足するのに締結方法で選べなかったり、締結方法は良いのがあるけど、用途がちょっとズレちゃう事もあります。

※表に該当しない選定要求がある場合はメーカーにご確認ください

 

2.許容トルクが必要トルク以上あること。

これまでの段階で、カップリングの構造と用途が一種類に絞られたかと思います。そうしたら次は詳細の選定です。

この時点で「カップリングの選定表」の役目は終わり、狙ったカップリングのメーカーサイトで詳細な選定に入ります。(メーカー選びに飛ぶ

詳細の選定の前に理解しておく内容があります。それは、カップリングは本体に対して軸の径をさらに選ぶことが出来るということです。

 

意味通じますかね・・・?

 

例えば、Aというカップリングの型式を選んで、A1というボディサイズを選んだら沢山の軸径を選ぶことが出来て、もぅワケわかんないからA2のサイズを見たらA2にも同じ軸径があって「一体どれを選べばいいんだーい!!」っていう状況です。

 

これ、

 

何が言いたいかというと、ボディサイズの選定基準は軸径ではなくて、許容トルクで見るんですって事です。

駆動モーターの軸に対してボディが小さければ小さいほど設計側としては嬉しいですが、そこを見てしまうと駆動のトルクに対してカップリングの能力が低すぎて壊れます。

なので、詳細一発目は駆動トルクよりカップリングの許容トルクが大きいボディサイズを選ぶことなんです。そのカップリングの許容トルクはどれだけ大きい必要があるかというと、基本的にはモーター(や駆動源)の最大トルク以上です。

昔、過負荷の際にカップリングが破壊されて設備を守るという考えもあるみたいだよ。って聞いた事があるんですが、カップリングの破壊もどこからが破壊なのか解りずらい事、そしてその破壊は予測できそうで出来ないものなので、基本的には駆動源の能力以上で選定し、設備側の保護が優先される場合はカップリングが負ける方向で選定すれば良いかと思います。

※私はまだ設備側の保護が優先され、カップリングを破壊させて設備を守る機械は設計したことがないので、そんな設計を経験したらまた説明しますね。

 

3.許容回転数も許容範囲内を選ぶ

駆動トルクを満足するサイズを選べたら、一応許容の回転数も確認します。

モーターや軸受にも許容回転数や使用可能回転数があるように、カップリングにも許容回転数というものがあります。これは「1-3」で書いているカップリングの特徴が影響しているのですが、駆動軸と従動軸が同軸であればあるほど高回転に向いていて、偏芯・偏角の許容が大きいカップリングは高回転に不向きです。逆に、高回転を回そうとするとカップリングの前に駆動軸と従動軸が出来る限り同軸上にある必要があります。

 

上記は、過去の私が破壊してしまったカップリングです。ミスアライメントが大きいにも関わらず、カップリングをバカみたいに回しすぎて壊れました。この時、初めてカップリングは重要で危険なアイテムだと知りました。

参考記事:オルダムカップリングが壊れた!危うく大事故

カップリングには気をつけたほうが良いですが、色々なカタログを見ればわかりますが、カップリングの許容回転数は、私たちが扱う10000回転以下よりも高回転領域の物が多いですよね。

 

4.軸径の組み合わせがある物を選ぶ

さて、ここまで長かったですが、ようやく軸径の選定に入れます。駆動側の軸径と、従動側の軸径の組み合わせがカップリングでも存在しないといけません。まぁ、ここまできたらもう余裕ですよね。あるもの選べばよいのですから。これでカップリングの基本的な選定手順は終わりです。

参考までに、カップリングにまつわる機械設計のポイントですが、駆動軸径と従動軸径の差が大きい場合は選べるカップリングが激減しますので、出来る限り軸同士の径を近づけておく事で、カップリング選定のバリエーションが増えてカップリングの選定が楽になります。

 

【補足1】一応、許容の偏芯・偏角・エンドプレイはあくまで目安なので、あまり頼らないように

カップリングの選定最中に意識の半分がこの「偏芯・偏角・エンドプレイ」にあったかと思いますが、まずはそれらの意味を把握してみます。

  • 偏芯:軸の平行ズレ(同軸でない)
  • 偏角:軸の角度ズレ(同軸でない)
  • エンドプレイ:軸方向の移動

カップリングでいう「ミスアライメント」を許容するというのは、上記のような組立上のズレや、高温環境などによる軸の伸びなどにカップリング側で吸収し許容できるという意味です。

ではどんな構造のカップリングがミスアライメントの許容を持っているかというと、複数部品で構成されているカップリングです。もう少しいうと、カップリング自体にガタのあるものです。逆にリジットなどのカップリングはミスアライメントに対しては対応不可です。設計士はこの許容をどう理解したら良いかというと、基本的に偏芯・偏角を許容されているからといって「設計が適当でもなんとかなるだろう」と考えるのは絶対ダメです。

確かにそれらカップリングは、ミスアライメントを許容していますが、その許容ギリギリの設計や越えているものは寿命が短くなったり、回転数の早いものは、想定を越える振動が出たりするために、設計は構造上偏芯・偏角が起きづらい設計をした上での保険的な感じで考えた方が良いと思います。

逆を言えば、そのカップリングがもつ許容偏芯量や偏角許容範囲に設計側であわせこむ必要があるということです。その指標ですが、偏芯・偏角が同時に起きることを考慮するとミスアライメント許容値1/3が設計推奨値されています。

まぁ、、ほぼ無いと考えた方が良いですよね。実際組み上がった機械の測定も困難ですから。カップリングを利用する場合の設計側の意識としては、組み立てるときにノックピン当てで組める機械にしたり、モーターなどが重たい場合はネジで位置調整できる機構を設けておく事はとっても重要です。

 

【補足2】外径と全長は選定の必須条件ではない

一応、便利なミスミのサイトなどの選定において、外径や全長から選定を進めることも出来ますが、これはどちらかというと今手元にあるものを調べるときに利用する程度で、実際新規の場合は外径や全長から選ぶことは無いと思っています。

 

【補足3】カップリングのメーカ一から製品を探すメリット

今では多くの設計者がミスミのサイトを通じてカップリングの選定をしていると思います。

カップリングはどうか解りませんが、ミスミのサイトで扱っていない製品がたまにあります。それを扱うメーカーカタログを見ると売っている場合がありますので、「あともう少し!!」みたいな際どい製品は、それを扱うメーカーにて確認するのも良いと思います。特にカスタム製品(例えば中間距離を変えることができるオーダー品や、特殊環境に合わせた専用材質品など)はミスミのサイトでおおよその形を見つけてメーカーサイトで探すのがベストです。

※但しカップリングの価格を把握するにはミスミは便利ですね。

 

カップリングを扱っているメーカー(抜粋)

カップリングを扱っているメーカーを抜粋で記載しておきます。

  • 三木プーリ
  • 椿本
  • 東洋ゴム
  • アイセル
  • NBK
  • SMC
  • 酒井製作所
  • マイティ

※記載漏れのメーカーがある場合ご連絡ください。追加いたします

 

【補足4】カップリングの使用に当たっての注意事項

高温化での使用注意点

高温下での利用は熱膨張による軸の伸び(特にエンドプレイ)も考慮できると良いです。

 

クランプタイプのカップリングをDカット軸に使う場合

軸の締結方法を選ぶ際に、キー付きのシャフトであったりシャフトがDカットされている場合に、軸とクランプ溝の位置関係を適切に行なえばクランプタイプの締結方法を選択しても良いです。(キー本体は使用しなくなります)以下はそれらの取り付け方法です。

 

画像は三木プーリ様よりお借りしました。

 

【最後に】カップリング特徴分類表のダウンロード

ここでは「カップリング特徴分類表」をダウンロードしていただけます。私なりに用途を明確にしたつもりです。どうぞ選定に、教育にご利用ください。(記事冒頭でダウンロードできるものと同じです)

注:表にある表現は、標準的な呼び方を利用しています。各メーカーごと、形が同じカップリングでも製品名が異なる場合がほとんどです。そのため、設計のカテゴリに合わせて名称変更などして自由に使ってください。

 

 

お願い

今回私は各メーカーを渡り歩き、膨大な種類のカップリングを選定しやすいようにまとめてみましたが、残念ながら、全てを織り込むことが困難でした。そのため、実際にこの記事を利用してもらう中で、表現や使用頻度が高く追記が必要なカップリングなど出てくると思います。そんな情報がありましたら、是非ご連絡ください。出来る範囲で追記したいと思います。

では、長い記事にお付き合いいただきありがとうございました。




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