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機械設計メモ2

・仕事の仕方

機械設計士が実際に精密機械の組立てをして解ったこと・感じたこと

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今日は「機械設計士が実際に精密機械の組立てをして解ったこと・感じたこと」についてのメモです。先日、高速で動く精密機械の組立作業をしましたので、その際に解ったことと感じたことを余すところ無くメモしようと思います。

 

 

精密機械の組立て

実は私、設計していながら機械の組立てをしっかりと過去に経験していなかったんです。設計士あるあるですが、2D/3DCADを使う設計の仕事ばかりで、組立を中々出来なかったりします。

今回組立をさせてもらった機械は、私が設計に関わったものではなかったので詳しい設計の背景は解りませんが、今回はとても貴重な経験が出来ました。今日はその中で私が学んだことのメモです。そのメモの多くが「設計が気をつけていれば!」というような内容ですので、少し長い記事になりますが特に設計初心者の方は自信の設計に織り込んでみてくださいね。

 

組立の際は基本的に仮締めで放置をしない

まず、組立てをしてみて一番初めに驚いたのが「仮締めはしないでね」という注意事項でした。

僕個人の意見としては、組立途中にやり直しが発生してしまったり、組順間違えたりしたときに逆に手間になるじゃん! と思ったんですが、実際にやってみると仮締めという中途半端な部分を残しながら作業を進めることにとてもリスクを感じるようになりました。

組立作業も設計と同じで、そもそもなりなおしを考えている時点でNGですね。適当に組んではいけませんし、位置決めをどう行なってから組んでいくのかをしっかり考えないといけません。仮組状態で万が一放置してしまう場合とてもリスクがあります。

 

組立てを引き継ぐときに進捗がわからないときがあった

大型機械であれば、物がついているまたは付いていないの程度であれば見れば解りますが、精密機械の場合「調整」という作業がかなり重要になってきます。そして部品たちも細々しているのでちょっと部品不具合でその先が組み立てられないとか、1つの部品待ちの状態でほぼ組み込まれている状態とか、とにかく中途半端な組立てで止まってしまうことがよくあります。そのときに「組立の進捗」が解るものが欲しかったですね。

組立て作業って、常にある仕事ではないことから、外注さんに頼んでいる会社はとても多いかと思います。しかし、そことの連携を取るための連絡シートなるものがあればとてもよいのではないかと思いました。実際は連絡シートが無くても現物見れば解ることもありますが、意外と組立作業の中で時間が掛かっている(コストが掛かっている)のはこのチェック作業だったり、部品探しだったりします。これから連絡帳をうまく活用し、特に購入品納期の把握は組立者が一番に必要な情報だと思うので、直接担当者に声掛けして話すのも大切ですが、情報が常に見える連絡シートの活用が重要だと感じました。

組立は時間ないですし、 フィードバックする仕組みが適切じゃないと設計から直すことは難しいので、これは僕の会社でも対策を練ろうと思います。

 

組付けミスをなくすように非対称部品は面取りなどをつけると良い

この組付けミスをなくすために、ややこしい部品は面取りなどを織り込み識別しやすくするという意味です。

設計をしていく上で、共通部品を極力使いたいところでして、類似形状で微妙に違うものが多く存在したりしますよね。対象に見える部品では、実は端面から0.5mm中心穴がずれているとか、そういった部品も設計上頻繁に出てしまうかと思います。そういった場合には、基準とする面(位置決め面)の面取りなどを織り込むと組立の人は迷わなくなり、極力取付けミスを少なくすることが出来ます。

 

購入品を確認し易いようにCADデータで購入品の型番が見えると良い

これは各社のルールがあるので、簡単には実現できないかもしれませんが、いくらCADデータを利用して組立後のアッセンブリが見えたとしても、似たような別のシリンダなどをつけてしまっては意味がありません。複雑な機械になればなるほど購入品も多くなってきますし、似たものを間違えてつけてしまうことが発生します。

できれば購入品の型番がCADデータで見ることができればとても良いです。組立作業者は購入品の箱を開けるときに確実に型番を見ますので、その確認が取れれば迷いが無いと思います。

 

組立図に取付け寸法は必ず必要です

この取付寸法ってものすごい重要だなと改めて感じました。最近は組立て現場でも3Dモデルが見れるようにしてある所が多いかと思いますが、組立図を設計士がサボると組み立て作業者はそのデータから寸法を拾っているのです。確かにモデルの組立てイメージは沸きますが、寸法を拾うのにデータみるのはとっても手間です。

例えば、シリンダのロッドなどのボルトで距離をセットするところでは、組立図に必ずセット寸法を入れるようにしてください。

また、ノックピンは飛び出し量が解るようにしてください、精密機械では大型機械と違いLMナットをノックピンの出量を稼ぎ、抜け防止のストッパーとして利用する場合があります。そんな時には特に必要です。打ち込みすぎてしまい、後から「もうちょっと出しておかなければいけなかった・・・」なんて事を防ぐためです。現場に3Dモデルを利用して効率上がるはずが、作業時間ふえてる・・・・って感じですね。これ、注意したほうが良いです。

参考:組立図の書き方が解らない人はちょっと参考にしてみてください。

 

組立者がLMガイドを取り付ける場合の基準面をわかるように

装置内でLMガイドなどのリニアガイドを取り付ける場合、レールの位置決めに対してナットの位置決めができるように設計してください。 僕が組んだ機械ではレールを取り付けるとナットの位置決めができないものとかがありました。LMガイドには基準となる面(削ってきれいになっている場所)があります。カタログを見て適切な位置決めをする必要があります。

 

搬送時にフォークリフトが入らないと困るのでちゃんと入るようにしてください

これ、意外と盲点でした。多くの機械がフレームに各ユニットが乗ったりしていると思うんですけど、重量バランスとかも考慮して、もちろん段差がついていると真上に持ち上げられませんよね。だからちゃんとフォークが入る場所を確保してあっても、フレームの下にボルトが飛び出していたりする場合があって、それが運搬に影響がありました。

これは設計者も気をつけなければいけませんし、組立者も気をつけないといけません。

 

案の定?平行ピンの圧入は、簡単にぬけてしまうものがあった。

ずっと前から気になっていましたし、私自身が別の仕事でピン圧入する工程を担当していたときにもそうでしたが、一般的に公表されている締め代に対する圧入の品質で、特に軽圧入などではスキマが生まれてしまいます。そうなった場合、組立では圧入で固定することが難しいので、どうしようもないから傷つけて接着剤を塗布するしかないとベテラン組立者の方に教えてもらいました。でも・・・違和感が取れませんでした。

以前、中実軸とベアリング内径における「ベアリングの圧入力と引き抜き力の基本計算」という記事を書きました。ここにある計算シートはざっくりですが、平行ピンの圧入にも使えますので、ベアリング内径を圧入される母材に見立てて出来るだけ締め代を適切に得るような公差で設計できれば組立者は手間が少なくなると思います。設計者の方はとにかくスキマができることを把握したほうが良いかなと思います。

 

調子こいて胸ポケットに工具入れると落としてぶつける

これは僕のミスですが、調子こいて胸ポケットにペンを入れていましたら、機械にもぐりこんだときに落っことしまして取るのに苦労しました。工具でなくて良かったなぁ・・・と思いました。 工具胸に入れていると落っことしてぶつけちゃいますよ・・。

 

少しでも特殊なネジは購入品で

これはたまたま私が組み立てた機械の設計士さんが丁寧な方で、一般的でないボルト類を全て購入品で手配してくれていました。通常ボルトなんかにコストは極力掛けたくありませんが、このように購入品として手配してくれることで、購入品で手配されたボルトが余った際には「どこかに取り付くはずのボルトがここに・・・」となるわけです。精密機械においては部分的にボルトの材質変えて段取りに対応したりすることがあるので、組立てで間違わないようにボルトを取り付けるのはとても重要だったりします。

 

一貫した名称が組立て者解りやすい

ユニットが複雑になればなるほどサブユニットが増え、さらに配管図も圧縮エアと吸引で分かれてきたりとにかく図面が増えてしまいます。日本語表記の図面もあれば、英語表記の図面も存在してきます。そこの差であったり日本語表記でも多少ずれている図面があるとすれば若干の組立混乱が起きたりしてしまうので、細かいことではありますが、図面がまとまってきたときには各図面調整しておくことが必要だと思いました。

 

 

配管図は原点で書くことを統一する

ここも意外と統一されていることだと思いますが、配管図は「デフォルト状態」つまり動作前で統一して書いておくことが重要です。そしてさらに重要だとかんじたのが、図面に「本図の配管及び機器の位置は原点位置とする」などという注記があると大変良いと思います。

それはなぜかというと、シリンダが出てる出ていないの絵ってすごく重要ですが、たまーに間違えているやつがあると組立て者は混乱してしまうんですが、そのときに「本図の配管及び機器の位置は原点位置とする」という注記があれば図面が間違えているとかの把握をしてもらいやすくなります。何も考えない組立者がいた場合、そのまま組まれてはいきなりぶつけてしまうことになりますので「この図面は原点のつもりで書いてます」という注記は付けておきましょう。

 

組立者は意外とボルト長さを見ていて、長さが足りないとボルトを変えている

すこしショックだったのが、組立者は意外とボルト長さを見ていなかったことです。

自分もやってみてわかりましたが、あまり見ません・・・というか、データからボルトのL寸を拾って探して取り付けるが、短いことがわかって少し長いのに入れ替える。という作業が結構ありました。ここは設計者の方が結構注意したほうが良いところです。どのタイミングで使用するボルトの長さを確定するか各社それぞれかと思いますが、ねじが長ければCADの干渉チェックで気づきますが、短い場合干渉チェックで見逃します。現場では入れ替え作業が起こっています。

 

組み付ける順番に左右される考慮できる設計を

この、組付ける順番に左右されない構造、ユニット構成がとても重要だと感じました。例えばボルトが中途半端に上の構成プレート重なっていると締め付けられませんよね。そういった構造の場合、購入品待ちが発生した場合特に、食い散らかしたような中途半端なユニットたちになります。ある程度構成がシンプルであればそこそこ組んだまま待てるのに、その締めれないボルトがあるから中途半端なまま放置せざるをえないのです。

考慮できるなら、出来る限りボルトの頭は見えるように設計したほうが良いと思いました。

 

まとめ

私は実際に組立てをして最終的にどう進化したかというと、今の自分よりもっと思いやりを持って設計しようと思うようになりました。私の中での設計の思いやりとは「考慮」だと思っていて、色々なことに対する考慮を今後どんどん織り込んでいきたいと思いました。

 

以上です。




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