クリーンルーム静電気対策の完全ガイド【機械設計者向け】

2025年11月4日

 

ここでは クリーンルームで稼働する自動機 について、設計者が意識するべき 「クリーンルーム静電気対策」 についてメモしています。

 

クリーンルームでの自動機設計で、静電気という見えない敵に頭を悩ませる設計者も多いかと思います。 私自身、対策を調べてはみるものの、多くの情報サイトでは接地やイオナイザといった個別の対策は紹介されていても、それらがどう関連し、設計フロー全体の中でどう体系的に考えれば良いのかという視点が不足していると感じていました。 実際の設計においては静電気対策の具体的指示を受けて実践するだけで本質を理解して施す設計者がどれだけいるのか。 わかりません。

 

この静電気対策は、断片的な知識だけでは、根本的な解決には至らないと考えています。

 

そこで、この記事では他のサイトでは網羅しきれていない「基礎から応用まで」を意識して情報をまとめています。  静電気の発生原理とESDがもたらす深刻なリスクといった基礎から始め、具体的な対策手法を解説、 そして最終的には、IEC 61340などの国際規格や測定器を用いた客観的な評価・検証方法までを網羅して、設計の信頼性を高めることを目標にメモしています。何かしらご判断のお役に立てれば幸いです。

クリーンルーム静電気対策の基本と発生原理

二つの脅威:ESDとESA

クリーンルームで静電気が引き起こす問題は、大きく分けて「静電気放電(ESD)」と「静電引力(ESA)」の二つに分類されます。  これらは発生する現象も対策も異なるため、それぞれを正確に理解することが大切です。

 

 

静電気放電(ESD:Electrostatic Discharge)

ESDは、帯電した物体から他の物体へ、短時間に大電流が流れる放電現象です。  この放電によって発生する局所的な熱が、半導体素子の微細な回路を物理的に溶融させ、デバイスを破壊します。  これは製品の即時故障だけでなく、市場に出た後に故障する「潜在不良」の原因ともなり、歩留まりや信頼性に深刻な影響を与えます。  特に、帯電した作業者から放電する「人体帯電モデル(HBM)」、帯電した機械から放電する「マシンモデル(MM)」、デバイス自体が帯電して放電する「デバイス帯電モデル(CDM)」の3つのケースを想定した対策が求められます。

 

 

静電引力(ESA:Electrostatic Attraction)

ESAは、帯電した物体の表面が、空気中に浮遊する微細なパーティクル(ゴミやホコリ)を静電気力で引き寄せてしまう現象です。  一度付着したパーティクルはエアブローなどでは容易に除去できず、半導体ウェハやディスプレイ基板の表面に付着すると、回路のショートやマスキング効果による製造不良を直接引き起こします。  クリーンルームの清浄度を維持する上で、ESAは極めて厄介な問題です。

 

このように、ESDは「電流」によるデバイスの電気的破壊、ESAは「電界」による物理的な汚染という違いがあります。  したがって、設計者は両方の脅威を念頭に置き、包括的な対策を講じる必要があります。

 

 

静電気発生を左右する湿度の重要性

クリーンルームにおける静電気の発生量をコントロールする上で、湿度の管理は最も基本的かつ影響力の大きい要素です。  空気中の水分は、物質の表面に目に見えないほどの薄い水の膜を形成します。  この水分層は電気を通しやすいため、発生した静電気が自然に空気中へ漏洩するのを助け、結果として電荷の蓄積を抑制するのです。

 

一般的に、相対湿度が40%を下回ると帯電量が急激に増加する傾向 があります。  そのため、多くの半導体や電子部品を製造するクリーンルームでは、相対湿度を40~50%の範囲に保つことが推奨されています。  この範囲が、静電気の抑制と、高すぎる湿度によって引き起こされる金属部品の腐食や特定の化学プロセスへの悪影響といった問題との間で、最適な妥協点 となるからです。

 

ただし、湿度管理だけで全ての静電気問題が解決するわけではありません。  自動機の高速な動作は、たとえ湿度が管理されていても、電荷の自然な漏洩速度を上回るペースで静電気を発生させることがあります。  また、プロセスによってはより低い湿度が要求される場合もあるでしょう。  したがって、湿度管理はあくまで静電気対策の土台であり、後述する接地やイオナイザといった他の対策と組み合わせることが不可欠です。

 

 

接地とボンディング:対策の礎

導電性を持つ部材に対する静電気対策の最も基本的な手法が、接地(アース)です。  これは、発生した静電気を大地へ安全に逃がすための通り道を設ける考え方に基づきます。  金属などの導体は電気を通しやすいため、アース線で大地と接続されていれば、静電気が発生しても瞬時に逃げていくため帯電しません。

 

自動機の設計においては、「ボンディング(等電位化)」と「一点アース」が原則となります。  ボンディングとは、装置内のフレームやパネル、モーターといった複数の導電性部品を電気的に接続し、全体を同じ電位に保つことです。

 

そして、そのボンディングされた導体群を、一箇所(アースバーなど)に集めて施設のアースへ接続するのが「一点アース」です。  これにより、接地線間に電位差が生まれる「グランドループ」の形成を防ぎ、装置の各部が確実に同じ電位に保たれます。

 

 

自動機における具体的なボンディング方法

自動機で確実なボンディングを行うには、いくつかの具体的な方法があります。  例えば、塗装が施されたフレーム同士をボルトで締結する場合、表面の処理層が絶縁体となり、そのままでは電気的に接続されません。  このような場合、締結部にギザギザの歯がついた「スターワッシャー(菊座金)」を挟み込みます。

 

これにより、ワッシャーの歯が表面の絶縁層を突き破り、金属母材同士の導通を確保できます。  このような部品は、機械部品を扱う専門商社のサイトなどで「アース座金、外歯ワッシャー」として販売されています。 重要なのは「スターワッシャー(菊座金)は塗装皮膜用であり、硬いアルマイト皮膜には不向きである」という事です。 アルマイト(絶縁膜)に導通させる場合は「導電性アルマイト処理」や「めっき」を施すのが選択肢となります。

 

また、装置内の各ユニットやセンサーブラケットからのアース線を一元管理するために、主フレームに「アースバー」と呼ばれる銅製の板を取り付け、そこに各アース線を集約する方法も一般的です。  さらに、可動部と固定部のように動きを伴う箇所を接続する際には、柔軟性に優れた「編組線(ブレード線)」が用いられます。  これらの方法を適切に組み合わせることで、装置全体の導電性を確保します。

 

 

 

イオナイザによる積極的な中和

接地(アース)が効かない絶縁体や、電気的に孤立した導体(浮遊導体)の静電気を除去するために用いられるのが、イオナイザ(除電器)です。  イオナイザは、コロナ放電という現象を利用して、空気中の分子をプラスイオンとマイナスイオンに電離させます。

 

具体的には、イオナイザ内部の鋭利な放電針に高電圧をかけることで、その先端に強力な電界を発生させます。  この電界が空気分子に作用し、イオンを生成するのです。生成されたプラスとマイナスのイオンは、ファンによる送風などによって帯電した対象物まで運ばれます。  そして、対象物がプラスに帯電していればマイナスイオンを、マイナスに帯電していればプラスイオンを引き寄せ、表面の電荷を電気的に中和(除電)する仕組みです。

 

イオナイザを選定する際には、プラスとマイナスのイオンをどれだけ均等に供給できるかを示す「イオンバランス」が重要な指標となります。  このバランスが悪いと、除電対象を逆に帯電させてしまう「逆帯電」を引き起こす可能性があるため注意が必要です。

 

 

表1 イオナイザ技術の比較

技術方式 動作原理 イオンバランス 除電速度 有効距離 主な用途
AC方式 1本の放電針で+/-イオンを交互生成。 比較的良い 中速 短距離 局所的な除電、装置組込み
高周波AC方式 高周波交流で高密度イオンを生成。 非常に良い 高速 中距離 高速除電、高感度デバイス近傍
DC方式 +/-専用の放電針でイオンを連続生成。 調整が必要 高速 中~長距離 高速搬送ライン、エアアシスト併用
パルスDC方式 +/-放電針にパルス電圧を印加。再結合を抑制。 良い 中速 長距離 広い空間、無風・低風速環境

 

 

表2 イオナイザ形状の比較

種類 形状・特徴 主な用途
ファンタイプ イオンをファンで広範囲に送り届ける。風向調整が容易。 セル生産台や組み立てラインなど、特定の空間全体の除電。
ノズル/スポットタイプ 圧縮エアと共にイオンをピンポイントで高速噴射する。小型で組込みやすい。 パーツフィーダー内の部品やフィルム搬送など、局所的な高速除電。
ガンタイプ 手持ちで使うノズルタイプ。現場で手軽に使用可能。 自動車板金塗装や手作業での除塵・除電。
バータイプ 長尺のバーに多数の放電針を配置。幅の広いエリアを均一に除電。 フィルム搬送ラインやコンベア上など、広範囲の除電。

 

 

具体的なクリーンルーム静電気対策と評価方法

表面抵抗率で選ぶ静電気対策の材質

静電気対策を効果的に行うためには、使用する材質の電気的特性を正しく理解し、選定することが鍵となります。  材質の静電気特性は、その「表面抵抗率」という数値によって定量的に分類されます。

 

国際規格である IEC 61340(一部JIS化) などでは、表面抵抗率に基づいて材料を大きく3つの領域に分類しています 。

 

 

表3 表面抵抗率による材料分類(IEC 61340-5-1準拠)

分類 表面抵抗率の範囲 (Ω/sq.) 電荷減衰特性 代表的な材料 自動機設計における役割
導電性 < 1 × 105 瞬時に減衰 金属、カーボン充填樹脂 フレーム、筐体、アース経路
静電気拡散性 1 × 105 ~ 1 × 1011 制御された速度で減衰 導電性ポリマー、一部の帯電防止樹脂 製品に接触する治具、トレイ、作業台マット
絶縁性 > 1 × 1011 減衰しない(電荷を保持) 一般的なプラスチック(PE, PVC)、ガラス、セラミックス 構造部材、電気絶縁用途(ただし帯電対策が必須)

自動機の設計、特に製品と直接接触する治具やトレイなどには、「静電気拡散性」の材質を選ぶのが最も安全で効果的です。  導電性の材質のように急激な放電でデバイスを破壊するリスクがなく、かといって絶縁性のように電荷を溜め込むこともないため、静電気を穏やかにコントロールできます 。

 

 

クリーンルームで注意すべきアウトガス

クリーンルーム用の材質選定では、静電気特性に加えて「パーティクルの発生」や「アウトガス」が少ないことも盲点となりがちな重要な要件です。  アウトガスとは、材料から放出されるガス状の分子のことで、これが製品表面に付着して汚染を引き起こします。

 

自動機における主な発生箇所としては、ケーブルの被覆材、樹脂部品に含まれる可塑剤、部品固定に使う接着剤やシール剤、そして直動案内などに使われる潤滑グリスなどが挙げられます。

 

特に、装置が熱を持つ部分や、真空環境下で使用される部分ではアウトガスの放出が促進されるため、低アウトガス仕様の材料や部品を意図的に選定することが極めて重要になります。

 

 

高機能樹脂PEEKの静電気対策グレード

PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)は、優れた耐熱性、耐薬品性、機械的強度を持つスーパーエンジニアリングプラスチックとして知られています。  しかし、未充填のナチュラルグレードは絶縁体であり、そのままでは静電気問題を助長する可能性があります。

 

そこで、このPEEKに静電気対策性能を付与した様々なグレードが開発されています。  代表的なのは、炭素繊維(カーボンファイバー)やカーボンナノチューブなどを充填することで、導電性や静電気拡散性を持たせたグレードです 。

 

これらの静電気対策グレードのPEEKは、ベースとなるPEEKの優れた特性を維持しつつ、静電気を安全にコントロールできるため、クリーンルーム内の自動機部品として非常に有用です。  例えば、半導体ウェハを搬送するロボットのハンド部分(エンドエフェクタ)や、ICの電気特性を検査するテストソケットなど、高い清浄度が要求され、かつ静電気による破壊が許されない精密な用途で広く採用 されています。  設計者は、要求される表面抵抗率や機械的強度に応じて、最適なPEEKグレードを選定することが可能です。

 

 

表4 自動機設計のためのPEEKグレード比較

PEEKグレード 主要な機械的特性 連続使用温度 表面抵抗率 (Ω/sq.) 主な用途/ユースケース
未充填(ナチュラル) 高靭性、高強度 約260℃ > 1013 (絶縁性) 構造部品、絶縁体(帯電注意)
ガラス繊維強化 高剛性、高クリープ強度 約260℃ > 1013 (絶縁性) 高負荷構造部品(帯電注意)
炭素繊維強化 最高レベルの剛性と強度 約260℃ 102 ~ 105 (導電性) 高剛性が要求される摺動部品、接地部品
ESD対策グレード バランスの取れた機械特性 約260℃ 106 ~ 109 (静電気拡散性) ICテストソケット、ウェハハンドラ、電子部品用治具

※値の詳細は使用するメーカーより取得するようにしてください。

 

 

クリーンルーム用アクチュエータの静電気リスク

クリーンルームで使用される電動アクチュエータやエアシリンダは、第一に「発塵しないこと」を目的として設計されています。  ステンレスシートによる密閉構造や、内部のエアを吸引する機構により、内部からのパーティクル発生を防いでいるのが一般的です。

 

しかし、静電気対策は必ずしも標準仕様に含まれているわけではなく、盲点となりがちです。  アクチュエータの動作、例えばガイド部の摺動やタイミングベルトの回転は、摩擦による静電気の主要な発生源となります。  特に、カバーが絶縁性の樹脂で作られていたり、内部のベルトが帯電しやすい材質だったりすると、アクチュエータ自体が帯電し、ESAによるパーティクル付着や、近接するデバイスへのESDリスクを高める可能性があります。

 

対策としては、まずメーカーによる静電気対策の推奨内容把握と、アクチュエータの金属製の本体やフレームを、前述のボンディングや一点アースの原則に従って確実に接地することが不可欠です。

 

 

ケーブル・配線とEMC/EMI対策

自動機における静電気対策を考える上で、ケーブルや配線の取り扱いは盲点になりやすいポイントです。  静電気放電(ESD)は、強力な電磁ノイズを発生させ、周辺の電子機器に誤動作を引き起こす電磁妨害(EMI)の原因となります。  そのため、ESD対策は電磁両立性(EMC)対策と密接に関連しています。

 

配線ルートも重要です。  高感度な信号ケーブルと、ノイズ源となりうるモーター駆動用の電源ケーブルなどは、物理的に離して配線することが推奨されます。  さらに、ケーブルキャリア内でケーブルが動く際の摩擦によっても静電気は発生するため、静電気拡散性のジャケットを持つケーブルや、帯電防止効果のあるフレキシブルコンジットを使用することも有効な対策となります。

 

 

静電気測定器による効果の見える化

静電気対策を設計に盛り込んでも、それが実際に意図した通りに機能しているかを確認しなければ意味がありません。  対策の効果を定量的に評価し、問題を特定するために、静電気測定器の使用は不可欠です。

 

主に使われる測定器は2種類あります。

 

一つは「表面電位計(静電気測定器)」です。  これは、物体表面の帯電量を電圧(V)として非接触で測定する装置です。  接地が効かない絶縁体の帯電レベルを確認したり、プロセス中のどの段階で静電気が最も発生しているかを特定したりするのに役立ちます。  測定の際は、測定器と対象物との距離を一定に保つなど、正しい使用法を守ることが正確な値を得るために大切です。

 

もう一つは「抵抗計(メガオームメータ)」です。  これは、材質の表面抵抗率や、アースが正しく接続されているかを確認するための接地抵抗を測定します。  これにより、使用している材質が仕様通りの静電気拡散性の範囲にあるか、また、装置のフレームが確実に接地されているかなどを数値で検証できます。  これらの測定器を用いて定期的に監査を行うことで、静電気対策の信頼性を維持することが可能となります。

 

 

対策効果を維持するメンテナンス

静電気対策は、装置を導入して終わりではありません。  その効果を長期的に維持するためには、定期的なメンテナンスが不可欠です。  設計者は、メンテナンスのしやすさも考慮して設計を行うべきです。

 

特にイオナイザは、性能維持のために注意が必要です。  放電針の先端にホコリや汚れが付着すると、イオンの生成能力が著しく低下し、除電効果がなくなってしまいます。  そのため、定期的に放電針を清掃する、あるいは交換するといったメンテナンスが求められます。  製品によっては、放電針の汚れを検知して知らせる機能や、自動でクリーニングする機能を備えたものもあります。

 

また、接地(アース)も同様です。  アース線の接続部は、装置の振動によって緩んだり、腐食によって接触不良を起こしたりする可能性があります。  定期的に接続部の緩みがないか、抵抗値が規定の範囲内にあるかを確認し、必要に応じて締め直しや清掃を行うことが、対策の信頼性を保つ上で重要です。

 

 

 

準拠すべき主要規格:IECとSEMI

信頼性の高い静電気対策を構築するためには、国際的に認められた標準規格を参照し、それに準拠した設計を行うことが推奨されます。

 

IEC 61000-4-2

静電気対策の分野で最も基本となる国際規格が「IEC 61340」シリーズであり、特に最終製品の静電気放電(ESD)イミュニティ(耐性)を評価するための試験方法を定めた「IEC 61000-4-2」は非常に重要です 。  この規格に準拠することで、製品が一定レベルの静電気耐性を持っていることを客観的に示すことができます。

 

SEMI規格

半導体製造装置の業界では、国際半導体製造装置材料協会(SEMI)が定めるSEMI規格が広く用いられています。  特に、装置における静電気放電(ESD)と静電引力(ESA)の評価と管理に関するガイドラインである「SEMI E78」や、半導体工場全体の静電気管理に関する「SEMI E129」などが存在します 。  これらの規格は、半導体工場に装置を納入する際の要求仕様となることも多く、設計者はその内容を理解しておく必要があります。

 

これらの規格に準拠することで、設計者は勘や経験だけに頼るのではなく、客観的で体系的なアプローチに基づいた静電気対策を実践できます。

 

 

網羅的知識で最適なクリーンルーム静電気対策を

これまで解説してきたように、クリーンルームにおける自動機の静電気対策は、単一の手法で解決できる単純な問題ではありません。  最適な対策を施すためには、網羅的な知識に基づいた体系的なアプローチが不可欠です。この記事で解説した重要なポイントを以下にまとめます。

  • クリーンルームの静電気問題はESD(静電気放電)とESA(静電引力)の2つに大別される
  • ESDは電子デバイスの直接破壊を、ESAはパーティクル付着による品質低下を引き起こす
  • 静電気の発生は湿度に大きく影響され、一般的に相対湿度40~50%の管理が推奨される
  • 導電性部材への対策の基本は接地(アース)であり、一点アースの原則が重要
  • 絶縁性部材には接地が効かないため、イオナイザによる積極的な除電が必要となる
  • イオナイザはコロナ放電の原理を利用して空気イオンを生成し、電荷を中和する
  • 対策材質の選定は表面抵抗率を基準に行う
  • PEEKなどの高機能樹脂には、導電性を付与した静電気対策グレードが存在する
  • 製品に直接触れる治具などには、静電気拡散性グレードのPEEKが適している
  • 対策の効果は、表面電位計や抵抗計などの静電気測定器を用いて定量的に評価する
  • 表面電位計は絶縁体の帯電圧を、抵抗計は材質の表面抵抗や接地抵抗を測定する
  • IEC 61340やSEMI E78などの国際規格に準拠することで、対策の信頼性を高めることができる
  • ケーブルのシールドや配線ルートもEMC対策の観点から重要
  • イオナイザの清掃など、対策効果を維持するための定期的なメンテナンスも不可欠
  • これらの知識を組み合わせ、発生抑制、安全な除去、影響からの保護という三本柱で対策を講じることが成功の鍵となる

 

以上です。

 

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