ここでは 「搬送ラインのレイアウト上、ワークを往復させたい」「不良品が出たときだけ逆走させて排出したい」などの目的がある時に意識するべき 「ベルトコンベアを正逆回転させる方法」 についてのメモです。
自動機の構想設計において、こうした要望が出ることは珍しくありません。 一見すると、モーターの配線を入れ替えるだけで簡単に実現できそうに思えます。 しかし、いざ試運転を始めると「ベルトがすぐに片寄ってフレームに擦れる」「逆転時だけワークが滑る」「モーターが異常発熱して止まる」といったトラブルが頻発し、頭を抱えた経験はないでしょうか。
多くのWEBサイトでは「蛇行防止ガイドを付ければ良い」という結論だけで片付けられがちです。 しかし、なぜ逆転すると蛇行するのか、その力学的メカニズムや、駆動方式による張力変化の違い、さらにはJIS規格に基づいた計算や安全対策まで踏み込んで解説している情報は驚くほど少ないのが現状です。
本記事では、単なる製品紹介にとどまらず、「なぜその選定が必要なのか」という工学的根拠 を掘り下げ、設計者が自信を持って仕様決定できるよう、現場で直面する課題解決への道筋を網羅的に解説します。
ベルトコンベアを正逆回転させる方法の基礎理論
有効張力の変化が招く搬送トラブル
ベルトコンベアを設計する際、正転と逆転ではベルトにかかる「張力分布」が劇的に変化することを、まずは力学的に理解しておく必要があります。 通常、コンベアは駆動プーリがベルトを摩擦力で牽引することで動力を伝達します。 このとき、駆動プーリへ向かっていく側のベルトは強く張られ(張り側:T1)、駆動プーリから送り出される側のベルトは緩みます(緩み側:T2)。
一方向運転のみを想定した設計では、ワークが載る「キャリア側」が常に「張り側」になるように駆動プーリの位置(通常は搬送方向のヘッド側)を決定します。 これにより、ベルトはパンと張った状態でワークを運びます。 しかし、同じ機構で逆回転(逆転)を行うと、この力学的関係が完全に反転します。 今まで引っ張られていたキャリア側のベルトが、逆転時には駆動プーリから「押し出される」形となり、「緩み側」へと変化してしまう のです。
キャリア側の張力が低下すると、ベルトは自身の重みやワークの荷重でたわみやすくなります(サグの発生)。 このたわみは、搬送精度の悪化を招くだけでなく、ベルトとガイドレールの接触抵抗を増大させ、摩耗を早める原因となります。
さらに、ベルトが波打つような挙動を示すことで、ワークが転倒したり、姿勢が崩れたりするトラブルに直結します。 したがって、双方向搬送を計画する場合は、正転・逆転のどちらであっても、搬送に必要な有効張力が維持できる機構設計、あるいは十分な安全率を見込んだ張力設定が不可欠 です。
逆転時に頻発するスリップの発生原因
正逆転を行うコンベアにおいて、特に設計者を悩ませるのが、駆動プーリとベルトの間で発生する「スリップ」です。 ベルトコンベアが駆動力を伝達できる限界は、オイラーのベルト公式によって説明されます。
重要なのは、伝達可能な力は「緩み側張力(T2)」に依存するという事実です。 つまり、緩み側の張力がゼロに近づくと、どれだけ高出力なモーターを使っていても駆動力は伝わらず、プーリだけが空転してしまいます。
前述の通り、一般的なヘッド駆動(先端駆動)方式のコンベアを逆転させると、ワークが積載されているキャリア側が「緩み側」になります。 この状態で重いワークを搬送しようとすると、ベルトとスライダベッド(またはローラ)間の摩擦抵抗に打ち勝つために必要な張力が不足し、スリップが発生します。
この現象を回避するために、初期張力(イニシャルテンション)を通常よりも極端に高く設定し、逆転時でも緩み側張力が確保されるように調整する現場を見かけます。 しかし、これは対症療法に過ぎません。 過剰な初期張力は、プーリの軸受(ベアリング)やモーター軸に常時過大なラジアル荷重をかけることになり、機械寿命を著しく縮める要因となります。 スリップを防ぐための根本的な解決策は、単純な張力アップではなく、後述する「駆動方式の適切な選定」にあると言えます。
クラウンプーリだけで蛇行は防げない
ベルトの蛇行防止策として、プーリの中央径を端部より太くする「クラウン加工(太鼓型加工)」が広く知られています。 これは、ベルトが周速の速い方(直径の大きい方)へ寄ろうとする物理的性質を利用した、シンプルかつ効果的な自動調芯機能です。
一方向運転のコンベアであれば、適切なクラウンプーリを採用するだけで、多少の設置誤差やベルトの癖を吸収し、ベルトを中心位置に保つことが可能です。
一方で、正転と逆転を繰り返すコンベアにおいては、クラウンプーリのみに依存した蛇行制御は極めて困難であり、リスクが高いと言わざるを得ません。 その主な理由は、コンベアフレームの微細な歪みや、プーリ・ローラのアライメント(平行度)誤差が、回転方向によって全く異なるベクトルとして作用するためです。
例えば、正転時には偶然バランスが取れていたとしても、逆転した瞬間にその均衡が崩れ、一気に片側へ蛇行し、フレームと接触してベルト耳部が破損するといった事故が多発します。
加えて、長期間正転で使用してベルトに「なじみ」や「巻き癖」がついている場合、急に逆転させるとベルト内部の残留応力が解放され、予期せぬ挙動を示すことがあります。 クラウン効果はあくまで穏やかな調芯作用であり、逆転時の急激な張力変動や外乱による大きなズレを瞬時に補正するほどの強制力はありません。 このことから、双方向搬送においては、物理的にベルトの位置を規制するガイド機構の併用が前提条件となります。
JIS B 8803規格に学ぶ設計基準
日本の産業機械設計において、ベルトコンベアの計算や設計のよりどころとなるのが「JIS B 8803(ベルトコンベヤ-一般用-計算式)」などの日本産業規格です。
この規格では、所要動力の算出方法や、各部にかかる張力の計算式が詳細に定義されています。
双方向運転の設計においても、この規格の考え方を適用することが重要です。 規格内では、定常運転時の動力だけでなく、始動時や停止時にかかる「加速抵抗」「減速抵抗」を考慮した最大張力の確認手順が示されています。 特に正転から逆転へ切り替える際、減速と再加速のプロセスでベルトには定常時の数倍の負荷がかかる場合があります。
JIS規格に基づいた計算プロセスを経ることで、「逆転時にベルトがスリップしないための必要最小張力」や、「ベルト自体が破断しないための安全率(通常は8~10倍程度)」を定量的に把握できます。
経験や勘に頼るのではなく、規格に則った数値を根拠にモーターやベルトを選定することで、予期せぬトラブルを防ぎ、信頼性の高い自動機を設計することが可能になります。
ベルトコンベアを正逆回転させる方法と機種選定
ヘッド駆動が双方向搬送に不向きな理由
ミスミや各社コンベアメーカーのカタログで最も一般的に見かけるのが、搬送方向の先端にモーターを配置する「ヘッド駆動」方式です。
構造がシンプルで部品点数が少なく、コストも安価であるため、通常の一方向搬送においては第一の選択肢となります。 しかし、「正転・逆転」を仕様に含む場合、この方式は推奨できないケースが多々あります。
最大の理由は、前項でも触れた「張力分布の非対称性」です。 ヘッド駆動では、正転時(モーター側へワークを運ぶ)はキャリア側が張り側となり安定しますが、逆転時(モーターから遠ざかる方向へ運ぶ)はキャリア側が緩み側となります。 機長が長くなればなるほど、ベルト全体の弾性変形量が増え、この影響は顕著になります。
以下の表は、駆動方式による特性の違いをまとめたものです。
| 比較項目 | ヘッド駆動 (Head Drive) | 中間駆動 (Center Drive) |
| 駆動プーリ位置 | コンベア先端(ヘッド側) | コンベア中央下部(リターン側) |
| 正転時の張力 | キャリア側:張り側(安定) | キャリア側:張り側(安定) |
| 逆転時の張力 | キャリア側:緩み側(不安定) | キャリア側:張り側(安定) |
| スリップリスク | 逆転時に高い(高張力設定が必要) | 低い(正逆で同等) |
| 機長への対応 | 短機長向き | 長機長にも対応しやすい |
| コスト | 安価 | 部品点数が多くやや高価 |
| スペース | 端部にモーターが出っ張る | 下部にモーターが出っ張る |
| 参考出典先 | ミスミ:FAメカニカル標準部品カタログ |
表からも分かるように、ヘッド駆動の逆転運転は構造的に不安定要素を含んでいます。 軽荷重で低速、かつ頻度が低い(メンテナンス時のみ逆転するなど)場合であれば運用でカバーできることもありますが、自動機として定常的に往復搬送を行う場合は、調整が非常にシビアになり、長期的な信頼性を損なう可能性があります。
安定性を重視するなら中間駆動を選ぶ
双方向搬送を行う上で、力学的観点から最も理にかなっているのが「中間駆動(センタドライブ)」方式です。 この方式は、コンベアの機長中央部(リターン側ベルトの下面)にモーターと駆動ユニットを配置する構造を持っています。
中間駆動の最大のメリットは、正転時と逆転時で「張力分布の変化が対称に近い」ことです。 駆動部がリターン側の中央にあるため、どちらの方向に回転させても、キャリア側(ワーク搬送面)のベルトは、両端のプーリ(どちらもアイドラとなる)間で引っ張られる状態を維持しやすくなります。
ヘッド駆動の逆転時に見られるような、キャリア側のベルトのたるみが物理的に発生しにくいため、ワークを非常に安定して搬送することが可能です。
また、ミスミの『CVSN』シリーズなどの中間駆動タイプを選択すると、コンベアの両端を同じ形状(例えば両端とも小径プーリやナイフエッジ)にできるという利点もあります。 これにより、前後の設備との乗り継ぎ条件を均一化でき、ラインレイアウトの自由度が大幅に向上します。
初期コストはヘッド駆動に比べて若干高くなる傾向にありますが、試運転時のトラブル対応コストや、運用後のダウンタイムを考慮すれば、双方向運転には迷わず中間駆動を選定することが、結果として最も経済的で確実な選択となります。
蛇行防止桟付きベルトを選ぶべき理由
正逆転を行うコンベアにおいて、ガイドのない通常の「平ベルト」を使用することは避けるべきです。 逆転時の蛇行挙動は予測が難しく、熟練者が時間をかけてプーリ調整を行っても、長時間運転すれば必ずと言っていいほどズレが生じます。 そこで必須となるのが、「蛇行防止桟(Vガイド)」が付いたベルトの選定です。
蛇行防止桟とは、ベルトの裏面に全周にわたって溶着された台形やV字型のプロファイルのことです。 これがプーリやスライダベッドに加工されたV溝にはまり込むことで、物理的にベルトの横ずれ(スラスト方向の動き)を拘束します。 この機構があれば、回転方向が変わって張力バランスが崩れそうになっても、桟がガイドレールとなって軌道を強制的に維持してくれます。
ミスミの型式選定においては、ベルト仕様コードで「蛇行防止」や「Vガイド付」が明記されているタイプ(例:SVKRなど)を指定します。
これにより、現場での煩わしい蛇行調整作業から解放されるだけでなく、ベルトがフレームに接触して破損したり、削れカスがワークに混入したりするリスクを劇的に低減できます。 双方向コンベアにおいて、Vガイドはオプションではなく「標準装備」と考えるべき必須機能です。
Vガイドの乗り上げ事故を防ぐ設計
蛇行防止桟(Vガイド)付きベルトは非常に強力な蛇行防止策ですが、万能ではありません。 設計や組み立てを誤ると、「乗り上げ」という深刻な事故を引き起こすリスクがあります。
これは、フレームのアライメント(平行度や直角度)が大きく狂っている状態で無理に運転した際に、VガイドがプーリのV溝から浮き上がり、プーリの表面に乗り上げて走行してしまう現象です。
一度ガイドが乗り上げてしまうと、ベルトの周長が強制的に引き伸ばされる形となり、異常な高張力が発生します。 その結果、ベルトが瞬時に破断したり、モーター軸がロックして過負荷停止したりすることになります。 これを防ぐためには、コンベアのフレーム自体がねじれていないか、対角寸法(タスキ掛け)を測定して厳密に確認することが重要です。 Vガイドはあくまで「補助」であり、機械精度の悪さをすべてカバーできるわけではありません。
また、プーリ径の選定にも注意が必要です。 Vガイド部材には一定の厚みと硬さがあるため、曲げ剛性が高く、極端に小さな径のプーリ(例えばφ15mm以下のナイフエッジなど)ではスムーズに曲がらず、浮き上がりの原因になります。 各メーカーのカタログスペックにある「Vガイド付きベルトの最小プーリ径」を必ず遵守するとともに、正逆転時の衝撃でガイドが外れないよう、適切なテンション管理を行うことが設計者の責務です。
ベルトコンベアを正逆回転させる方法の制御設計
レバーシブルモーターの30分定格に注意
小形コンベアの駆動源として、カタログには「レバーシブルモーター」という名称の単相モーターが掲載されています。 名称通り正逆転が可能で、簡易ブレーキを内蔵しているため瞬時反転(インチング動作)ができるという特徴を持っています。 これを見ると、双方向コンベアに最適であるかのように思えますが、自動機設計においては「定格時間」という大きな落とし穴があります。
レバーシブルモーターの多くは「30分定格」という仕様になっています。 これは、基本的に連続して運転できる時間が30分に限られるという意味です。 方向転換の頻度が高い場合や、連続運転を行う場合、発熱が許容値を超えてしまい、サーマルプロテクタ(過熱保護装置)が作動してモーターが停止してしまいます。
正逆運転を頻繁に繰り返す用途に最適。モーターの回転方向を瞬時に切り替えできる30分定格のモーターです。モーターの後部に簡易ブレーキを内蔵しており、正逆運転を頻繁に繰り返す用途に最適です。 ※ 30分定格連続して運転できる時間は30分ですが、運転状態によっては(間欠運転など)30分以上の運転も可能となります。
以下の表は、主なモーター種別と双方向運転への適性を比較したものです。
| モータ種別 | 連続運転 | 逆転頻度 | 制御性 | 特徴と注意点 |
| 三相インダクションモータ + インバータ | ◎ (連続可) | ◎ (高頻度可) | ◎ (可変速) | 産業用標準。 加減速制御が可能で最も推奨される。 |
| レバーシブルモータ (単相) | △ (30分定格) | 〇 (瞬時反転可) | × (定速) | 発熱しやすく、連続稼働する自動機には不向き。 |
| インダクションモータ (単相) | 〇 (連続可) | × (不可) | × (定速) | 逆転には配線のつなぎ変えが必要で、運転中の反転は不可。 |
| ブラシレスDCモータ | ◎ (連続可) | ◎ (高頻度可) | ◎ (可変速) | 薄型・高トルクで速度安定性が高いが、コストはやや高い。 |
工場の生産ラインは長時間稼働が前提であることが多いため、30分しか連続運転できないレバーシブルモーターは、間欠運転(休みながら動かす用途)以外では採用を避けるべきです。
「レバーシブル」という名前に惑わされず、連続定格仕様(コンティニュアス)であるかどうかを必ずスペック表で確認することが大切です。
三相インダクションモーターとインバータ制御
産業用の自動機でベルトコンベアを正逆転させる場合の最も標準的で信頼性の高い構成は、「三相インダクションモーター」と「インバータ」の組み合わせです。 三相モーターは構造が堅牢で連続定格での運転が可能であり、インバータを介することで最適な制御が可能になります。
インバータを使用する最大のメリットは、電気的に周波数を制御し、スムーズな「加速・減速(ソフトスタート・ソフトストップ)」を実現できる点です。 通常のスイッチ切り替えでは「ガツン」という衝撃と共に反転しますが、インバータで減速時間を設定すれば、滑らかに停止・反転させることができます。 これにより、ワークの転倒や慣性によるスリップを防ぎ、ベルトや機構部品へのダメージも最小限に抑えられます。
また、外部信号によって正転・逆転・停止・多段変速を自在に制御できるため、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)と連携した自動運転システムへの組み込みも容易です。 ミスミなどのコンベア注文時にも「三相200Vモーター」を選択することができます。コストパフォーマンス、耐久性、制御性のバランスを考えると、この組み合わせが最も汎用性が高く、トラブルの少ない堅実な選択肢と言えます。
慣性モーメント計算と回生抵抗の選定
コンベア上で搬送するワークが重い場合や、高速で運転している場合、停止および反転時に発生する「回生エネルギー」の処理を考慮する必要があります。 モーターを減速させる際、モーターは一時的に発電機として作用し、運動エネルギーを電気エネルギーに変換してインバータ側へ戻そうとします。
通常の緩やかな減速であればインバータ内部のコンデンサで吸収できますが、急減速や高頻度の反転を行うと吸収しきれず、「過電圧エラー(E.OV)」が発生してコンベアが非常停止してしまいます。 これを防ぐためには、オプションの「回生抵抗器(ブレーキ抵抗器)」をインバータに接続し、余分な電気エネルギーを熱として放出させる設計が必要です。
また、設計段階で「負荷慣性モーメント(J または GD^2)」を計算し、選定したモーターとインバータで許容できる値か検証することも重要です。 無理に短時間で停止・反転させようとすると、モーターのトルク不足や過電流エラーを招きます。 タクトタイムの要求と物理的な慣性負荷のバランスを見極め、必要であればモーター容量のランクアップや、減速比の変更を検討します。
逆転部で発生する巻き込まれリスク
最後に、安全設計の観点から決して忘れてはならないのが「巻き込まれ」のリスクです。 通常の一方向運転のコンベアでは、ベルトがプーリに巻き込まれていく箇所は、コンベアの下流側下部やテークアップ部などに限定され、通常はカバーなどで保護されています。
しかし、逆転運転を行うと、これまでベルトが「出てくる側」だった場所が、新たにベルトが「巻き込まれる側」へと変化します。 例えば、コンベアのヘッド側先端部分は、正転時は安全ですが、逆転した瞬間に指や衣服が引き込まれる危険箇所へと変貌します。
設計者は、正転時だけでなく、逆転時においても作業者が危険箇所に触れられないよう、JIS B 9700(機械類の安全性)に基づいたリスクアセスメントを行う義務があります。 具体的には、両端のプーリ部分に指が入らないような隙間管理(5mm以下など)を行うか、追加の安全カバーを設置します。 また、制御回路においても、正転信号と逆転信号が同時に入力された場合に即座に停止するインターロック回路をハードウェアまたはラダープログラムで確実に構築するなど、多重の安全対策を講じることが不可欠です。
ベルトコンベアを正逆回転させる方法のまとめ
- ベルトコンベアの正逆転は、単なる回転方向の変更ではなく、張力分布の逆転を伴う力学的課題である
- 一方向用(ヘッド駆動)コンベアを安易に逆転させると、キャリア側が緩み、スリップや蛇行の原因になる
- 逆転時はオイラーの公式における「緩み側張力」が不足しがちで、有効張力の低下に注意が必要である
- スリップ防止には初期張力の管理が重要だが、過剰な張力は軸受寿命を縮めるため、駆動方式での解決が望ましい
- 双方向搬送には、正転・逆転で張力分布が対称に近くなる「中間駆動(センタドライブ)方式」が最適である
- ヘッド駆動は逆転時に不安定になりやすいため、軽負荷・低頻度の用途に限定すべきである
- 正逆転を行う場合は、物理的に横ずれを拘束する「蛇行防止桟(Vガイド)付きベルト」の採用が必須である
- クラウンプーリのみでの蛇行制御は、逆転時の急激な挙動変化に対応しきれずリスクが高い
- Vガイドの乗り上げ事故を防ぐために、フレームの平行度(対角寸法)を確認し、最小プーリ径を遵守する
- レバーシブルモーターは30分定格であり、連続運転する自動機には不向きであるため注意する
- 連続運転と制御性を両立するには、「三相インダクションモーター」と「インバータ」の組み合わせが推奨される
- インバータの加減速制御(ソフトスタート・ストップ)により、ワーク転倒やベルトへの衝撃を緩和できる
- 頻繁な反転や急減速を行う場合は、回生エネルギー処理のための「回生抵抗器」の設置と慣性モーメント計算が必要である
- 逆転運転により、コンベア先端部などに新たな「巻き込まれ危険箇所」が発生するため、安全カバー等の対策を行う
- JIS規格に基づいた計算と適切な安全率を見込んだ選定を行うことで、トラブルのない信頼性の高い設備となる
以上です。