ここでは 自動機において一定の力で正確に製品を組み込む工程に利用される「サーボプレス」 についてのメモです。
ウェブ上には多くの製品カタログや用語集が存在しますが、それらの多くはメーカーの仕様を羅列したものであり、設計者が本当に知りたい「サーボプレスの使い分け」や「電動シリンダをサーボプレスとして代用できるのか」といったグレーゾーンの判断基準まで踏み込んだ情報は少ないのが現状です。
このメモでは、単なるスペックの比較にとどまらず、機械設計者の視点から、専用機としてのサーボプレスと、安価な電動アクチュエータを用いた簡易的な圧入システムの境界線を明確にしてみたいと思います。
サーボプレスが従来の油圧・空圧プレスと物理的にどう異なるのか、私の経験に加え、最新の市場調査に基づき、カタログスペックだけでは見えてこない「剛性の罠」や「制御の応答性」といった実務的なポイントを補完してまとめました。
サーボプレスの基礎知識と仕組み
構造(ボールねじ・サーボモータ)の理解
サーボプレスの内部構造を深く理解することは、その制御性能の限界や特性を知るための第一歩です。 サーボプレスは基本的に、回転力を発生させる「ACサーボモータ」、その回転運動を直線運動に変換する「ボールねじ(またはローラーねじ)」、そして実際にワークを押す「ラム(ロッド)」、これらを支える「フレーム」で構成されています。
一般的な誘導モータが単に回り続けるだけなのに対し、サーボモータは指令された回転角度や速度、トルクを極めて高速かつ高精度に追従制御できるモータです。 このモータが回転すると、カップリングやタイミングベルトを介してボールねじが回転します。 ボールねじのナット部分はラムに固定されており、ねじ軸の回転に伴ってナットが直動することで、ラムが上下(または前後)に移動する仕組みです。
ここで重要なのが、動力伝達効率です。 ボールねじは、ねじ軸とナットの間に多数の鋼球(ボール)が介在し、転がり接触をすることで摩擦係数を極限まで低減しています。 これにより、モータが発生するトルクを機械効率90%以上で推力(押す力)に変換できます。
油圧シリンダのような流体抵抗やパッキンの摺動抵抗によるロスが少ないため、モータ電流値から推力を推定する際のリニアリティ(直線性)が高く、微細な力制御が可能になるのです。 また、大推力モデルでは、ボールの代わりに精密なローラーを用いた「ローラーねじ」が採用されることもあります。 これは接触面積を増やして剛性と耐荷重性を高めるための工夫です。
ロードセル(荷重管理)の役割と重要性
サーボプレスが「手の感覚を持つプレス機」と表現される最大の理由は、ロードセルの存在にあります。 ロードセルは、力が加わると微小に変形する起歪体(きわいたい)にひずみゲージを貼り付けたセンサで、主にラムの先端や、駆動機構の反力を受ける部位に設置されています。
圧入工程において「今、何ニュートンの力で押しているか」をリアルタイムで検知することは、品質保証において極めて重要です。 ロードセルからのフィードバック信号があることで、コントローラは現在の荷重値を常に監視できます。
例えば、設定した荷重に達した瞬間に動作を停止させたり、一定の力を保ったまま保持したりするフィードバック制御が可能 になります。
もしロードセルがなく、モータの電流値だけで荷重を推定しようとすると、減速機のグリス粘度変化やガイドの摩擦抵抗のばらつきが誤差として現れ、正確な圧入力を知ることができません。 高精度なロードセルを搭載したサーボプレスは、フルスケールの0.5%から1%程度の精度で荷重を読み取ることができ、数ニュートン単位の微細な負荷変動も見逃しません。 これにより、ワークの寸法公差外れや、異物噛み込みによる異常荷重を即座に検知し、不良品の流出を防ぐことができるのです。
制御方式(位置制御・荷重制御)の使い分け
サーボプレスには、大きく分けて「位置制御」と「荷重制御」という2つの主要な運転モード があり、これらを工程内でシームレスに切り替えることで、人間の手作業のような柔軟な加工を実現します。
位置制御は、ラムを指定された座標(高さ)まで移動させる制御です。 例えば、アプローチ動作としてワークの直前までは高速で移動し、接触寸前で減速するといった動作に使われます。 また、寸法管理が厳しい部品の圧入において、メカニカルストッパに当てることなく、指定の深さ(底突き位置)で正確に停止させる場合にも有効です。
一方、荷重制御は、ロードセルの値をフィードバックとして受け取り、指定された力になるようにモータのトルクを調整する制御です。 ワークの高さに個体差があっても、常に一定の力で加圧したい場合や、接着剤の硬化や樹脂のクリープ変形を待つために、一定時間加圧し続ける(保圧)場合に用いられます。
実務では、これらを組み合わせたシーケンスを組みます。 例えば、最初は「位置制御」で高速アプローチし、ワークに接触して荷重が増加したことを検知(タッチセンサ機能)したら、そこを基準点として速度を落とし、最終的には「荷重制御」で目標力まで加圧して完了判定を行う、といった具合です。 このように 制御を使い分けることで、タクトタイムの短縮と加工品質の安定を両立できる点が、サーボプレスの大きな強みです。
油圧・空圧との比較によるメリット
自動機の設計において、動力源として空圧(エアシリンダ)や油圧プレスと比較検討されることが多々あります。 それぞれの特性を物理的、経済的な側面から比較し、どのような場面でサーボプレスを選択すべきかを表にします。
| 比較項目 | 空圧プレス (エアシリンダ) | 油圧プレス | サーボプレス (電動) |
| 動力源 | 圧縮空気 (圧縮性流体) | 作動油 (非圧縮性流体) | 電力 (ACサーボモータ) |
| 推力制御 | 低 (レギュレータ設定のみ。変動に弱い) | 高 (圧力制御弁で可能だが応答遅れあり) | 極高 (ロードセルによる高速FB制御) |
| 速度制御 | 困難 (負荷変動で急加速・急停止が発生) | 可能 (流量制御弁) | 自在 (任意波形で制御可能) |
| 位置精度 | 低 (メカニカルストッパ依存) | 中 (油温・バルブ応答に依存) | 極高 (±0.01mm以下) |
| エネルギー効率 | 低 (効率10-20%。待機電力大) | 低~中 (ポンプ常時稼働なら低い) | 高 (動作時のみ消費。効率80%以上) |
| 環境性能 | 排気音、オイルミスト | 油漏れリスク、廃油処理、騒音 | クリーン、静音 |
| 初期コスト | 安価 | 中 | 高価 |
| ランニングコスト | 高 (エア漏れ・コンプレッサー電気代) | 中 (電気代・作動油交換) | 低 (電気代のみ) |
| IoT/データ管理 | 困難 (外付けセンサが必要) | 困難 (アナログ管理が主) | 標準 (全数データ保存可) |
参考出典先:Janome Industrial Equipment (https://www.janomeie.com/column/servopress/detail.html), Press Lock Technologies (https://www.presslocktech.com/blog/clinching-machine-pneumatic-hydraulic-servo)
空圧は初期コストが安い反面、空気の圧縮性(バネのような性質)により、圧入開始時に勢いよく飛び出したり、負荷が抜けると急加速したりするため、精密な圧入には不向きです。 また、エネルギー変換効率が悪く、ランニングコストは電動の5倍以上になることもあります。 油圧は大推力を出しやすいですが、油漏れのリスクやポンプの騒音、メンテナンスの手間が課題となります。
サーボプレスは初期コストこそ高いものの、動作時のみ電力を消費するためランニングコストを劇的に削減できます。 さらに、位置と荷重のデータを全数記録できるため、トレーサビリティ(追跡可能性)が求められる現代の製造現場においては、品質保証コストを含めたトータルコストで優位性 があります。
電動シリンダとの違い(簡易サーボ)
市場には「電動シリンダ」や「ロボシリンダ」と呼ばれる製品もあり、これらもサーボモータとボールねじを使用しているため、広義にはサーボプレスの一種と言えます。 しかし、産業機械の設計現場では、これらを明確に区別して扱う必要があります。
「サーボプレス(専用機)」は、プレス加工を主目的として設計された「完成された装置」です。 C型や門型の高剛性フレームがあらかじめ用意されており、高精度なロードセル、安全柵、そして圧入波形の判定機能を持つ専用コントローラがパッケージ化されています。 メーカーがフレームを含めたシステム全体の剛性と精度を保証しているため、購入してすぐに高精度な圧入が可能 です。
対して「電動シリンダ(コンポーネント製品)」は、あくまで直動運動をする「部品」としての提供が主です。 安価でラインナップが豊富ですが、ロードセルはオプション扱いであったり、簡易的な電流制御(推力制御)しかできなかったりする場合があります。 最大の違いは「剛性」の担保です。
電動シリンダを使用する場合、反力を受け止めるフレームや架台は設計者自身が用意しなければなりません。 もしフレームの剛性が低いと、加圧時にフレームがたわんで精度が出ないという問題が発生します。 したがって、単純な突き当てや位置決めには電動シリンダがコスト面で有利ですが、厳密な荷重管理が必要な圧入工程には、専用のサーボプレスを選定するか、十分な知見を持って電動シリンダとロードセル、高剛性フレームを組み合わせる必要があります。
自動機設計におけるサーボプレス選定
圧入力の計算(選定方法)と安全率
自動機に合致するサーボプレスを選ぶ際、最初に直面するのが「どのくらいの推力(kN)が必要か」という計算です。 圧入に必要な力は、過去の経験則や勘に頼るのではなく、物理的な根拠に基づいて概算する必要があります。
円筒部品の圧入における理論上の必要推力 $F$ (N) は、一般的に以下の式で見積もることができます。
F = μ・P・A = μ・P・π・d・L
ここで各変数は以下の通りです。
F: 圧入力(N)
μ: 摩擦係数(鉄同士・無潤滑で約0.15~0.2、潤滑ありで0.05~0.1程度)
d: 軸の直径 (mm)
L: 圧入有効長さ(mm)
P: 接面圧 (MPa)
接面圧 Pは、軸と穴の締め代(干渉量) δや、材料のヤング率 E から、材料力学の「ラメの公式」を用いて算出します。
選定において最も注意すべきは「摩擦係数」の不確かさです。表面粗さや潤滑状態によって値が倍近く変動することがあります。 そのため、計算結果には必ず余裕を持たせる必要があります。
実務的な選定においては、計算で求めた最大必要推力に対して、1.5倍から2倍の定格推力を持つモデルを選定することが推奨されます。 例えば計算値が3kNであれば、5kN以上のモデルを選びます。 この安全率は、部品公差のばらつきによる推力増加や、かじり(ゴーリング)などの突発的な負荷に対応するため、そしてボールねじ等の機械寿命を延ばすために不可欠です。
剛性(フレーム・ガイド)が精度に与える影響
カタログスペックの「定格推力」や「繰り返し位置決め精度」だけで機種を選定すると、現場で思わぬトラブルに見舞われることがあります。 その原因の多くは、プレス機や取り付け架台の「剛性」不足です。
サーボプレスが数kNの力でワークを加圧するとき、その反作用でプレス機自身のフレームも変形しようとします。 特に、片持ち構造である「C型フレーム」の場合、加圧に伴ってフレームの口が開くように変形(口開き現象)します。これにより、ラムの先端位置が手前上方向に逃げてしまったり、軸心が斜めにずれたりします。
この変形量は、ミクロン単位の精密圧入においては無視できない誤差要因となります。 例えば、ロードセルで荷重を正しく検知していても、フレームが0.1mmたわんでいれば、実際の押し込み深さはセンサの指示値よりも0.1mm浅くなっている可能性があります(ただし、リニアスケールによるフルクローズド制御を行っている場合は補正可能です)。
そのため、高精度な圧入が必要な場合は、変形の少ない「門型(4柱)フレーム」を採用するか、電動シリンダ単体を購入して自社で極めて強固なフレームを設計する必要があります。 メーカー製の専用サーボプレス(パッケージ型)は、このフレーム剛性を含めて精度保証がなされている点が、単なる電動シリンダとの大きな違いの一つと言えます。
波形判定(品質保証)による不良流出防止
サーボプレスの最大の利点は、加工中のデータを可視化し、即座に良否判定ができる点にあります。 その中核機能が「波形判定」です。 これは、横軸に位置(ストローク)、縦軸に荷重をとったグラフ(波形)を描画し、その形状が正常かどうかを監視する機能です。
単に「最終的な荷重がOKか」を見るだけでは、途中で何が起きたか分かりません。 例えば、圧入開始時に切り粉を噛み込んで一時的に荷重が跳ね上がった場合や、途中で荷重が抜けてしまった場合でも、最終到達点だけ見れば正常値に入ってしまうことがあります。 これでは不良品を見逃してしまいます。
波形判定では、正常な波形の通り道を「枠(エンベロープ)」として設定し、波形がその枠から一瞬でも外れたらNGとする機能や、特定の位置区間での荷重平均値を監視する機能などがあります。 これにより、「入ってはいるが、実はカジリが発生していた」「部品が斜めに入っていた」「圧入がきつすぎた・ゆるすぎた」といった潜在的な不良を確実に検出し、次工程への流出を未然に防ぐことができます。
トレーサビリティ(データ保存)の活用
現代の製造業、特に自動車部品や医療機器などの重要保安部品においては、製品一つひとつに対して「いつ、どのような条件で製造され、結果はどうだったか」を証明するトレーサビリティ(追跡可能性)が必須要件となっています。
サーボプレスは、全サイクルの加工データ(日時、判定結果、位置・荷重の最大値、そして波形データそのもの)をデジタルデータとして保存可能です。 専用のサーボプレスには、LANポートや各種フィールドネットワーク(EtherNet/IP, CC-Link IE Field, PROFINETなど)が標準装備されており、PCや上位サーバーへ自動的にデータを転送できます。
万が一、市場で製品不良が発生した場合でも、製造時のシリアルナンバーから当時の圧入波形を呼び出して検証することで、製造工程に問題があったのか、それとも部材や設計に起因する別の要因かを迅速に特定できます。 この「品質を証明できる」能力こそが、品質管理部門やエンドユーザーからの信頼を獲得するための強力な武器となり、製造物責任(PL)法への対策としても有効です。
サーボプレスの運用と主要メーカー
オーバーシュート(利用上の注意)と対策
サーボプレスの運用において、設計者が最も警戒すべき現象の一つが「オーバーシュート」です。 これは、目標とする荷重や位置に到達した瞬間に止まりきれず、行き過ぎてしまう現象を指します。
特に圧入工程では、ワークが底突き(着座)した瞬間に荷重が急激に立ち上がります。 このとき、プレス機のフレームや駆動系(ボールねじやベルト)がバネのようにたわんでエネルギーを蓄積しています。 停止信号が出てモータが止まろうとしても、そのたわみ分が一気に解放される勢いや、機械的な慣性によって、制御が追いつかずに設定値以上に押し込んでしまうことがあります。 これにより、ワークに過大な負荷がかかり、破損やクラックの原因となります。
対策としては、まず「アプローチ速度」と「加圧速度」の適切な設定が有効です。 接触する直前までは高速で移動し、接触の寸前、あるいは接触してから加圧する段階では十分に速度を落とすことで、慣性や応答遅れによる行き過ぎを最小限に抑えられます。 また、剛性の高いフレームを使用することも、たわみによるエネルギー蓄積を防ぐため効果的です。 専用コントローラのパラメータ設定で、荷重到達予測を行って早めに減速を開始する機能を持つ機種もあります。
安全対策(STO・ブレーキ)の必須知識
数kNから数十kNという強力な力を発生させるサーボプレスは、一歩間違えれば重大な労働災害を引き起こす危険な機械です。 そのため、国際安全規格(ISO 12100やISO 13849-1)に基づいた厳格な 安全設計が不可欠 です。
特に重要なのが「STO(Safe Torque Off)」機能です。 これは、非常停止ボタンやライトカーテン(エリアセンサ)が作動した際に、制御回路(ソフトウェア)を介さず、ハードウェア的にモータへの動力供給(トルク)を遮断する機能です。 これにより、万が一コントローラが暴走しても、物理的に動力を絶つことで安全を確保します。
また、垂直に設置して使用する場合は、「保持ブレーキ付きモータ」の選定が必須です。 停電時や非常停止時に、重力でラムが落下して作業者の指を挟む事故を防ぐためです。 さらに、保持ブレーキは経年劣化で保持力が低下するため、始業前点検などでブレーキ力が十分かを確認する「ブレーキチェック機能」を実装するか、定期的な点検運用をルール化することも設計者の責任となります。
国内主要メーカー一覧と各社の特徴
日本国内には、世界的に見ても高品質なサーボプレス関連製品を提供するメーカーが多数存在します。 大きく分けて、高度な解析機能とフレーム剛性を持つ「専用機メーカー(Category A)」と、コストパフォーマンスに優れ、部品として組み込める「アクチュエータメーカー(Category B)」があります。
以下の表に、主要メーカーのスペックと特徴をまとめました。
| メーカー | カテゴリ | シリーズ名 | 最大推力目安 | 荷重検知方式 | 特徴・選定ポイント |
| THK | B | プレスシリーズ (PC/PCT) | 1.6kN ~ 250kN | 電流 / (OP:ロードセル) | 【大推力・コンパクト】
ボールスプラインとボールねじの一体構造により、小型ながら油圧並みの大推力を実現。専用機(Cat.A)の領域を部品(Cat.B)でカバーできる稀有な存在。 |
| アイエイアイ (IAI) | B | ロボシリンダ (RCS3/4) | 20N ~ 50kN | 内蔵ロードセル | 【コストパフォーマンス】
ロードセル標準搭載でコストと性能のバランスが絶妙。簡易プレス用途のデファクトスタンダード。ソフトが使いやすい。 |
| SMC | B | 電動アクチュエータ (LEY/LEYG) | 100N ~ 数kN | 電流制御 | 【空圧代替の王者】
空圧シリンダとサイズ互換があり、安価に「電動化」したい場合に最適。高度な波形判定よりも、単純な推力管理に向く。 |
| ジャノメ | A | JPシリーズ 5 / JP-S2 | 0.5kN ~ 120kN | 高精度ロードセル | 【卓上プレスの完成形】
C型フレーム付。直感的なUIと豊富な判定機能を持つ。買ってすぐ使える安心感があり、精密部品組立の定番。 |
| 第一電通 | A | サーボプレス (DSP) | ~ 50kN | 高精度ロードセル | 【トレーサビリティの極致】
電動締付機(ナットランナー)の技術を応用。自動車エンジンの組立など、過酷で高信頼性が求められるラインでの採用多数。 |
| コアテック | A | ACサーボプレス (CP/CS) | 1kN ~ 200kN | 高精度ロードセル | 【システム提案力】
専用機メーカーとしての視点を持ち、C型フレームを含めたシステム全体やツール交換などの提案が得意。 |
| 新東工業 | B | サーボシリンダ (CYAP) | 1kN ~ 100kN | 内蔵ロードセル | 【堅牢・高精度】
鋳造設備メーカー製で、油圧シリンダの置き換えを強く意識した堅牢設計。Category Bだが性能はAに近い。 |
選定のヒント:
- 「波形データによる品質保証」が絶対条件ならば、Category A(ジャノメ、第一電通等)またはロードセル付きCategory B(IAI、新東工業)を選ぶべきです。
- 単に「位置と力を制御したい」「段取り替えを楽にしたい」「コストを抑えたい」のであれば、SMCやTHKのCategory B製品がベストソリューションとなります。
- 「大推力(10トン以上)が必要だが油圧は避けたい」場合は、THKのPCシリーズや新東工業が有力な選択肢です。
サーボプレス選定で設計を成功させる要点
この記事で解説してきた重要なポイントをまとめます。
- サーボプレスは、位置と荷重を同時に監視・制御できるため、品質保証(トレーサビリティ)において空圧・油圧より圧倒的に有利である。
- ランニングコストは、消費電力が少ないサーボプレスが最も安く、長期的な総コスト(TCO)では初期投資を回収できる可能性が高い。
- 選定の際は、理論上の必要推力に対して1.5倍~2倍の安全率を持ったモデルを選ぶことが、寿命と安定稼働の鍵となる。
- フレームの剛性は精度に直結するため、ミクロン単位の精度が必要な場合は、高剛性な専用機(Category A)や門型フレームを検討する。
- 「Category A(専用機)」は導入すればすぐに高度な判定が可能だが高価。「Category B(アクチュエータ)」は安価だが、架台設計やプログラム構築に工数がかかる。
- 安易な速度設定はオーバーシュートを招くため、アプローチ速度と加圧速度を適切に使い分けるプログラム設計が必要である。
- 安全対策として、STO機能付きのアンプ選定や、垂直設置時の落下防止ブレーキの採用は必須事項である。
- 波形判定機能(エンベロープ監視など)を活用することで、後工程での検査を省略し、不良品を作らないライン構築が可能になる。
- カタログスペックだけでなく、メーカーが提供する「実機貸出」や「サンプルワーク実験」を利用し、実際の荷重波形を確認してから機種決定を行うべきである。
- 油圧からの置き換えでは「保持時間」に注意が必要。長時間加圧し続ける用途では、モータの発熱対策やブレーキ保持の可否を確認する。
- 通信機能(フィールドネットワーク)の規格が、自社の使用するPLC(三菱、オムロン、キーエンス等)と適合しているか事前に確認する。
- ジャノメや第一電通などは「品質重視・完結型」、IAIやTHKなどは「コスト重視・組込型」として使い分けるのが定石である。
- ロードセルの精度(分解能)はメーカーによって異なるため、管理したい公差(±何ニュートンか)に合わせて選定する。
- メンテナンスフリー化が進んでいるが、ボールねじへの定期的な給脂は必要であり、自動給脂ユニットの採用も検討価値がある。
- 最終的には「何のためにサーボプレスを使うのか(品質データか、単なる電動化か)」という目的を明確にすることで、最適な投資判断ができる
以上です。