ここでは「コンタミ」についてメモしています。
機械設計におけるコンタミとは、「コンタミネーション(Contamination)」の略語 で、製品や機械内部に混入する異物や不純物のことを指します。これらが存在することで、機械の性能低下や故障、製品の品質不良など、様々な問題を引き起こすため、機械設計において非常に重要な管理項目とされています。
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コンタミの具体例
機械設計で問題となるコンタミには、様々な種類があります。
- 固形物
- 金属粉・切粉:部品を加工する際に発生する微小な金属の粒子。
- 摩耗粉:機械の摺動部分(ベアリング、ギアなど)が摩耗して発生する粒子。
- 外部からの侵入物:埃、砂、繊維くずなど。
- 樹脂の炭化物:射出成形などで樹脂が劣化してできる黒点。
- 液体
- 水分:空気中の湿気が結露したり、外部から侵入したりして作動油や潤滑油に混入する。
- 異種油:異なる種類の潤滑油や作動油が混ざってしまうこと。
- 気体
- 空気:油圧システムなどに空気が気泡として混入する(エア混入)。
コンタミが引き起こす問題
コンタミの存在は、機械に以下のような深刻な影響を及ぼす可能性があります。
- 摩耗の促進と連鎖:油圧機器やエンジンなどの精密な摺動部品の隙間にコンタミが入り込むと、部品表面を傷つけ摩耗を促進します。さらに、その摩耗によって新たなコンタミ(摩耗粉)が発生し、それがさらなる摩耗を引き起こすという「摩耗の連鎖」に繋がります。
- 作動不良:バルブの隙間にコンタミが詰まることで、油圧・空圧機器が正常に作動しなくなることがあります。
- 性能低下と寿命の短縮:潤滑油に水分や空気が混入すると、油の潤滑性能や冷却性能が低下し、部品の劣化を早め、機械全体の寿命を縮めます。
- 製品の品質不良:樹脂製品に異物が混入すれば外観不良や強度不足の原因となり、食品や医薬品の製造ラインでは製品の安全性を脅かす重大な問題となります。
設計段階でのコンタミ対策
このような問題を防ぐため、機械設計の段階からコンタミを管理する「コンタミネーションコントロール」という考え方が重要 になります。設計者は、コンタミの発生、侵入、滞留を防ぐための工夫を設計に盛り込みます。
- フィルタの設置:作動油や潤滑油の経路上に適切な性能のフィルタを配置し、コンタミを捕捉します。
- シールの選定と配置:外部からの塵埃や水分の侵入を防ぐため、適切なシール材を選定し、効果的な位置に配置します。
- 材料選定:そもそも摩耗しにくい材料を選定したり、錆びにくい材料を使用したりします。
- タンク・配管の設計:作動油タンクの設計において、コンタミが沈殿しやすい構造にしたり、エア抜きを設けたりします。
- 分解・清掃しやすい構造:メンテナンス時に内部の清掃がしやすいように、分解・組立が容易な構造を考えます。
このように、コンタミは単なる「ゴミ」ではなく、機械の信頼性や製品の品質を左右する重要な技術的課題として、設計の初期段階から考慮されるべきもの となります。
以上です。