【用語解説】NBRとは?機械設計における特徴・用途と選定時の注意点

2026年9月22日

NBR(ニトリルゴム)とは

NBR(Nitrile Butadiene Rubber)とは、アクリロニトリルと1,3-ブタジエンを共重合させた合成ゴムの一種で、一般に「ニトリルゴム」と呼ばれます。機械設計の実務において最も汎用的に用いられるゴム材料の一つであり、特に鉱物油や燃料油に対する優れた耐油性を持つことが大きな特徴です。Oリングやオイルシール、ガスケットなどのシール部材として広く採用されています。

機械設計におけるNBRの主な特徴とメリット

NBRが機械要素部品として重宝される主な理由は以下の通りです。

  • 卓越した耐油性:鉱物油系作動油、潤滑油、ガソリン、軽油などの炭化水素系流体に対して膨潤しにくく、安定した密封性を維持します。
  • 良好な機械的強度と耐摩耗性:引張強度や耐摩耗性に優れており、摺動を伴うパッキンやシールの用途にも適しています。
  • 優れたコストパフォーマンス:フッ素ゴム(FKM)など高機能ゴムと比較して原材料費が安価であり、量産品への適用に最適です。

NBRの主な用途

NBRは耐油性と機械的強度のバランスを活かし、次のような機械部品に採用されます。

  • 油圧機器・空圧機器のOリング、パッキン
  • 回転軸・往復動軸用のオイルシール
  • エンジン・トランスミッション周りのガスケット
  • 耐油燃料ホース、ダイヤフラム

現場実務における選定時の注意点と弱点

汎用性の高いNBRですが、材料特性上の弱点を把握せずに選定すると早期破損や油漏れ事故の原因となります。実務では以下の点に注意が必要です。

1. 耐オゾン性・耐候性の不足

NBRは分子構造内に炭素間二重結合を持つため、オゾンや直射日光(紫外線)に弱く、屋外環境や高圧放電が起きるモーター周辺に露出すると早期に亀裂(オゾンクラック)が発生します。屋外露出部にはEPDMやクロロプレンゴム(CR)を検討するか、オゾン劣化防止剤を添加したグレードを選定する必要があります。

2. 使用可能温度範囲の制約

一般的なNBRの常用温度範囲はおおむね-30℃〜100℃(特殊配合品で-40℃〜120℃程度)です。120℃を超える高温環境では硬化・へたり(圧縮永久ひずみの増大)が急速に進み、シール性が失われます。高温環境には水素化ニトリルゴム(HNBR)やフッ素ゴム(FKM)の選定が必須です。

3. 薬品・非鉱物油への耐性限界

リン酸エステル系作動油、グリコール系ブレーキ液、ケトン類(アセトンなど)、エステル系溶剤には激しく膨潤・劣化します。対象流体の性状を必ずMSDS(安全データシート)等で確認し、適合性を判断してください。