ボールねじの与圧動トルク計算式

今日は「 ボールねじの与圧動トルク計算式」についてのメモです。

ボールねじを利用した機械では、機械の種類によって精度の要求度合いが違うため、転造ボールねじでよい機械もあれば精密ボールねじで精度を出したい機械もあります。

今日は、ボールねじの中でもより高精度に機械を動かす為に選択する与圧を掛けたボールねじの与圧動トルクの計算方法をメモしておきます。尚、この記事ではTHKさんの資料を参考にしています

与圧トルク計算

ボールねじ予圧に関するJIS規格

まず始めに、JISの確認です。ボールねじの与圧に関するJIS規格は以下の情報を参考にしてみてください。

ボールねじの与圧とは

ボールねじに与圧を与える目的と方法

与圧といっても何の事か解らない方も多いと思いますが、難しいことではなく一般的に与圧が設定されているセット品を購入して利用します。この与圧品は、ボールねじの軸方向すきまが無く軸方向荷重に対しての変位量が小さくなるように製造されているために、高精度位置決めを行うことが出来るというものです。また、ボールねじに予圧を与えるとナット部の剛性が増すというメリットもあります。

ボールねじは大きく分けて転造ボールねじと精密ボールねじの２種類いがあり、動作における精度が大きく違いますがそのどちらにも与圧品というのは存在します。しかし、一般的に精度を求められる場合は精密ボールねじの与圧品を利用します。

与圧動トルクとは何か

さて、与圧によるボールねじの高精度化はわかりましたが、与圧による設計への影響も気にしなくてはいけません。与圧というのはボールねじで言うナットの部分を調整している製品となりますが、簡単に言うと与圧の掛かっているボールねじ（ナット）は回転を邪魔するトルクが存在するという事です。それを与圧動トルクと言いますが、正確な表現をすると

となります。この与圧動トルクは回転を邪魔するトルクなので、与圧品のボールねじを利用する場合は与圧動トルクを計算して把握しましょう。

与圧動トルクに関する用語

与圧動トルクに関する用語は以下の通りです。

与圧動トルクの計算式

計算に必要な項目は以下の通りです。

計算は以下の順番で行います。

① リード角を求める
tanβ=(Ph/(PI()*dp))

②与圧による基準トルクを求める　※N･mm
Tp[N]＝(0.05*(β)^-0.5)*((Fa0*Ph)/(2*PI()))

③与圧による基準トルクを求める　※N･m
Tp1[N]＝Tp/1000

④与圧トルクの変動値の計算条件を求める
H=L/d

これから先の上変動値・下変動値を求める為に、この表から利用するボールねじの変動域を確認します。

⑤与圧トルクの変動値を求める（マイナス側）※N･mm
Tp2[N]＝Tp*(1-(H1/100))

⑥与圧トルクの変動値を求める（プラス側）　※N･mm
Tp3[N]＝Tp*(1+(H1/100))

⑦与圧トルクの変動値を求める（マイナス側）※N･m
Tp4[N]＝Tp2/1000

⑧与圧トルクの変動値を求める（プラス側）　※N･m
Tp5[N]＝Tp3/1000

与圧動トルクの計算シート

ここでは与圧トルクの計算シートをダウンロードしていただけます。使えるようでしたらどうぞご利用ください。

ボールねじの与圧動トルク計算_191130

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以上です。