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クロスローラーリングの検討・荷重計算

2019年12月16日

今日は「クロスローラーリングの検討・荷重計算」についてのメモです。THK製のクロスローラリングの計算はメーカーサイトに無い(と思われる)ので、カタログの情報を元に計算書を作り、クロスローラリングの事について少しメモを残します。※この記事では与圧を考慮した計算ではございません。

クロスローラーリングの検討・荷重計算

クロスローラリング

優れた回転精度を誇るクロスローラリング。最大のメリットは1個の軸受でラジアル荷重とアキシアル荷重の両方を受け、さらには大きなモーメント荷重にも絶えられるという部分ですよね。

クロスローラリングは小さいのに許容荷重が大きいのでとてもお得な感じがします。また、必要部には与圧を与えられるので、超高精度が必要な場合は与圧も考慮すると良いですね。

 

クロスローラリングの荷重・寿命計算

クロスローラリングの細かい計算式については計算シート及びカタログを参照して欲しいんですが、クロスローラリングの評価は一般的に以下の流れで行います。

  1. 取り付けるクロスローラリングにどの方向にどれだけの負荷が掛かるか計算
  2. それら負荷で等価荷重を出す
  3. 等価荷重においてクロスローラリングの寿命は何回転辺りか知る
  4. その寿命で回転出来る数は時間にするとどれくらいか知る
  5. 使用する機械の指定寿命を満足しているか確認する

という流れになります。

 

動ラジアル・アキシアル係数を求めるための区分を計算する

まず先に、ラジアル・アキシアル荷重・モーメント荷重・ローラーのピッチ円径から係数を求めます。これは、動等価ラジアル荷重を求めるのに必要になります。

 

動等価ラジアル荷重を求める

上の式で係数を求め、動等価ラジアル荷重を求めます。この動等価ラジアル荷重がクロスローラリングの寿命計算に必要な要素になります。

 

定格寿命(総回転数)を求める

クロスローラリングの寿命の定義は

引用:カタログより

一群の同じクロスローラーリングを同じ条件で個々に運動させたとき、そのうちの90%のロスローラーリングが転がり疲れによるフレーキングをおこさずに回転できる総回転数

とういう事です。 この寿命において壊れるものも出るので余裕は見たほうが良さそうですね。定格寿命は上記ですが、基本動定格荷重は寿命が100万回となるラジアル荷重となります。

 

寿命時間を求める(回転運動・揺動運動)

クロスローラーリングは回転にも使いますが、一定の角度で往復する揺動(ようどう)の機械にも使ったりします。

連続回転の使用は問題ないですが、クロスローラーリングを使う状況を考えると大きい負荷が掛かったまま回転させる状況が多いかと思います。その場合、回転速度に応じて発熱がそれくらい生じるのか、メーカーに注意事項を確認必須ですね。

かといって揺動は揺動で問題があり、揺動の角度が小さいと転動面と接触面に油膜切れを起こすのでフレッチングが生じます。これは通常のベアリングなんかも同じですね。

 

フレッチングとは

引用:NTN様

接触部分に振動荷重が加わり、小振幅で揺動したりするとその部分から潤滑剤が押し出され無潤滑状態となって著しい摩耗を生じる事。

 

対策:THK(クロスローラリング使用上の注意より)

定期的にクロスローラーリング数回転程度の動作を加えることで転動面と転動体に油膜を形成させることが推奨される

 

その他クロスローラリングの計算

・静等価ラジアル荷重を求める
静的安全係数を求める
静的安全係数の程度(7以上を確保する事)
・静的許容モーメントを求める
静的許容アキシアル荷重を求める

 

計算シートのダウンロード

ここではクロスローラリングの検討・荷重計算のシートをダウンロードいただけます。どうぞご利用ください。

クロスローラーリングの検討・荷重計算

 

以上です。