今日は「LMガイド・リニアガイドのレール固定方法」についてのメモです。
まず、前提としてLMガイド(THK製)やリニアガイド(NSK製)などの固定方法は 用途によって使い分ける んですが、その程度と目安は以下の通りになります。
- 加工機などの重荷重や衝撃の加わる場所 ⇒ 一体モノやテーパブロックで押付けて固定する
- 加工機以外(組立・搬送系)の軽~中荷重で使われる場所 ⇒ 後付けできる購入品を利用する
- 簡易的なガイド(極小荷重)で使われる場所 ⇒ 位置決めピンなどに押し当てて固定する
こんな感じです。 これらは過去私が見てきたり設計した機械に実際採用されていた固定方法達でが、今日はこの3種類について基本となる考えをメモしておきます。
LMガイドやリニアガイドのレール固定方法
①加工機などの重荷重や衝撃の加わる場所
加工機などで使うガイドの固定は
- 絶対にズレてはいけない
- 長期利用に耐える構造
- 構造物との一体化
と言う事を念頭に設計しなければいけません。 加工機などは予期せぬ負荷が掛かる事があり、それらがガイドレールをずらしてしまったりする事を防ぎ、さらには故障時のガイド交換での再現性を確保する必要があります。
つまり、この後に説明する 後付購入品は便利だけれど再現性に欠け、強固な固定が不可能なので、加工機などのレール固定方法は以下のように一体になるように意識して設計する必要があります。
(機械設計技術の学び方より)
LM・リニアガイドの固定順番としては ①レールを固定する ②上モノを固定する となるため、固定の第一優先はレールをまず上記のように強固に固定する です。 その後ナット側も固定しますが、2軸の場合は片方が固定の対称なので以下のようにしたりします。(これらは周辺の状況で設計アレンジしてください)
②加工機以外(組立・搬送系)の軽~中荷重で使われる場所
次に、加工機など重荷重以外の場所です。 このような場所には 市販されている購入品を使う事が多く見受けられます。 製作部品の低コスト化を計りつつ要素はしっかり抑えるといった目的 です。
そこに使われる主な購入品は
- ミスミで購入できる「リニアガイド固定ユニット(参考:SGU5-40)」や「リニアガイド押さえユニット(参考:LLTG4)」
- NBKで購入できる「偏心クランプボルト(参考:SLEC-A)」
が扱い易いと思います。
中でも、レール取り付け穴と同じ方向から偏心クランプボルト用の穴加工(タップ並目)を加工できるのと省スペースに出来るので NBKさんの偏心クランプボルトは個人的にオススメです。
③簡易的なガイド(極小荷重)で使われる場所
簡易的なガイドに使う場合、位置決めピンなどのピンを立て、組立時当て付けて個程度行う方法 がよく採用されます。
(機械設計技術の学び方より)
ただ、これは2軸利用の場合は組立者のさじ加減で駆動抵抗が変わったりするので、注意して組む必要があるのと、再現性は取れないので 設計審査で固定方法の検証をしたほうが後々になって問題を解決できるかと思います。
この際のピンは 平行ピンを圧入したり、焼入れの入っているピンを購入したり、方法は様々ですが、問題となるのが 抜けてくるような場所への配慮 です。 この固定は楽でよいですが、ピンの圧入品質をミスってしまうと良くないので、抜け落ちてこないように ピンと穴の関係(φ4以下とφ5以上の扱い) を参考にして圧入されていればOKだと思います。
④R形状のLMガイドの固定
これは展示会での1枚ですが、R形状のLMガイドレール固定は、押しネジねじなどを利用して固定・調整する方法もあります。
以上です。
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