機械設計費用の見積もりと工数の考え方

2017年6月8日




今日は「機械設計費用の見積りと工数の考え方」についてのメモです。

 

私は、設計全体の見積もりだったり、部分設計の見積もりだったり、図面トレースの見積りなどを業務で行なっています。

 

今日は、それら 見積りを行なうために使える効果的な見積りシートと使い方のメモ を残しておきます。

まず先に機械設計の見積もりについて

まず先に、設計に対する見積もりのイメージについて話をします。

 

よく聞くのは「機械を見積もった場合、その中に含まれる設計費用はおおよそ〇〇%」などと言われることが多いのですが、私の過去実績を振り返ってみると 設計コストは機械価格のおおよそ〇〇%とは一概に言えない と思っています。

 

開発の難易度にもよりますし、量産型となれば1号機と2号機では設計費用が変わってきます。

 

機械が完成して設計に費やした時間が解ったとしても、それはあくまで結果値であって、一番大切なのは見積もりの段階でここを大きく外れないこと だと思っています。

 

 

見積もりと実工数の比較

見積もりの内容と実工数の比較をしている設計士さんはどの程度いるんでしょうか。

 

私の場合、見積もりよりも実工数が掛かっている状態をしばらく続けていましたが、ある時を境に、見積もりと実工数の比較をするようになりました。

 

しばらく経って 実績を積んできた時に、仕事を請けた時の見積もりと検収時の実工数を比較が出来て違いを理解出来ました。

 

 

実工数が見積りを超える理由は、検図・修正(変更)・設計外に掛かる時間だった

私が過去にいた会社には若手エンジニアが多く、教育も兼ねていた事から思ったよりも見積もり時間をオーバーしていました。

 

当時私が見積もっていた方法は 「自分がやったらこれくらいだろうな」 という見積もり方、そして順調に進んだ時に掛かる想定の時間でした。

 

比較をするようになって細かく時間を付けていると 検図・修正(変更)・設計外の作業に時間が掛かっていたことが解った のです。 以下簡単に説明します。

 

 

検図

例えば穴が2個あいてるプレートであれば製図時間はすぐですが、検図は穴が開いてるだけ・寸法が入っているかのチェックだけではだめで、その先の購入品のチェックもする必要があったりするからです。 単純に図面を見るだけなら10分ですが、その周辺の方が時間かかります。

 

見積り時ではそれら必要なチェック項目の時間を織り込むことが難しい ので、単純に図面を書くだけだと15分で終わるものが+15分とか、最悪はメーカーに問い合わせるなどすると1h、2hと実工数が掛かってしまいます。

 

 

修正(変更)作業

修正作業とは、いざ設計してみるものの、他のユニットとの関連や微調整に必要な時間だったり、計画したものと別の構造にする必要が出る事です。 例えば選定した機器が何らかの理由で購入できずに変更したり、急遽在庫品を使う設計に変えたりする予定していない時間です。 ここはその場に立ってみないと解らないので見積りで予測するなんて本当に難しいです。

 

また、それら購入品の他に 設計・構造の変更も想定外に時間を費やします。 これは見積り時の 仕様書の完成度や全体レイアウト・計画図の精度に影響を受けます。

 

Aの構造で設計しかた、途中でB構造に変わることや、A構造に追加の仕様が出る などです。 これはハッキリいって 超グレーな部分 です。

 

見積りに底まで含んでいる とは言い切れず、 含めば見積りが高い問いといわれ、それを含まなければ見積もりは易くなるが実際の設計になると 「変更も見積もり範囲内でしょ?」 みたいな雰囲気になります。

 

 

設計外の時間

設計外の時間とは、例えば今回の見積もりを作る時間や、設計開始前までに使う時間です。 打合せだったり事前準備だったりと、 設計していない時間も設計につながっているので設計時間の一部 になるんですが、ここを逃す方も多いかと思います。

 

 

見積もり検証シートで見えるようにしたら色々良くなりました

私は、これらを織り込んだ雛形を作り、時間を入れ、見積もっています。

 

ただ、 機械に対して設計は様々な関わり方をするので、いくつかのパターンごとの検証シートを作っています。

 

設計の見積もりは、社内向けと外向けで考え方・見せ方を変える必要があるのですが、 簡単に言えば 社内では実作業工数の把握とそこにどれだけ人を投入するかの指標となり、社外へ出るのは「実作業工数に管理工数×付加価値」の数字かなと思います。

 

どちらも重要ですよね。

 

社内の指標となるために正確な見積もりを作ることだと思いますし、それにどう付加価値を加えてお客さんに提出するのかも重要です。

 

私の個人的な感覚ですが、 お客さんは見積り時間より、時間単価や見積もりの総額を重視する ので、もし「見積もりが高い」といわれたとしても、そのお客さんは設計のプロでない可能性もあることから、必要に応じて見積もりシートは出して理解をしてもらった方がよい と思います。

 

私の場合は隠すことは何も無いので「高い」といわれればそのまま根拠を出し、予想している時間配分をご連絡しています。 最近では言われる前にここで提供している見積シートを見積書と同時に添付してしまうことがほとんど です。 そして 見積りに含んでいない事を明確に記載しています。 

 

この業界は、お客様からの「言い値」による受注も多く、それによる様々な悪循環も起きていますから、見積もりの信憑性はそれらの改善を行うにも必ず必要になってきますので 設計士は見積もりをする能力も上げて行きたい所です ね。

 

 

見積もりシートをUPしておきます

ここでは私が実際に使っている見積りシートをUPしておきます。

 

この記事をしっかり読んでいただいた方なら、自分の設計会社に合ったシートをすぐに作れちゃうと思いますのであくまで参考ですが・・・。

 

あともう一つ重要なことですが、 見積もりは細かく見れば見るほど精度を増すもの なので、これを使って細部まで出すようにしてみてください。 そうする理由は、見積もりを大きく超える場合に 想定していなかった とか、 考慮する必要がないと思っていた などの見積もり当時の理由を明確に記録できるから です。

 

私のようなフリーランスは、新規の受注も多いことから見積もりを外れることがよくあります。 これははじめから想定できる事態ではなく、そうなってしまった場合にできれば追加見積もりや、追加報酬を頂きたい所で確実に役立ちます。

 

私が包み隠さず見積もりシートを見積書提出する時に出す理由はこれが一番大きいです。

 

 

機械設計全体の工数見積り

機械設計の全体を見積もるには、そのプロジェクトのDRの想定回数や、それらにまつわる資料作り、そして本設計に出てくる各装置(部位)の把握などが見積もるために必要になってきます。 その仕事に合わせて項目は変えてご利用ください。

 

 

機械設計詳細の工数見積り

機械設計における詳細設計の見積りを行なう際に必要な事は、出来るだけ細かく分類しそれに必要な工数を充てる事です。見積りが苦手な人は出来るだけこの小分け作業を出し切るようにしてください。

 

 

部品図作成の工数見積り

部品図作成に掛かる工数の見積りは、提供されたモデルを、部品図にするために修正する必要があるのか、そして検図をどこまでするのかが重要です。

 

 

部品トレースの工数見積り

部品トレースの工数見積りは、モデル化と図面化、検図が必要です。

 

 

購入品トレースの工数見積り

購入品のトレース業務の依頼もありますのでそれもUPしておきます。購入品のトレース(モデル化)で重要なのが、3DCAD・2DCADデータを所持していない企業もあるということです。その場合は、PDFから3Dモデルを作らないといけない場合もあるので、探す時間とダウンロードするまでの時間も把握する必要があります。

 

以上です。

 

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