今日は「ねじの表面処理:三価クロメートと無電解ニッケルメッキの違い」についてのメモです。
実際の所は、三価クロメート処理の方がボルトラインナップが圧倒的に多い(無電解ニッケルの場合はサイズが限られている場合が多い)ので悩まないのかもしれないのですが、お客様からの指定がない時に悩んだらここにあるメモを参考に選択していただければと思います。
三価クロメート処理
特徴
三価クロメート処理は、クロム酸塩を使用して鋼の表面を処理する方法です。主に防錆効果を高めるために使用されます。環境にやさしいとされており、六価クロムに比べて毒性が低いです。
メリット
- 防錆効果が高い
- 比較的安価で処理が行える
- 薄い被膜でボルトの寸法精度をほとんど変えない
デメリット
- 耐摩耗性が低い
- 厚い被膜が必要な場合、効果が限られる
三価クロメートはメッキとは違う表面処理
三価クロメート処理は、金属表面に薄いクロメート皮膜を形成することで、耐食性を向上させる処理方法です。主に亜鉛めっきや亜鉛合金めっきの上に施されることが多く、対するめっきは、電気めっきや化学めっきなどの方法を用いて金属の表面に他の金属層を形成する技術で、主な目的は、耐食性の向上、装飾、摩擦の低減、電気伝導性の向上などです。
三価クロメート処理は主に耐食性向上を目的としているのに対し、めっきは耐食性だけでなく、装飾や機能性の向上も目的としています。どちらも金属の性能を向上させるために用いられていますが三価クロメート処理とめっきはそれぞれ異なる技術で、目的や方法が異なります。
無電解ニッケルメッキ
特徴
無電解ニッケルメッキは、化学的な反応を利用して金属表面に均一なニッケルの被膜を形成する方法です。電気を使わずにメッキを行うため、複雑な形状でも均一な厚さの被膜を形成できます。
メリット
- 高い耐食性と耐摩耗性を持つ
- 均一なメッキが可能で、複雑な形状の部品にも適用できる
- 硬度が高く、耐久性に優れる
デメリット
- 三価クロメート処理に比べてコストが高め
- 処理工程が複雑で、制御が難しい場合がある
無電解ニッケルメッキはメッキの分類
無電解ニッケルのより詳しい情報はこちら:一般的に使われているめっきの種類とその特徴
設計から見る基本的な考え方まとめ
三価クロメート:コストを抑えつつ防錆効果を得たい場合や寸法変化を避けたい場合に適している。
無電解ニッケルメッキ:比較的高い耐久性や耐摩耗性が求められる用途や複雑な形状の部品に対して適している。
上記のことから、用途が明確な場合は処理を指定する必要があるが、特に指定がない場合はサイズ選択肢の多い三価クロメートになってしまうと思います。
以上です。