今日は「2DCADと3DCADの設計スピードが違うポイントを具体的な内容で話してみる」というメモです。
私は生産設備・加工・専用機のメカ設計をしており、CADの使い分けは基本的に各お客様のご都合にあわせています。指定CADをお借りして作業する場合は2DCADでも作業をしますが、特に指定のない場合は3DCADによる設計の提案をしています。そんなCADの使い分けをしている中で、時折お客様との間にあるCADに対する理解度のギャップを感じる事があります。
その理解とは何か。今日お話する内容は、生産・加工・専用機を、3DCADを使い新しく設計する上で結構重要なのでは?と思う内容になります。
特に、
- 2DCADで設計した方が早い・・・
- 3DCADは時間が掛かる・・・
- 3DCAD難しい
- うちの機械に3DCADは不向き
このように、設計スピードに関してどんな違いがあるかまだ理解しきれていない方には実務に役立つ情報かと思います。
2DCADと3DCADの設計スピードが違うポイント
先日こんな呟きをしました。
【理解】
①計画 → 承認図
2D:時間掛けずにやれる
3D:時間掛かる②承認 → 詳細・組立図
2D:程度による
3D:程度による③詳細・組立 → 部品・出図
2D:時間が掛かる
3D:時間掛けずにやれるよって、日程を前半多めに取って後半急ぐスタイルか、前半最速でやれる仕組みが出来たら3D強い。
— ENGINEER48@FA機械設計-情報収集用 (@48_engineer) March 24, 2020
①計画 → 承認図
2D:時間掛けずにやれる
3D:時間掛かる②承認 → 詳細・組立図
2D:程度による
3D:程度による③詳細・組立 → 部品・出図
2D:時間が掛かる
3D:時間掛けずにやれるよって、日程を前半多めに取って後半急ぐスタイルか、前半最速でやれる仕組みが出来たら3D強い。
結論から言うと、2DCAD・3DCADが別々に持つ特徴が、設計の各工程において掛かる時間の差を生んでいる というお話です。
では早速。
0→1の急ぎの案件には2DCADが有利、0→1でも詰めざるを得ない3DCADは不利
まず先に「①計画 → 承認図」の話をします。この工程において、2DCADなら時間掛けずにやれるが、3DCADはどうしても時間が掛かる という事があります。
どうしてそうなってしまうのか。
誤解を恐れずに言うと、機械は計画から承認図までの間は「線と文章」で説明がまだ付く範囲。やりたい事が「承認されれば良い」状態なので多少雑でも満足してしまいます。そのような品質を考えると、2DCADは一本の線と説明があれば意図を伝える事が容易なのに対し、3DCADは基本的に立体にするしかない上、文章を立体モデル上にサクサク書き足しづらい環境になります。
つまり、3DCADはラフな図面に不向きなんです。
今話している内容も「程度とテクニック」によってばらつきはありますが、計画から承認までの間は2DCADがの方が速いと思われます。絵が重なっててもスルーしてもらえたり、ごまかしが効きます。
2DCADは慎重に作業、3DCADは半自動的に作業が可能
次に「②承認 → 詳細・組立図」の話をします。この段階は、言葉通りに詳細を詰めていく段階です。この段階は設計者のさじ加減(どこまで詳細に詰めるか)により、仕上がりの程度は変わります。
よって、CADの設計スピードに関しては 2DCADは仕上げの程度によるし、3DCADも仕上げの程度による と、なります。ただ、ここから設計スピードが逆転してくるポイントになります。
例えば部品表。
組立図などに記載する部品表は3DCADの場合、設定次第では一瞬です。部品のカウントは人がせずにCAD側で済みます。
また購入品型番などの転記や断面カットの自動生成など、2DCADで部分詳細(拡大)の自動生成はたまに見かけますが、3DCADでは任意の位置断面を正確に表現できます。そしてその編集も容易です。
つまり、3DCADはモデルを作ってしまえばあとは味付け次第。一度付加したプロパティは消すまで付いて回ります。この効果は絶大。 チェックするという工程の重さが激減します。
機能を駆使すれば後半圧倒的な速さの3DCAD
最後は詳細や組立図から部品図・出図の工程。ここでは 2DCADは時間が掛かるが3DCADは機能を上手く使って時間掛けずに出来る という関係性です。
中でも、組立図から部品を抽出して図面を作る部分では圧倒的な速さ。そしてミスが減ります。これは言うまでもなく多くの方がご存知ですね。参考記事:3DCADで設計ミスが激減するからこそ、そこそこの機械を一人で設計出来ていると思った話
3DCADを活かすスケジュールの組み立て方
さて、ここからが重要なポイントで、今までの内容から 2DCADは設計前半に強く3DCADは後半以降に強い というのが理解出来たかと思います。
そのため、CADが違う場合はスケジュールに少し工夫が必要です。
2DCADと3DCAD、成果物が同じ・掛けられるトータルの時間も同じとした場合は、3DCADの方は前半に時間を掛けられるスケジューリングが必要だということです。逆に、3DCADでやってた機械を2DCADで行う場合は後半に時間を掛けられるスケジュールにするべきですね。
最後に
このように、2DCAD、3DCADどちらも一長一短ありますが、最近3DCADで仕事をするとき私が意識的に取り組んでいるのが
- 前半のスケジュールを取る(お願いする)
- 後半のスピードを上げる仕組みを作る
この2つです。
おそらく、結果的にこれを満足すれば3DCADは最強だと思います。「結果的」にというのは、この2つを満足させるアプローチの方法がいくつかあると思うので、今はそれらにトライしている感じです。ある程度仕上がってきている部分もありますが、具体的な方法は今回の話と少しそれてしまうので、またいつか記事にしてみたいです。
以上です。
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