(現時点での)設計人生最大の難関から無事生還しました

2017年8月30日




今日は「(現時点での)設計人生最大の難関から無事生還しました」についての記事です。皆様、本当ご無沙汰しておりました。今日は忘れもしない極限状態をここに記録を残したいと思っています。どうぞ私を笑ってやってください。

機械設計至上最大の難関

私の経験値といたしまして、プラント関係、設備設計、機械要素、航空宇宙、光学系など、比較的幅広く設計に携わってきました。まだ設計歴12年ほどの設計士ですが、今までの設計歴における難関は

  • 納期目前の連日徹夜
  • 設計ミス、現場機械干渉の連続徹夜修正

こんな感じです。しかし、今回の難関は一味違いました。「納期が組立完成1ヵ月後、一人で設計したとすると600h超の設計案件」でした。既に遅い状態からの設計案件です。

もうお分かりですよね。名づけて「錯乱案件」です。

そもそも納期に間に合わないから、お手伝い的に急遽入った設計でしたが、蓋を開けたら中がとんでもない状態でした。

 

同時に、私に全ての事情が降ってきました。

  • 納期がもうこれ以上延期出来ない事情がある。
  • 時間が無いので手配も平行して行わないといけない。
  • CADが皆バラバラの2DCAD設計。

その中で設計を進めるお仕事でした。大規模な設計ですので、組立図に時間が掛かるのはお分かりだと思いますが、そこに注力できる設計士及び、みんな持っている2DCADが違うので特に大変でした。※この2DCADについてはまた別の記事で書こうと思っています。

2DCADを利用する設計士の方であれば、この中間ファイルDXFのすさまじい破壊力をご存知かと思いますが、一定のCADであればグループ化して展開しやすいものが、中間ファイルになることにより全部解除されちゃうわけです。あんなにグチャグチャした中から部品展開をしなければいけないので至難の業です。 部品図展開が始まっても、設計者が

  • 検図を行わないといけない
  • 部品展開の準備をしないといけない
  • 変更、修正の指示を手配等考慮し的確に行わないといけない

そんな状態でした。組立図と部品図が平行で出図され、そのうちに製作した部品の組み付け方の問い合わせを受けるようになり、次は追加の機械が入り、機械の名称や図面番号もズレ込んだので図面も同じ名称のものが入り乱れる最悪の事態。

 

正直うまくいきませんでした。

 

もう当然のごとくうまくいきませんでした。「こんなのむりだーーー!!」と涙目で設計していました。

何度もスケジュール調整をお願いしたりしたんですが、後の祭り状態。出来ないものはできないと言ったところで、その先延ばしした納期に対して実際に進めるのは自分自身なわけです。

出来ないものは出来ないけど、やるのは自分。だから無理してでも終わらせたくなりますよね。文句言ったところで誰もやってくれないわけですから。

絡み合った糸を一本一本、丁寧に解くように問題を着実にこなしていったつもりですが、そんな10手先を読んで進める設計は心も思考回路も崩壊します。

設計向いてないな、、、と、何度もネガティブになりました。でも自分がネガティブになったところで、先ほども言いましたが

「誰もやってくれない」わけです。

 

途中久しぶりに「デザイナーズハイ」を体感しました。

これ、ふざけて言っているわけではなくて、大体月に300h超えくらいから「ハイ」な状態になる確率がグッと上がります。

引用:【Column】ランナーズハイを理解する
ランナーズハイとは簡単にいうと、長時間走り続けていくうちに、気分が高揚していくということだ。苦しいと感じなくなり、走ることがひたすら楽しくなる

上記はランナーズハイの意味ですが、僕のデザイナーズハイ状態は「意識(記憶)が無いけど図面をひたすら書いている状態」です。※このとき楽しくはありません。

「ハァッ!!」と目が覚めたとき、組立図が進んでいたりする現象ですね。
びっくりします。

「誰が書いたんだ!!」
「いや自分でしょ」

って冷静にツッコミ入れちゃうわけです。

 

・・・・話がずれました。戻しますね。

 

新しい武器を作り出す。

以前「機械設計の仕事で納期に終わらせるために出来ること」という記事を書きましたが、そこでは納期に間に合わせるために出来ることの一つとして「役割分担」を明確にするという内容を書きました。

この役割分担は単純に「人を分配する」ということではなくて、設計士の特性に応じて役割分担するということです。今回は若手達へ少し考え調整する部分へ携わってもらい、一気に肩の荷が降りたのです。

若手達は慣れない2DCADでも集中して作業をしてくれて大きな進化を遂げました。それにより、今まではやるべきことを一人で抱える必要があったけれど、スピードはゆっくりでも平均して進めていける状況になったんですよね。これはうれしい状態でした。

前にも言いましたが「設計は始めからベンツを作るようなもの」ですから、せっぱ詰まった状況では特に高効率を求めてしまいます。高効率は一点集中な部分があって進捗に対して一部分だけ確実に進むけれど全体的に進行させることが難しかったりします。仕事を終わらせる意味では、広く浅くは「質」が落ちちゃうんですよね。だから一点集中で一つずつ確実に終わらせていく必要があるんです。

私が一点集中で仕上げていき、その若手達は各自の特性に合わせ、得意エリアでの乱れうち作業をしてもらいました。

若いって良いですね。何でも吸収してしまう。

 

こんな時の、大切なことが未だに把握できていない

今回の件で色々体験しましたが、あんな錯乱状態で無傷で仕事を終えられるためにすべき「大切なこと」が未だに把握できていません。

エンドユーザー様も大変、製作メーカーも大変、もうみんなが全力だったわけです。途中、責任の問題もちらほら出ましたが、ここまで来てしまったら腹をくくるしかない状態でしたので、もう誰が悪いとかないんですよね。

ただ、一つ考慮できれば良いかなと思うことは、当初にスケジュールが適切か確認することですかね。ここを誤ってしまった場合でも、気づいたときにスケジュール調整をすることが大切ですよね。

そして、そのリスケを実行できるリーダーが必要です。

また、設計としては、どんなに忙しい時でも、組立図は確実に終わらせる必要があります。今回は時間が無いから2面だけの検討で設計を進めてしまい、部品図へ着手する。組立図は後回しになってしまうことが避けられなかったのです。その場合、あとで絶対に痛い目にあいます。どんな時でも100%の完成度を組立図は満足している必要があります。逆に組立図が出来上がっていればそこからの展開スピードはめちゃくちゃ速いわけです。

ですから、もし次に今回と同じようなことが起きるとすれば、組立図を徹底的に承認が降りるまで部品展開しないこと、そして部品展開できるメンバーを沢山揃えておくことを目標に考えて行きたいと思いました。組立図(設計)でじっくり煮詰めて部品図で一気に追い上げるためにです。

また、こういった状況をこなせるように、もっと設計資料を増やすなどして、システマチックにミスが起きないようなやり方を構築しなければと、強く考えるようになりました。

そんな感じで一旦落ち着いたので少し休養とります。正直、終わってよかった・・・という感じです。
お盆もずっとお仕事していて、ちょっと家族にも迷惑を掛けてしまったので、少し休もうと思います。

そして休んでいる間に書きたかった記事沢山書こうと思います。

またこのブログへ足を運んでくださいね。
では