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・材料/材質/特性

SKD11(合金工具工)の材料特性・用途・機械特性

2019年9月8日




今日は「SKD11(合金工具工)の材料特性・用途・機械特性」のメモです。機械設計をする上で材質の機械的特性を考慮して設計するわけですが、今回私が調べたSKD11という材質は情報が少なく機械特性を知るのが少し手間です。

今日はそのSKD11の情報を出来る範囲で調べましたので纏めておきます。

SKD11の用途・機械特性

冒頭にも触れましたが、SKD11という材質は情報を探すのが手間です。SS400のように決まった特性値を記載できない理由として、焼入れ・焼戻しで特性をコントロールできる為ではないかと僕は考えています。(ここが記載されていない理由を知っている方がいらっしゃいましたら是非教えて欲しいです)

この記事ではJIS規格及び各鋼材メーカーのSKD11相当品(銘柄)を調べて纏めます。

 

SKD11の基本(特徴と用途)

以下にSKD11の特徴と用途をメモしておきます

  • 切削工具鋼用、耐衝撃工具鋼用、熱間金型用、冷間金型用を主用途としている
  • ステンレスや高硬度材料のプレス型に適する
  • 焼入歪が非常に小さく精密金型に適する
  • 焼入性が良好、空冷、真空ガス冷焼入れに最適
  • 用途範囲が広く汎用的(加工用冶具等)にも使用される
  • ダイス鋼としては比較的入手しやすい材料

このようにSKD11は入手性が良く、焼入れ対応も十分であるため多くの場所に利用されています。

 

SKD11が記載されているJIS規格

ここでは、材質SKD11が規格されているJIS番号を記載します。

 

SKD11のJIS規格:JIS G 4404-合金工具鋼鋼材

 

JIS規格に記載されている化学成分

SKD11の化学成分は以下の通り。

合金工具工SKD11の用途・機械特性

 

【補足】化学成分の効果について

上記化学成分を見ても「??」となりますので、ここではSKD11を構成する化学成分の効果を一応メモしておきます(これはSKD11に限らず別の材質でも同じことが言えます)

・C:炭素機械的性質に最も寄与する元素。強度上昇、焼入れ性向上に効果があるが高すぎると延性、靭性が低下する。Cr,W,Mo,Vなどと炭化物を形成して耐摩耗性を得る。

・Si:シリコン

脱酸材として使用される。0.5%以下では、フェライトに固溶し、延性、靭性を損なわずに強度を上げる。

・Mn:マンガン

焼入性、靭性が良くなる。

・P:リン

偏析しやすい元素で、靭性、溶接性を損なうがCu,Crと共に耐候性には効果がある。

・S:硫黄

偏析しやすい元素で、靭性、溶接性、加工性に悪影響があり、極力少なくすることが望ましいが切削加工時にチップブレーカとして作用するため切削性を向上させる。

・Cr:クロム

焼入性を増大させ、耐候性、耐食性の向上に有効な元素であり、耐酸化性、高温特性などの向上にも寄与。

・Mo:モリブデン

FeやCrとともにCと化合して硬い複炭化物を形成し、耐摩耗性、焼入硬化性や高温時硬度を高める。

・V:バナジウム

微量の添加で炭化物や窒化物になり結晶粒の微細化へ寄与。耐摩耗性、靭性を増大させる。

 

各鋼材メーカーのSKD11相当品(銘柄)

さて、ここからが情報を手に入れるのが難しい領域になります。JIS規格を見てもらえれば解りますが「引っ張り強さ」などの記載がありません。この部分は各鋼材メーカーのSKD11相当品(銘柄)を調べて機械特性を把握する必要があります。しかし、先にも言いましたが焼入れ焼戻し条件で特性を変えることが可能であるため、機械特性は銘柄ごと若干違ってきます。正確な情報を必要とする場合は使用する予定の鋼材メーカーで詳細データを取得してください。

以下は、SKD11相当品を扱う鋼材メーカーを記載します。

  • 神戸製鋼:-
  • 日立金属:SLD
  • 大同特殊鋼:DC11
  • ウッデホルム:SVERKER21
  • 愛知製鋼:SKD11
  • 日本高周波鋼業:KD11
  • 山陽特殊製鋼:QC11
  • 不二越:CDS11
  • 理研製鋼:RD11
  • 双葉電子工業:F-SKD11

 

SKD11の機械特性(標準熱処理条件による)

以下に、SKD11で一般的に公表されている値と、一般的には公表されていないがメーカーの相当品で公表されている値をメモしておきます。但し、熱処理条件は標準熱処理条件(焼入れ1000~1050℃、焼き戻し150~200℃【低温・空冷】)をベースに記載しています。

  1. 質量密度(比重):7.72[g/cm^3] ※1
  2. ヤング率(縦弾性係数):210000[N/mm^2] ※1
  3. ポアソン比:0.28 ※1
  4. せん断弾性係数:記載無し
  5. 引張強さ:1810 [N/mm^2] ※2
  6. 0.2%耐力(降伏強さ):1570 [N/mm^2] ※2
  7. 抗折力(曲げ強さ):3500[N/mm^2] ※1
  8. 圧縮耐力(強さ):2700 [N/mm^2]辺り ※2、焼き戻し200℃(低温)の場合
  9. 熱膨張係数:12.0 [*10^-6/K] ※1
  10. 熱伝導率(20℃):29.3 [W/m・K] ※1
  11. 比熱:記載無し
  12. 焼なまし硬さ:≦255HB ※2
  13. 焼入焼戻し硬さ:60~63 [HRC] ※1

【参考にした資料】

※1:一般的に公表されている値
※2:相当品の値「http://www.futaba.co.jp/img/uploads/files/precision/plate/ppl/product_plate/fskd11/tech_deta_F-SKD11.pdf」及び「http://www.mekatoro.net/digianaecatalog/futab-sougou/book/futab-sougou-P0124.pdf」

 

その他参考にさせて頂いたSKD11の情報サイト及びPDF

以上となりますが、今回SKD11という材質を調べるにあたり参考にさせて頂いたサイト・PDFです。ありがとうございました。大変勉強になりました。

  • http://tokyokohshin.co.jp/wp/wp-content/themes/theme064/images/pdf/skd11_hi.pdf
  • https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/press_mold_design/pr01/a0184.html
  • http://www.kouzai-net.com/skd11.html
  • http://www.mekatoro.net/digianaecatalog/futab-sougou/book/futab-sougou-P0123.pdf
  • https://jcc-coating.co.jp/equip/toolsteelbrand3.pdf
  • https://jp.misumi-ec.com/pdf/fa/2015/p2_1729_p2_1731.pdf
  • http://www.tokyosteel.co.jp/pdf/q3-2-5.pdf
  • http://www.silicolloy.co.jp/material/skd11/
  • http://www.futaba.co.jp/precision/plate/ppl/fskd11
  • https://www.daido.co.jp/products/tool/pdf/dc11.pdf

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