今日は 「みがき棒鋼とは何か。材料・サイズ・公差などの規格まとめ」 のメモです。
機械設計において、みがき棒鋼を利用することが多々あります。
ここではみがき棒鋼における規格とそれら規格がどのようになっているのかをまとめています。どうぞご利用ください。(よく間違えてしまうセンタレス丸棒は別記事があるので そちら をご確認ください)
みがき棒鋼とは
みがき棒鋼の外観は 「真っ直ぐで、ねじれが無く、各部の断面形状が正しく、表面は滑らかで使用上有害な傷があってはならない」 とされているため、機械的性質ではなく 加工工数を減らしたりする目的 でみがき棒鋼はよく利用されます。
また、みがき棒鋼は圧延材表面の酸化皮膜を除去後に冷間で加工されるので素材表面に酸化皮膜が生成されません。一般的に「冷間引き抜き加工」は寸法精度が良く、表面がきれいになる加工方法とされています。
みがき棒鋼がなぜ冷間引き抜きかというと、熱間圧延や鍛造では製品の表面に酸化皮膜が生成されること、形状、寸法の精度が期待できないからです。※熱間圧延で製造されるフラットバーについては 別記事 を確認してください
みがき棒鋼のJIS規格
みがき棒鋼のJIS規格は「断面形状が丸・六角・角・平の炭素鋼及び合金鋼のみがき棒鋼」が適用で「JIS G 3123」となります。
みがき棒鋼の種類と記号
みがき棒鋼は、大きく分けて以下の2種類に分かれます。
- 炭素鋼みがき棒鋼
- 合金鋼みがき棒鋼 です。
下の表を参照してください。例えば一般的に使われるみがき棒状のもので「S45C-D」などは「-D」が冷間引き抜きを意味します。正確には「S45C-DQG7」というように熱処理方法であったり、寸法許容差を含めるように規格されていますが「-D」までで済ませている場合が多いです。その理由はみがき棒の精度よりも、加工を楽にしたい・流通性を考慮し仕入れコストを安くするためだと考える事ができます。
S45C-DQG7:機械構造用炭素鋼鋼材S45Cを用いて冷間引抜きを行い、焼入焼戻しを施した後、公差等級IT7に研削仕上げしたもの
このように、一般的にみがき棒鋼は冷間引き抜きだけという意識の方が多いかと思いますが、正確には研削でも切削でもみがき棒鋼の製作は可能という事になります。
みがき棒鋼の寸法及び寸法許容差
みがき棒鋼の標準寸法は以下のようになります。
みがき棒鋼の寸法許容差
みがき棒鋼の寸法許容差はJIS B 0401に基づいた軸hに対する公差等級を適用しています。
【補足1】
IT6~IT9まで(h※)と記載がありますが、これは参考としての情報 IT6=h6、IT7=h7、IT8=h8、IT9=h9と同等の公差であるということを意味しています。
【補足2】
JIS B 0401とは、サイズ公差のISOコード方式
みがき棒鋼(冷間引き抜き)の面粗度
材質・棒の径などで違いはあるものの一般的にはみがき棒鋼の面粗度はRa0.4から0.9程度とされている。
以上です。