今日は「皿モミ・皿ザグリのJIS規格及び一般的に使われる穴寸法について」のメモです。先日、皿ネジ用の皿ザグリの寸法で調べごとをしている時に勉強したことをメモしておきます。
皿モミ・皿ザグリ・皿穴について
皿モミ・皿ザグリ寸法に関するJIS規格は 「JIS B 1017:皿頭ねじ用皿穴の形状」 に記されており、この皿穴の形状は以下のネジ規格へ適用となります。
JIS B 1101:すりわり付き皿小ねじ、すりわり付き丸皿こねじ
JIS B 1115:すりわり付き皿タッピンねじ、すりわり付き丸皿タッピングねじ
JIS B 1111:十字穴付き皿小ねじ、十字穴付き丸皿小ねじ
JIS B 1122:十字穴付き皿タッピンねじ、十字穴付き丸皿タッピンねじ
JIS B 1124:十字穴付き皿ドリルねじ、十字穴付き丸皿ドリルねじ
JIS B 1107:ヘクサロビュラ穴付き丸皿小ねじ
JIS B 1128:ヘクサロビュラ穴付き皿タッピンねじ、ヘクサロビュラ穴付き丸皿タッピンねじ
※六角穴付き皿ボルトはありません。
実はJISに規格されている皿モミ寸法だとネジが飛び出す。
皿穴が用いられる理由の多くは 皿ネジを飛び出させないようにする場合が多い かと思います。 しかし、皿ネジ用の穴寸法は各社寸法が違ったりして、設計初心者の方は戸惑う のでは無いでしょうか。
以下の図は、JIS規格で規定されている穴に、一般的に販売されている「十字穴付き皿小ねじ」を組み合わせた図になりますが、実は JIS規格の皿穴寸法にするとねじが飛び出します。
※提供しているメーカーごとネジ頭の細かい寸法が違う場合があります。その為、全てが下記の図に完全一致するとは限りません。(その為参考程度で確認してください)
このように、JIS規格の皿穴寸法だと、皿ネジの飛び出しに差が出ているのが解ります。
一般的に使われている皿モミ寸法を使うと飛び出ない 👈これを使う!!
次に、一般的に使われている参考の皿モミ・皿ザグリ寸法を図にしています。
基本的にこれを使ってください。
下の図で使用した穴寸法は、私がよく利用する穴寸法です。(参考)この皿穴に、一般的な「十字穴付き皿小ねじ」を組み合わせるとこうなります。
全て沈み込み、皿ネジの飛び出しはありません。これなら安全ですね。
六角穴付き皿ボルトを入れたらこうなる
最後に、一般的な皿穴寸法に、六角穴付き皿ボルトを入れた図を下記に記します。
先ほど、皿穴の適用規格をまとめましたが、そこには六角穴付き皿ボルトの規格は含まれていませんでした。機械系で場所によっては、十字穴付き皿ボルトではなく六角穴付き皿ボルトを利用したりしますので、そのための把握用です。
問題なく利用できますね。
まとめ
JIS規格と一般的なサイズを表にするとこうなります。
【補足】図面で皿モミ・皿ザグリを指示する際のポイント
皿ネジ用の穴において、JIS規格で穴を開けると一般的な皿ネジが飛び出し一般的な皿モミ寸法にすると飛び出ません。皿穴加工をするためのドリルを見ても、皿ネジ用ドリルは各社寸法が一定でない事も解りました。
僕ら設計側はどのようにすれば良いか。
皆様に情報を頂いておりますので、箇条書きにまとめさせてもらいます。
加工屋さん
- ドリル付皿ネジ用沈めフライスは利用していない。
- 専用の刃物だとそれしか出来ないし決まった寸法しか出ないので皿穴の外径は気にしない融通の利く加工方法であけている
- Mいくつの皿ネジ穴加工沈めいくつの指示にしたがって加工するだけ。
- 公差が特にうたってない時は面取りカッターとか2.5dとかで加工して皿ネジ入ればオッケーみたいな感覚。
- 「頭沈めること」「飛び出なければOK」と書いてあればいけるし、楽。
- 指示されている径の黒ドリルを90°に研いでやったりもする。
- 基本スポットドリルで飛び出ないように加工している。
- 黒皮とか加工されてない材料は平面がでてないので寸法指示通りに加工されると深さにバラツキがでる。
- 皿座繰りって単純な加工なんだけど単純の中でも面倒な部類。
- 寸法じゃなく注記のほうがいいかもしれない。
設計士さん
- 皿ザグリ部分の深さは必要なければ無視する。
- 注記する時はM4用だったら"4.5キリ通シφ9.5皿ザグリ"とかで記入。
- 取り付け用のビスを見本として現物支給して現合する。
以上です。
単発の依頼は注記を利用し、量産の依頼では図面にしっかりと皿モミ・皿ザグリ寸法を入れるといった所でしょうか。
以上です。