今日は「H7の止まり穴と貫通穴で加工方法が違う」ことについてのメモです。
多くの設計者が知らないかもしれないH7穴の加工方法。実は、同じH7の穴でも 止まり穴と貫通穴(通し穴)で加工方法が違います。止まり穴と貫通では加工工程の数・加工難易度が違う事から部品の調達コストに影響してきますので、設計者としては加工コストを出来るだけ下げられるよう理解しておきたい所となります。
ここでは、一般的に位置決め穴(ノックピンなどを入れる穴)として使われる φ3~12H7 辺りの径を想定してメモしておきます。
はめあい公差H7穴の加工方法
H7の貫通穴(面取り等省く)
H7の貫通穴の一般的な加工方法は以下の通り
- 仕上げの径の0.2~0.3小さいドリルで穴あけ
- H7に仕上がるリーマを通す
貫通穴の補足
- 貫通穴の場合は、H7が必要な所(適用範囲)を記載すると良い、この指示により加工後の検査でH7の栓ゲージ沈み量で管理してもらえるのと、設計的にも必要量確保される
- リーマは材料などが違うと明く大きさも変わってくるので状況に応じて加工技術者さんがリーマ径を選定する
- リーマ加工を希望の場合はリーマ加工と指示が必要
- H7の公差は単純に穴のはめあい公差を表しているだけなので、加工方法はこの限りではない
H7の止まり穴(面取り等省く)
H7の止まり穴の加工方法は加工技術者さんによります。それら参考の加工パターンは大きく分けて以下の通り
参考パターン1
- 下穴ドリル
- 仕上げ径より小径エンドミル(中仕上げ)
- 仕上げ径より小径エンドミルで円弧切削・コンタリング(仕上げ)
参考パターン2
- 下穴ドリル
- 仕上げ径より小径エンドミルで円弧切削・コンタリング(中仕上げ)
- 仕上げ径狙いのエンドミル(仕上げ)
参考パターン3
- 下穴ドリル
- 止まり穴用のミルリーマやテーパ部をカットしたリーマを使う
止まり穴の補足
- コンタリング加工とは簡単にいうと3軸を制御するNCプログラムを作成し加工する方法
- ここも通し穴と同じく、H7の公差は単純に穴のはめあい公差を表しているだけなので加工方法はこの限りではない
最後に
このように、貫通穴はわかりやすいですが、止まり穴は加工の選択肢が広く持っている工具にも左右される場合が多いので、コストアップに繋がる可能性は高いといえます。
以上です。