イナーシャ比とは(モーターサイズ選定を間違えない方法)

2024年1月9日




今日は 「イナーシャ比とは(モーターサイズ選定を間違えない方法)」 についてのメモです。

 

モーターのサイズ選定に大きく影響するイナーシャ比ですが、 イナーシャ比の確認を怠り必要トルクだけでモーターを選定するとモーターの制御に支障を来たすことがあります。

 

この記事では、イナーシャ比の計算方法・確認方法を纏め、モーターのサイズ選定を間違えない考え方をメモしておきます。 内容は難しくないので、イナーシャ比を把握して 適切なモーター選定にいかしていただければと思います。

モーターのイナーシャ比について

イナーシャ比はモーターの適切サイズを把握する値

イナーシャ比は、モーターの選定において重要な概念 で、これは モーターが駆動する負荷イナーシャ(慣性)とモーター自身が持つイナーシャとの比率 を指します。

 

具体的には、負荷慣性モーメントをモーター慣性モーメントで割った値 となります。

 

この記事では「イナーシャ比」と表現していますが、安川電機さんは「許容慣性モーメント比」、三菱電機さんは「負荷慣性モーメント比」という呼び方をしています。  イナーシャ比はモーターがその負荷を効率的に動かして制御するための適切なサイズを決定する参考的な値 で、使用するモーターごとに対応できるイナーシャ比は異なります。

 

イナーシャ比が高すぎる(負荷イナーシャが大きすぎる)と、モーターは負荷を効率的に制御できなくなり、低すぎるとモーターが比として過大サイズになり、結果的に制御コストなどに影響を与えます。

 

引用:https://fa-faq.mitsubishielectric.co.jp/faq/show/10276(三菱電機)

Q:推奨負荷慣性モーメント比を超えて使用すると、どういった問題が発生するのでしょうか?

A:回答

  1. 推奨負荷慣性モーメント比を超えると、ゲインが上げづらくなり性能が出ないおそれがあります。
  2. 負荷慣性モーメント比に応じて大きな加減速トルクが必要となるため、加減速時間を長くしなければならない場合があります。
  3. 許容負荷慣性モーメント比を超えると、サーボアンプまたは、サーボモータが故障するおそれがあります。

このように、モーターを扱う機械を設計する場合は モーターの選定において 負荷のトルクだけでなく負荷イナーシャも確認してイナーシャ比が適切かを確認する必要があります。 ※推奨イナーシャ比を越えてしまっている場合は仕様メーカーにて確認すると解決策を教えてくれるかもしれません。

 

 

イナーシャ比(許容慣性モーメント比)の計算式

イナーシャ比の計算は以下の通り

 

イナーシャ比 = 全負荷慣性モーメント [kg⋅m2]/(モーターのローター慣性モーメント [kg⋅m2] ×  減速比^2)

 

この時、減速機などによる減速比を考慮しない場合は 減速比を1として計算 します。

 

また、全負荷慣性モーメントは モーターが駆動する先の全て ①機構 ②ワーク を合算したものとなります。 この計算をより具体的に見たい方は オリエンタルモーターさんのイナーシャ比計算ページが解りやすいのでリンクを貼っておきます。

 

 

 

イナーシャ比の目安や限界を知る方法

このイナーシャ比は 各メーカーごとに異なるアプローチや重点を置いている場合がある上、モーターの種類によって推奨されるイナーシャ比が違う ため、一般的には、使用するメーカーのカタログで確認することが必要です。

 

 

画像:安川電機様のカタログよりお借りしました。

 

最後に

最後に、この機械設計メモでは イナーシャ比の記録用シートを参考配布 しています。 機械設計において記録・根拠を示し、残すことは非常に重要ですので、宜しければご利用ください。 また、当ブログでは回転トルクからのモータ容量計算など、モーターを実務で利用する際のメモを纏めたページもありますので是非ご確認ください。

 

以上です。

 

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