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スタック搬送は積み重ねられた(スタックされた)物品を搬送すること

ここでは機械の搬送システムで目にする 「スタック搬送」 についてメモしています。

スタック搬送とは

スタック搬送は、積み重ねられた(スタックされた)物品を搬送すること を指します。 具体的には、以下のような意味合いで使われます。

 

荷役・物流の分野

パレットに積まれた段ボールや、製造ラインで積み重ねられた製品などを、フォークリフトやスタッカーなどの機器を使って移動させる作業全般を指します。 この場合、「スタック」は積み重ねられた状態そのものを意味 します。

 

 

工場の搬送システム

工場などで、積み重ねられたワーク(加工対象物)を、ディスタックフィーダーと呼ばれる装置で一枚ずつ分離し、次の工程へ自動的に供給するシステムの一部を指すことがあります。 この場合、「スタック」は搬送される前のワークの積み重ねられた状態を意味 します。

 

 

新聞印刷業界

カウンタースタッカーから排出された新聞の束を、包装・結束機まで搬送するコンベヤシステムを「生スタックコンベヤシステム」と呼ぶことがあるそうです。  ここでの「スタック」は、ある程度まとまった新聞の束を指します。

 

 

工場の自動化搬送システムにおけるスタック搬送

工場でのスタック搬送は、積み重ねられたワークや製品を、人手を介さずに自動的に搬送する方法 で、具体的には以下のような搬送方法が考えられます。

 

 

1. AGV(無人搬送車)やAMR(自律走行搬送ロボット)による搬送

積み重ねられたパレットやコンテナをAGVやAMRに載せて搬送 します。  AGVは、磁気テープやQRコードなどの誘導体に沿って走行し、AMRはSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)などの技術で自己位置を認識しながら走行するものです。

フォークリフト型のAGV/AMRであれば、パレットを持ち上げて直接搬送することも可能で、大型のものを搬送する場合、AGVがスタックされた製品を台車ごと牽引していく方法 も取られます。

 

 

2. スタッカークレーンを用いた自動倉庫システム

自動倉庫内の棚に積み重ねられた保管物を、スタッカークレーンが自動で出し入れし、入出庫ステーションまで搬送 するなどの方法があります。

 

 

3. コンベヤシステムと昇降装置の組み合わせ

積み重ねられた製品を、ベルトコンベヤやローラーコンベヤなどのコンベヤで搬送する方法です。 異なる高さの搬送ライン間を移動させる際には、垂直搬送機やリフターなどの昇降装置なども間に挟むなどします。 場合によっては、コンベヤ上にスタックされた状態で搬送されることもあります。

 

 

4. ロボットによるピッキングと搬送

積み重ねられた箱や部品を、ロボットアームが一つずつ、または複数個まとめてピッキングし、別の場所へ搬送 します。  画像認識技術などを組み合わせることで、不定形なワークにも対応 するなどしています。

 

 

5.直動機器(アクチュエータ)の組み合わせ搬送

積み重ねられた箱や部品を、多軸ロボットではなく直動機器の組み合わせでスタック品を搬送する方法です。 メリットは各軸の能力を個別に検討できる ので、複雑なワーク、重量のあるワークなどへの対応がしやすい点です。

 

 

6. ディスタックフィーダーと搬送システムの連携

積み重ねられたワークを、ディスタックフィーダーと呼ばれる装置が一枚ずつ分離し、コンベヤなどの搬送システムへ供給します。 これは、プレス機械への材料供給ラインなどでよく見られる方式 です。  これらの搬送方法では、センサーや制御システムが重要な役割を果たし、物品の積み重ね状態や搬送先の状況を認識しながら、安全かつ効率的に搬送を行う必要があります。

 

 

【補足】ディスタックフィーダーについて

ディスタックフィーダーの「ディスタック (destack)」は、英語の動詞「to destack」に由来する言葉で「積み重ねられたもの(スタック)を崩す、ばらす、取り除く」となります。

つまり、ディスタックフィーダーは、積み重ねられた(スタックされた)ワークから一枚ずつ、または一定の単位で取り出す(ディスタックする)ための装置 という意味になります。  日本では、「ばらしフィーダー」や「分離供給機」といった言葉で表現される こともありますが、業界内では一般的に「ディスタックフィーダー」という言葉が広く使われています。

 

 

まとめ

このように、工場における自動化搬送システムでのスタック搬送は、省人化、生産性向上、誤搬送の防止、作業者の負担軽減といった多くのメリット があるのですが、 実際設計する側としては どのような搬送方法が最適なのかを見つけるために搬送する物の重量、形状、搬送距離、工場のレイアウト、そして求められる処理速度(能力)などの情報が必要 です。

 

以上です。