ここでは 「JISパレットの規格と販売メーカーについて」 メモしています。
JISパレットとは?定義と基本的な役割
JISパレットとは、物流現場において物品の荷役、輸送、保管を効率化するために用いられる、日本産業規格(JIS)によって規格化された荷役台のこと です 。
JISパレットは、物品を単位数量にまとめて載せるための平らな構造を持ち、フォークリフトなどの荷役車両で容易に持ち上げられるように設計されています 。上部構造物を持つものもパレットの一種として定義されています 。
パレットの基本的な役割は、物流におけるユニットロードシステムを推進することです 。ユニットロードとは、ばらばらの物品をまとめて一つの単位として扱うことで、荷役作業の効率化、輸送中の荷崩れ防止、保管スペースの有効活用などを実現する考え方です 。JISパレットはこのユニットロードを実現するための重要なツールであり、物流の合理化に不可欠な存在と言えます 。
なぜJISパレットを使うのか?目的とメリット
JISパレットを使用する主な目的は、物流の効率化とコスト削減です 。 パレットの寸法や規格が統一されていることで、倉庫での保管、トラックやコンテナへの積載、荷役作業など、サプライチェーンの様々な段階での互換性が向上します 。
具体的には、JISパレットの利用により、荷物の積み下ろし時間の短縮 ,倉庫内の保管スペースの最適化 ,国際物流における互換性の確保 ,輸送中の荷物の安定性向上と破損防止 ,フォークリフトなどの荷役機器との連携による作業の迅速化と省人化 など、多くのメリットが得られます。 また、標準化されたパレットは、異なる企業間での受け渡しを円滑にし、共同配送や中継輸送の効率化にも貢献 します 。さらに、パレットの標準化は、積載効率の向上による輸送回数や台数の削減、パレットの再利用やリサイクルの促進を通じて、環境負荷の低減にもつながります 。
JISパレットの主な種類:素材と形状
JISパレットは、使用される素材によって主に木製、金属製、プラスチック製、紙製に分類されます 。 最も普及しているのは木製パレットですが 近年では衛生面や耐久性の観点からプラスチックパレットの利用も増加 しています 。 金属製パレットは強度や耐久性に優れ、紙製パレットは軽量でリサイクルしやすいという特徴があります 。
形状による分類で、最も一般的なのは平パレットと呼ばれる、上面が平らな荷台でフォークリフトの爪を差し込むための開口部があるタイプ です 。 その他には、周囲に側壁があるボックスパレット ,車輪が付いたロールボックスパレット ,支柱を持つポストパレット ,薄いシート状のシートパレット ,粉体や粒状物の輸送に適したサイロパレット ,液体輸送用のタンクパレットなど、様々な種類があります 。
これらの多様な種類は、輸送する物品の特性や物流環境に合わせて選択されます 。
JISパレットの標準サイズと寸法
日本におけるJISパレットの標準サイズは、JIS Z 0601において1100mm × 1100mm × 144mmと定められており、「T11型パレット」または「イチイチパレット」とも呼ばれます 。 このサイズは多くの業界で使用されており、汎用性が高いのが特徴です 。
しかしながら、実際には日本国内でこの標準サイズを使用している業者は約3割程度に過ぎず ,多くの業界や企業が独自の標準サイズを採用しているのが現状 です 。
そのため、JIS規格で定められた標準サイズ以外にも、1100mm × 800mm, 1100mm × 900mm, 1300mm × 1100mm, 1400mm × 1100mm, 1200mm × 800mm, 1200mm × 1000mm など、様々なサイズのパレットが流通 しています 。 パレットの高さも様々ですが、標準的なT11型パレットの高さは144mmです 。
JISパレットとその他のパレットサイズ 備考(mm)
国際的には、ISO(国際標準化機構)が複数のパレットサイズを標準化しており、ISO 6780:2003では6種類のインターナショナルパレットサイズが定められています 。世界で広く使用されているパレットサイズとしては、ヨーロッパで一般的な1200mm × 800mm および 1200mm × 1000mm ,北米で一般的な1219mm × 1016mm(48インチ × 40インチ) などがあります。
中国や韓国は日本と同様に、1100mm × 1100mmを標準サイズとして採用 しています 。
オーストラリアでは1165mm × 1165mmのパレットが一般的です 。ヨーロッパでは、欧州パレット協会(EPAL)が管理するパレットプールシステムが広く利用されており、1200mm × 800mmと1200mm × 1000mmの標準化されたパレットが等価交換方式で運用されています 。このように、世界各国で異なるパレット規格が存在するため、国際物流においてはこれらの違いを考慮した対応が必要となります。
以下、JISパレットとその他で運用されているパレットサイズメモです。
- 1100 × 1100 × 144 JIS規格標準(T11型、イチイチパレット)
- 1100 × 900 酒類業界で一般的(ビールパレット)
- 1200 × 800 :ヨーロッパで一般的
- 1200 × 1000 :食品業界、冷凍食品業界で利用
- 1440 × 1130 :プラスチック製平パレット
- 1165 × 1165 × 150 :オーストラリア
その他JISパレットの規格で定義されている内容
JISパレットは、日本産業規格(JIS)によって細かく標準化されており、その内容は多岐にわたります。ここでは、JIS規格において定義されている主な項目を見出しごとに解説します。
強度と耐久性の基準
JIS規格では、パレットの強度や耐久性に関する基準が明確に定められています。これは、荷物を安全に運搬・保管するうえで必要な性能を保証するためです。 JIS Z 0602では、圧縮強度や曲げ強度、落下耐性など、各種試験方法が規定されています。これにより、各パレットが実使用環境に耐えうる品質であることを確認できます。
試験方法
パレットの品質を保証するため、JISでは統一された試験方法が規定されています。これにより、第三者機関や企業内で同じ基準で性能を評価することが可能です。主な試験としては、圧縮、曲げ、落下、下面強度などがあります。 例えば、プラスチック製パレットの落下試験では、1000mmの高さから落下させ、破損の程度を評価します。
表示と識別方法
JIS規格では、パレットに記載するべき情報やその表示方法も定められています。これは、ユーザーがパレットの仕様や適合規格をひと目で確認できるようにするためです。一般的には、規格番号、製造業者名、製造年月日などが刻印やラベルで表示されます。特に輸出用の木製パレットでは、熱処理済みであることを示すマークの表示も求められます。
表示が明確であることにより、パレットの選定やトレーサビリティが容易になります。
品質と性能要件
JISでは、パレットの品質と性能についても、具体的な基準が設けられています。これは、安全性と機能性を確保し、一定の使用水準を維持するためです。
例えば、木製パレットでは含水率の上限、接合部の強度、材料の均一性などが規定されており、これらを満たさなければJIS適合とは認められません。プラスチックパレットでは、使用樹脂の種類や耐衝撃性、再生材の使用割合などがチェックされます。
保守・修理・再利用に関する規定
JISの中には、パレットの修理や再利用に関する規定も含まれています。これは、限りある資源を有効活用し、持続可能な物流システムを構築するためです。
例えば、JIS Z 0604-2では、木製パレットの修理方法や許容される損傷の範囲が詳細に記されています。
また、JIS Z 0609では、再生材を用いたプラスチックパレットの基準が示されています。
JISパレット(JIS Z 0601「1100mm × 1100mm × 144mm」)を扱うメーカーと商品名(可能性)
JIS Z 0601で規定されている「1100mm × 1100mm × 144mm」のJISパレットを扱っているメーカーと商品名について調べましたが、以下のメーカーが該当サイズのパレットを製造・販売している可能性が高いです。
プラスチックパレット
- 三甲株式会社:T11型パレットとして、様々な仕様の1100mm × 1100mmサイズのプラスチックパレットを取り扱っている。
- 岐阜プラスチック工業株式会社:リスパレットとして、1100mm × 1100mmサイズのプラスチックパレットを製造・販売している。
- 株式会社ウッドプラスチックテクノロジー:リサイクルプラスチックを使用した1100mm × 1100mmサイズのパレットを製造している。
- 株式会社明治ゴム化成:プラスチックパレット一覧に1100mm × 1100mmサイズの製品が含まれている可能性がある。
- サクラパックス株式会社:樹脂製パレットとして、該当サイズの製品があるかもしれない。
- 福井環境プラスチック株式会社:エコリサイクルパレットとして、JIS規格相当の1100mm × 1100mmサイズのリサイクルパレットを扱っている。
- 株式会社シロ産業:エコリサイクルパレットとして、JIS規格相当の1100mm × 1100mmサイズのリサイクルパレットを扱っている。
スチールパレット
- 東邦シートフレーム株式会社
- ユーピーアール株式会社
- 石井産業株式会社
- 株式会社日東ディード
- 株式会社日本ソリュース
- 株式会社日伸
- 株式会社共立物流システム
- 株式会社三共
レンタルパレット
日本パレットレンタル株式会社(JPR): レンタルパレットとして、JIS Z 0601に準拠した1100mm × 1100mm × 144mmのプラスチックパレット(PT-11など)を提供しています。
最後に
JISパレットについては、機械設計においても取り扱う対象となります。 大型の機械設備ではこのJISパレットにワークを載せて人が機械まで持って行きJISパレット事ごとセット。 機械がそのセットされたワークを自動で取り出して生産するなど、関連性の高い商品でもあります。
以上です。