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フラットバーとは?材質の選定及び入手性について

 

ここでは 「フラットバーとは?材質の選定及び入手性について」 についてメモをします。

 

機械設計において、フラットバー(FB)を多く利用しますが、フラットバーは多くの材質(種類)があり、近い材質がある場合どちらを選べば良いか迷う時があります。

 

フラットバーは一般的なSS400から特殊な材質まで、JIS規格で定められた多種多様なフラットバーが存在します。 用途に合わない材質を選ぶと、強度不足やコスト増につながり、失敗や後悔の原因になりかねません。 この記事では、各材質の特性や流通性を出来るだけ詳しくメモしていますので選定の参考にしてみてください。 (尚、このメモは一般の読者の方にもわかりやすいように基本的な所からまとめています)

フラットバーとは?

フラットバー(平鋼)の定義

フラットバーとは、その名の通り、断面が長方形をした板状・棒状の鋼材のことです。 日本産業規格(JIS)では「平鋼(ひらこう)」という名称 で呼ばれており、私たちの身の回りにある機械や建築物で広く使われています。

 

この材料の大きな特徴は、その製造方法にあります。 フラットバーは、四つの面すべてを熱い状態でローラーにかけて圧延(あつえん)するという方法で作られます。 これは、大きな鉄の板(鋼板)から必要な幅に切り出して作る部材とは明確に区別されます。

 

鋼板から切り出す方法では、切断時の熱によって反りや歪みが発生しやすく、後から修正する手間がかかることがありますが、フラットバーは最初から決められた幅で製造されるため、切断工程が不要 です。 このため、反りや歪みが少なく寸法精度が高いというメリットがあり、加工コストの削減にもつながります。 この安定した品質が、多くの設計者や製造現場で信頼されている理由の一つです。

 

 

機械製造における重要性

フラットバーは、その加工のしやすさと寸法の安定性から、現代の機械製造においてなくてはならない基本的な材料としての地位を確立しています。  その用途は非常に幅広く、機械の骨格となる構造フレームや部品を支える部材、高い精度が求められる可動部品、製品を組み立てる際に使う治具、機械を設置するためのベースプレートなど、あらゆる場面で活用されています。

 

このように、一つの材料が多岐にわたる分野で使われる汎用性の高さこそが、フラットバーの重要性を示しています。 特別な材料ではなく、どんな製造業においても基本的な調達品目として扱われているのは、この使い勝手の良さが理由 です。

 

 

【鉄鋼編】フラットバーの代表的な種類

SS400|最も流通する安価で一般的な鋼材

SS400は、フラットバーの中で最も一般的で、市場に広く流通している材質です。 機械設計や建築の現場で「特に指定がなければSS400」と言われるほど、標準的な材料として扱われています。

 

この材質の最大のメリットは、何と言ってもその価格の安さと入手のしやすさにあります。 SS400はJIS G 3101で規定される「一般構造用圧延鋼材」の一種で、保証されているのは「400N/mm²以上の引張強さ」という点のみ です。

 

炭素量などの化学成分については厳密な規定がないため、大量生産に適しており、コストを低く抑えることが可能 です。  このため、強度だけが求められる一般的な構造部材、例えば機械の架台やベースプレート、建築用のブラケットなどに幅広く使用されます。

 

ただ、選定にあたっては注意点もあります。 化学成分が保証されていないため、溶接性や、熱処理による硬度アップ(焼入れ性)は期待できません。 溶接を行うと強度が不安定になる可能性があり、高い信頼性が求められる重要部品への使用は避けるべき です。

 

 

表面仕上げの違い

SS400のフラットバーには、主に2つの表面仕上げがあります。

  • 黒皮(くろかわ):熱間圧延されたままで、表面に黒い酸化被膜が付いた状態です。最も安価ですが、表面が粗く、塗装する場合はこの被膜が剥がれて塗料も一緒に剥離する可能性があるため、下地処理が必要 になります。
  • みがき:黒皮材を冷間引抜加工などで仕上げたもので、表面が滑らかで寸法精度が高いのが特徴です。 外観が重視される部品に適していますが、コストは高くなります。

 

 

S45C/S50C|熱処理で強度を高める機械構造用炭素鋼

S45CやS50Cは、SS400と並んで機械部品の材料として非常によく使われるフラットバー です。  これらは「機械構造用炭素鋼(S-C材)」に分類され、SS400との最大の違いは、化学成分、特に炭素の含有量がJIS G 4051によって厳密に管理されている点にあります。

 

この特性により、S45CやS50Cは熱処理(焼入れ・焼もどし)を施すことで、硬度や強度を大幅に向上させることが可能 です。  SS400では対応できないような、高い強度や耐摩耗性が求められる機械部品、例えばシャフトや歯車、治具、金型の一部などに適しています。特にS45Cは流通量が多く、入手しやすい材質 です。

 

一方で、S50CはS45Cよりも炭素量が多いため、熱処理後にはより高い硬度を得られます。 しかし、その反面、硬くなる分だけ靭性(粘り強さ)が低下し、削りにくくなったり溶接性が悪化したりする傾向があります。 どちらの材質を選ぶかは、部品に求められる硬度と、加工のしやすさのバランスを考慮して決定することが大切 ですがS45Cが多く使われていると思います。

 

SS400と比較すると価格は高くなりますが、熱処理によって性能を調整できるという大きなメリットがあるため、機械部品の設計においては非常に重要な選択肢 となります。

 

 

SM材・SN材|溶接性や耐震性を重視した特殊な鋼材

SM材やSN材は、SS400では対応できない、より専門的な要求に応えるためのフラットバーです。 これらは一般的なホームセンターやオンラインストアで見かけることは少なく、主に大規模な建築物やインフラ設備などで使用されます。

 

SM材は「溶接構造用圧延鋼材(JIS G 3106)」のことで、その名の通り、溶接部の性能を保証することに特化した鋼材 です。  SS400とは異なり、化学成分が厳しく管理されているため、溶接を行っても強度が低下しにくく、安定した品質を保てます。この特性から、溶接が多用される橋梁や船舶、産業機械といった大型構造物の重要部材として採用されています。

 

一方、SN材は「建築構造用圧延鋼材(JIS G 3136)」と呼ばれ、SM材の規定をさらに厳格にし、特に耐震性能を重視した材質 です。 地震の際に建物が倒壊しないよう、エネルギーを吸収してしなやかに変形する能力が求められるため、降伏点に上限を設けるなどの特別な規定が設けられています。

 

これらの材質を選定する際の最大の注意点は流通性です。 SM材やSN材は、SS400やS45Cのような汎用的な在庫品ではなく、特定のプロジェクトの設計仕様に基づいて鉄鋼メーカーが製造する「受注生産品」が基本 となります。 そのため、調達には長い納期と最小発注ロットの制約が伴うことが多いです。

 

 

工具鋼|金型や刃物に使われる高硬度な鋼材

工具鋼は、他の金属材料をプレスしたり、切削したりするための「道具」として使われる、極めて高い硬度と耐摩耗性を持つ特殊な鋼材 です。 金型やドリル、刃物といった製品の材料として、フラットバーの形状で供給されます。

 

工具鋼はJIS規格によって、含まれる成分からいくつかの種類に分類されます。

  • 炭素工具鋼(SK材):炭素の量によって硬さを調整する基本的な工具鋼です(JIS G 4401)。
  • 合金工具鋼(SKS材、SKD材など):クロムやタングステンといった合金元素を加え、耐摩耗性や耐衝撃性をさらに高めた鋼材です(JIS G 4404)。特に冷間金型用のSKD11は広く使われています。

 

工具鋼市場の大きな特徴は、単にJIS規格の材料が流通しているだけでなく、鉄鋼メーカーが独自の付加価値を付けたブランド鋼材を多数開発・販売している点 です。  例えば、大同特殊鋼の「NAK55」や「DC53」といった製品は、あらかじめ熱処理が施されていたり(プリハードン鋼)、被削性を向上させていたりするため、金型を作る際の手間を大幅に削減できます。

 

もちろん、これらの高機能な材料は非常に高価であり、調達も特殊鋼を専門に扱うサプライヤーに限られます。 しかし、金型の寿命を延ばしたり、加工時間を短縮したりできるため、トータルコストで見るとメリットが大きくなる場合も少なくありません。 汎用鋼材のように単純な価格だけで比較するのではなく、製品の生産性向上という視点から材質を選定することが求められます。

材質 主な特徴 代表的な用途 流通性
SS400 安価で汎用性が高いが、成分は保証されない 一般的な構造部材、ブラケット 非常に高い
S45C/S50C 熱処理で高強度・高硬度化が可能 機械部品、シャフト、歯車 高い
SM材/SN材 溶接性や耐震性が保証されている 橋梁、船舶、建築構造物 低い(受注生産)
工具鋼 非常に硬く、耐摩耗性に優れる 金型、刃物、切削工具 専門業者に限られる

 

 

【非鉄金属編】フラットバーの代表的な種類

SUS304|耐食性に優れたステンレスの代表格

SUS304は、ステンレス鋼の中で最も代表的で、広く使用されている材質です。鉄にクロムとニッケルを添加したオーステナイト系ステンレス鋼に分類され、最大の特徴は優れた耐食性、つまり「錆びにくさ」 にあります。

 

この錆びにくい性質を活かして、厨房設備や食品加工機械、化学プラントの部品、屋外の手すりや建物の内外装など、水や湿気にさらされる環境で多用されています。 また、美しい銀色の光沢を持つため、意匠性が求められる装飾品や家庭用品にも使われます。 流通量も非常に多く、SS400と同様に、一般的な材料として容易に入手することが可能 です。

 

ただし、万能というわけではありません。 まず、鉄系の材料に比べて価格が高い点が挙げられます。 また、粘り気が強い材質であるため、切削加工の際に工具の刃が摩耗しやすく、加工性が悪いと感じる場合があります。

 

この欠点を改善するために、メーカーによっては快削成分を添加して加工しやすくした「SUS303」や、JIS規格を維持しつつドリル加工性などを向上させた「304マック」のような独自鋼材も開発されています。 さらに、表面仕上げの種類が豊富な点もステンレスフラットバーの特徴 です。  つや消しの「COLD(2B)」仕上げが一般的ですが、一方向に研磨目を入れた「ヘアライン(HL)」や、準鏡面のような光沢を持つ「#400」仕上げなどがあり、デザインに応じて選ぶことができます。

 

 

A6063|軽量で加工しやすいアルミニウム合金

A6063は、アルミニウム合金のフラットバーとして最も標準的に流通している材質です。 鉄やステンレスと比較した際の最大のメリットは、その軽さにあります。比重が鉄の約3分の1であるため、製品の軽量化が求められる場合に最適な選択肢 となります。

 

この材質は、マグネシウムとシリコンを添加したアルミ合金で、強度と耐食性のバランスに優れています。 また、押出成形という加工方法に適しているため、複雑な断面形状の製品を効率良く製造できるのも特徴です。建築用の窓サッシやドアのフレーム、機械の安全カバー、放熱効果を期待するヒートシンクなど、その用途は多岐にわたります。

 

加工性も良好で、切断や曲げ、穴あけといった作業を容易に行えます。 さらに、「アルマイト」と呼ばれる陽極酸化処理を施すことで、表面に硬く透明な皮膜を形成できます。 これにより、耐食性や耐摩耗性を向上させると同時に、様々な色に着色することも可能になり、デザインの自由度が高まります。

 

注意点としては、鉄鋼材料に比べて強度が低いことが挙げられます。 大きな荷重がかかる構造部材には不向きな場合があるため、設計の際には必要な強度を十分に検討する必要があります。軽量化という明確な目的がある場合に、その真価を発揮する材料です。

 

 

その他の非鉄金属|SUS316や真鍮など

SUS304やA6063以外にも、特定の用途や環境に合わせて様々な非鉄金属のフラットバーが使われています。ここでは代表的なものをいくつか紹介します。

 

SUS316

SUS316は、SUS304にモリブデンという元素を添加することで、耐食性をさらに向上させたステンレス鋼 です。  特に、海水や潮風に含まれる塩化物イオンに対する抵抗力が強く、「孔食」と呼ばれる局部的な腐食が起こりにくいという特徴があります。 そのため、沿岸地域の建築物や、船舶の部品、海水を使用するプラント設備など、SUS304では腐食が懸念される、より過酷な環境で採用されます。SUS304よりも高価ですが、高い信頼性が求められる場面で選ばれる材質です。

 

真鍮(しんちゅう)

真鍮は、銅と亜鉛の合金で、美しい金色の輝きが特徴です。 加工しやすく、特に切削性に優れた「快削黄銅」と呼ばれる種類は、ボルトやナット、バルブといった精密な機械部品の材料として多用されます。また、その見た目の美しさから、建築金物や装飾品、楽器の部品などにも広く使われています。

 

これらの材料は、SUS304やA6063に比べると流通量は少なく、専門的な材料となります。しかし、一般的な材料では満たせない「より高い耐食性」や「優れた被削性」といった特別な要求に応えるための重要な選択肢です。プロジェクトの要求仕様を明確にし、コストや入手性とのバランスを考えながら、最適な材料を選定することが求められます。

材質 主な特徴 代表的な用途 流通性
SUS304 優れた耐食性と加工性、非磁性 食品機械、化学プラント、建築内外装 非常に高い
A6063 軽量で耐食性に優れ、表面処理性も良好 建築用サッシ、機械カバー、装飾材 高い
SUS316 SUS304より高い耐食性を持つ 沿岸部の設備、化学薬品を扱う装置 専門業者で入手可能
真鍮 被削性が良く、美しい金色を持つ 精密機械部品、バルブ、装飾品 専門業者で入手可能

 

 

専門的なフラットバーの種類

入手可能なフラットバー材質の全体像

これまで紹介してきた代表的な材質以外にも、フラットバーには非常に多くの種類が存在します。 以下の表は、日本の市場で入手可能な材質を網羅的にリストアップしたものです。 これには、オンラインストアですぐに購入できるものから、専門の商社やメーカーへの発注が必要なものまで含まれています。

 

大分類 中分類 主な材質記号
鉄系金属 一般構造用圧延鋼材 SS330, SS400, SS490, SS540
機械構造用炭素鋼 S10C~S58C (特にS45C, S50Cが主流)
溶接構造用圧延鋼材 SM400, SM490, SM520, SM570 各種
建築構造用圧延鋼材 SN400, SN490 各種
機械構造用合金鋼 SCM435, SCM440, SMn433 など
工具鋼 SK材, SKS材, SKD材, メーカー独自規格品など
ステンレス鋼 SUS303, SUS304, SUS316, SUS410, SUS430, SUS440C など
非鉄金属 アルミニウム合金 A5052, A6063 など
銅合金 真鍮, 丹銅

この表を見ると、いかに多くの選択肢があるかが分かります。 しかし、実際に設計や調達を行う上で大切なのは、これらの材質が「どのように市場に流通しているか」を理解することです。 全ての材質が同じように手に入るわけではないため、流通性を考慮することが現実的な材料選定の鍵 となります。

 

 

流通性を考慮した材質の選び方

市場流通性の3つのレベルを知る

フラットバーの材質を選ぶ際には、技術的な性能だけでなく、「入手しやすさ」つまり市場での流通性を理解することが極めて大切 です。  市場は、材質によって大きく3つのレベルに分かれています。

 

レベル1:コモディティ(即納品)

このレベルに属するのは、SS400、S45C、SUS304、A6063の4つの材質です。  これらは「標準在庫品」として、ほとんどの鋼材販売店やオンラインストアが常に在庫を抱えています。 試作品の製作や急な修理など、少量でも短納期で手に入れたい場合に最も適した選択肢です。

 

レベル2:専門在庫品

S50CやSUS316、SKD11のような一般的な工具鋼などがこのレベルにあたります。レベル1ほどではありませんが、一定の需要があるため、特殊鋼を専門に扱う販売店などが在庫を持っています12。汎用材では性能が足りないものの、そこまで特殊ではない場合に選ばれることが多いです。調達には数日のリードタイムを見込む必要 があります。

 

レベル3:受注生産品

SM材、SN材、SCM材(クロムモリブデン鋼)といった高性能な合金鋼や、特殊な工具鋼の大部分がこのレベルです。 これらは特定の製品やプロジェクトのために設計される材料で、一般的な需要がほとんどないため、市中在庫は基本的に存在しません。 鉄鋼メーカーに直接発注する必要があり、数週間から数ヶ月単位の納期と、最小生産量が設定されていることが普通です。

 

このように、材質によって入手性が大きく異なることを知っておけば、設計段階で「この材質はすぐ手に入るか」「納期はどれくらいか」といった現実的な視点を持つことができ、手戻りのないスムーズな開発が可能になると思います。

 

 

サプライヤーの種類と役割

フラットバーを手に入れるまでには、様々な役割を持つ会社が関わっています。どのような会社から購入するべきかを知っておくと、調達がスムーズに進みます。

 

メーカー

日本製鉄やJFEスチール、神戸製鋼所といった会社が、あらゆる鋼材の 源流となる「メーカー」 です。巨大な設備で鋼材を生産し、大規模な需要に応えます。 受注生産品などは、メーカーに直接、あるいは後述する商社を通じて発注することになります。

 

商社

メタルワンや伊藤忠丸紅鉄鋼といった「専門商社」は、メーカーとユーザーの間に立ち、物流や在庫管理、情報提供などを行います。 特に、大量の鋼材を計画的に調達する場合や、受注生産品を手配する際に中心的な役割を果たします。

 

流通・加工業者

メーカーや商社から大量に仕入れた鋼材を、ユーザーの要望に合わせて切断・加工して販売するのが「流通・加工業者」です。  街の鋼材店や、特定の加工を得意とするオンラインショップなどがこれにあたります。 小ロットの注文にも対応してくれることが多く、設計者にとって身近な存在 です。

 

Eコマースプラットフォーム

ミスミやモノタロウといったオンラインサプライヤーは、IT技術を活用して、多品種・小ロット・短納期のニーズに応える現代的な流通形態です。特に、前述した「コモディティ(即納品)」レベルの材料を1本からでも手軽に入手できるため、試作や研究開発の場面で非常に便利 です。

 

どのサプライヤーを選ぶべきかは、必要な材料の種類、量、加工の有無、そして納期の緊急度によって変わります。 この関係性を理解しておくことが良いと思います。

 

 

戦略的な材質選定のポイント

これまで見てきたように、フラットバーには多種多様な材質と、それぞれ異なる流通性があります。 これらの情報を踏まえ、目的別に最適な材質を選ぶための戦略的なポイントをいくつか紹介します。

 

コストを最優先する一般的な構造部材

強度的な要求がそれほど厳しくない機械のフレームや架台、ブラケットなどには、SS400の「黒皮」材が第一の選択肢 となります。 圧倒的な価格の安さと入手しやすさが魅力です。ただし、塗装が必要な場合は、下地処理のコストも考慮に入れる必要があります。

 

強度や硬さが求められる機械部品

摩耗したり、大きな力がかかったりする部品には、熱処理を前提としてS45CやS50Cの「みがき」材を選ぶのが基本 です。みがき材は表面が滑らかで寸法精度が高いため、追加工の手間を減らせます。設計の段階で、熱処理の工程とそれに伴うコストを計画に含めておくことが大切です。

 

錆びにくさが求められる環境

まず基本となるのはSUS304 です。 一般的な環境であれば十分な耐食性を発揮します。 もし、切削加工が多い部品であれば、加工コストを削減するために、より削りやすいSUS303やメーカー独自の快削鋼(例:304マック)の採用を検討する価値があります。 さらに、沿岸部や化学薬品を扱うような過酷な環境では、より耐食性の高いSUS316を指定するのが賢明です。

 

軽量化が最優先課題の場合

製品を軽くしたいという明確な目的があるなら、アルミニウム合金のA6063が標準的な選択肢です。アルミ合金の中では最も入手性が高く、多くの軽量化ニーズに応えることができます。

 

これらのポイントを参考に、ご自身のプロジェクトの要求仕様(性能、コスト、納期)を整理し、最適な材質を選定してください。そして、最終的な決定の前には、必ずサプライヤーに在庫や価格、正確な納期を確認することを忘れないようにしましょう。

 

 

関連サイト

最後に、このまとめ記事を作成するにあたって参考にしたサイトを5つ、以下に示します。

  • 日本規格協会 (JSA)
    • URL: https://www.jsa.or.jp/
    • 理由: フラットバーの材質を定義するSS400やS45CなどのJIS(日本産業規格)を制定・発行している機関です。鋼材の規格に関する最も基本的な情報源であり、最高の権威性を持ちます。
  • 一般社団法人 日本鉄鋼連盟 (JISF)
    • URL: https://www.jisf.or.jp/
    • 理由: 日本の鉄鋼業界を代表する団体であり、鉄鋼に関する統計データやJIS規格の原案作成にも関与しています。業界全体の動向や公式な情報を得る上で非常に信頼性が高いサイトです。
  • 日本製鉄株式会社
    • URL: https://www.nipponsteel.com/
    • 理由: 日本最大手の鉄鋼メーカーであり、記事で紹介されている多種多様な鋼材を製造しています。製品カタログや技術資料は、各鋼材の具体的な特性や用途を知る上で権威ある情報源となります。
  • 大同特殊鋼株式会社
    • URL: https://www.daido.co.jp/
    • 理由: 工具鋼やステンレス鋼などの特殊鋼分野におけるリーディングカンパニーです。記事内で触れられている「304マック」のような独自開発鋼材や、高機能な金型用鋼に関する一次情報を提供しています。
  • 株式会社ミスミ (meviy)
    • URL: https://jp.meviy.misumi-ec.com/
    • 理由: 機械部品のオンライン調達サイトとして、非常に多くの設計・製造技術者に利用されています。各材質の流通性や、実際の加工サービス、規格サイズといった実践的な情報が豊富であり、利用者の視点に立った信頼性の高い情報源です。

 

以上です。