レーザーマーキングとは何か。レーザーマーキングのメリット・デメリットまとめ

2017年6月30日




今日は「レーザーマーキングとは何か。レーザーマーキングのメリット・デメリットまとめ」のメモです。この記事はレーザーマーキングを調べたい人・使いたい人に向けたレーザーマーキングに特化した基礎の内容です。レーザーマーキングの原理と基礎を出来るだけわかりやすく簡潔に纏めたつもりですので、レーザーマーキング初心者の方、どうぞご利用ください。

 

レーザーマーキング

 

レーザーマーキングとは

レーザーマーキングとはレーザー加工の一種で、レーザービームの「熱」で製品の文字などを刻印する加工になります。レーザーマーキングは、対象物を掘り込んだり剥離したりするなどの物理的に除去加工をするために、半永久的にマーキングが消えることが無いのが特徴です。しかし、鉄材質のものにレーザーマーキングする場合は、錆びの問題に注意する必要があります。

引用:キーエンス

高エネルギー密度のレーザ光を照射することにより、熱エネルギーとして対象物を溶融・蒸発させる加工技術。対象物の表面温度が急速に上昇することで、沸点または融点に達し変化が発生します。

 

補足:レーザーって実は造語

レーザーは「Light Amplification by Stimulated Emission of Radiation」の頭文字を並べた造語のようです。

 

レーザーマーキングを取り入れるメリット

今レーザーマーキングを検討されている方の気にされるところといえば「性能・初期投資費用・ランニングコスト・導入の難易度」であると思います。まず、レーザーマーキングを導入する上で一番のメリットは、やはり性能です。各業界で多く採用されているレーザーマーキングはそれらを扱うメーカーのノウハウが多く、基本的にはほとんどの対象物へマーキング可能です。

次にランニングコスト。ここもメリットになります。基本的にレーザーマーキングには消耗品もないので従来のラベルやインクの調達コストなどもなくなり、ランニングコストメリットは非常に大きいです。

残念ながら初期投資と導入の難易度は高めだと思いますが、導入してしまうと印字内容の変更はソフトで簡単にできたりしますので難易度はレーザーマーキングを導入に乗り切るか・・・といった気持ちの面の難易度のほうが高いです。

レーザーマーキングのデメリット

レーザーマーキングを導入するに当たってのデメリットとして一般的に注意しないといけないことは、以下の内容になります。

 

  • 人体保護用装備が必要
  • 装置や設備に安全予防対策が必要(囲い、局所排気なども含む)
  • レーザー安全管理者必須
  • レーザマーカで印字したものは消せない。
  • 初期投資が高い

 

レーザーの安全性について

例えばキーエンスさんのレーザーマーカーは「Class4」というカテゴリで以下の危険性があるとされています。

引用:キーエンス

IECによるレーザのクラス分けはClass1~Class4 までに分類されており、当社のレーザマーカは全てClass4 のカテゴリに該当します。Class4は「一時的であっても、直接ビーム光を皮膚や目にさらすことが危険とみなされているだけではなく、拡散反射光であっても、皮膚や目に障害をもたらすとみなされている。火災を引き起こす原因ともなる」と考えられています。

IEC:60825-1は、レーザ製品を正しく製造・使用するための国際規格です。

JIS:JIS C 6802は、IEC60825-1を基に内容構成を変更なく作成した日本工業規格です。

ISO:13849-1は、制御システムの安全関連部を設計する時に考慮すべき原則について。

以上のことから、我々設計者はこのレーザーマーカーを扱うにあたり、レーザーマーカーを取り扱う方へレーザ光障害が起きないような安全対策を講じる必要があります。

 

レーザーマーキングに使われるレーザーの種類と特徴

主にレーザーマーキング用として使われるレーザーの種類は以下の通りです。基本的な考えとして、レーザーマーキングするレーザーの種類によりマーキングできる対象が変わってきます。材質別にレーザを選ぶ必要があるので、基本的には「この材質にこんな印字をしたい」ということをメーカーに問い合わせるのが一般的な選定方法です(笑)。

それは、レーザーマーキングは金属における材質の違いで、熱影響の少ない印字や加工をする必要があったり、出力の強弱が印字・加工時間に影響するために、テスト印字を依頼するなどの方法が確実な為です。

以下はレーザーマーキングに適したレーザーとその内容を簡潔に纏めたものになります。(媒質とは波動が伝わり広がって行く場となる物質・物体のことです。)

 

CO2(気体のレーザー,不可視洸,赤外線領域)

CO2 レーザーは、CO2 ガスを媒質としたレーザー。波長が約10μmで透明体へも吸収されるます。

マーキング対象紙、木、樹脂、ガラス、フィルムなどになります。金属は不可

 

YAG(固体のレーザー,不可視洸,赤外線領域)

YAGレーザーは、結晶をレーザーの媒質とした固体のレーザー。YAGは「Yttrium Aluminum Garnet(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)」の略で、自然界には存在しない人工ガーネット構造の結晶を使ったレーザーになります。特に樹脂材には視認性の高いマーキングが可能。

マーキング対象金属、樹脂、セラミックなど

 

YVO4(固体のレーザー,不可視洸,赤外線領域)

YVO4 レーザーも、結晶を レーザー媒質とした固体レーザーになります。YVO4「Yttrium Vanadate(イットリウム・ バナデート)」の結晶で、YAGレーザー同様特に樹脂材には視認性の高いマーキングが可能です。このYVO4は高品質で微細な印字の加工に適しています。最近では従来YAGレーザーだった所もYVO4レーザーに置き換えが可能になっています。

マーキング対象金属、樹脂、セラミックなど

 

ファイバ(不可視洸,赤外線領域)

ファイバレーザーは、ロングパルスによって熱をかけ、金属への黒色印字や深彫りを得意とします。その中でもSUS系・Fe(鉄)系・AL系を得意とし、Cu(銅)・Au(金)は条件により得意でない場合があります。ゴムへの印字も得意で、ガラスへの印字は不可です

マーキング対象金属、ゴム、セラミックなど

 

レーザーマーカーを生産設備に入れるにあたっての注意点

レーザーマーカーを生産設備に設置する場合、主に搬送物への印字が主となるかと思いますが、レーザーマーカーの設置において重要なのが搬送物が適切に搬送されているかということと、設備が振動などにより安定しない場合、レーザーマーキングが適切に行われなったりしますのでご注意区ください。(浪打ち状になってしまう)

レーザーマーカーを売っているメーカー

上記の、レーザーマーキングに使われるレーザーは一般的な呼び方であり、各メーカーごとに特色のあるレーザー加工機が販売されています。これまでいくつかレーザーの種類にも触れましたが、上記は基本的な内容ですので、メーカーさんに直接、被印字物に適したレーザーマーキング加工機やレーザーマーキングのテクニックを教えてもらってください。