機械設計歴17年。内容別に見た機械設計のやりがい

2018年11月11日




 

今日は「機械設計のやりがい」についてのメモです。

 

機械設計というお仕事に興味がある方、機械設計士目指そうとしている方、機械設計の仕事ってどんなやりがいがあるんだろう?と疑問をお持ちの方に向けて、機械設計のやりがいを、私の知っている3つの働き方から纏めてみようと思います。 ぜひ進路の参考にしてみてください。

機械設計のやりがい

 

始めに

私は過去に

  1. 製品の設計・開発プロセス(製品開発系・製造技術系)
  2. 製造装置の設計・開発プロセス(設備開発系・生産技術系)
  3. CADを使った構想・設計(詳細設計・CADオペ)

以上の経験をしてきました。今ではサラリーマン機械設計士を辞め、個人で製造装置のメカ設計を営んでいます。この記事では、上記3つの話をしていきたいと思っていますが、この3つのお仕事は機械設計というカテゴリーでもミッションが違うので、学べること、お付き合いするお客様、そしてやりがいも違います。

 

 

【1】製品の設計・開発プロセス(製品開発系・製造技術系)をする人の達成感とやりがい

ここで言う製品とは、その時代に必要な物であったり従来品に新しい技術を折り込み進化させ、販売する物です。

 

A製品に特化したメーカーもあれば、複数の製品を持つメーカーもあります。

 

あなたがもし製品メーカーの製造技術者になったとしたら、一つの製品に対しての専門性が非常に高い設計士になることができます。 企画からはじまり製品を試作したり、解決困難な壁を突破するために新しい製造技術を探したり、新しい開発手法を試したり、パートナー企業、大学との連携もあるかもしれません。そういったプロセスを確実に踏み、沢山の審査を掻い潜り製品化された時の達成感、そして関わる全員が良いものを作りたいと本気で取り組む仕事・姿勢に強いやりがいを感じることかと思います。

 

そして、あなたが設計した製品が市場で活躍している姿を見たときに思わず自慢したくなることでしょう。

 

そんな製品設計にもストレスがあります。製品設計は「企画」から製品が生まれていきますので、企画に対する各部門のポリシーとぶつかったり、部門同士の壁がストレスになったり、他部署からの審査項目に対して「どうクリアしていく設計士なのか」を試されると思います。ですが、これら問題をスムーズに解決する組織に加わる事ができれば毎日が楽しい仕事になるのは間違いないです。

 

製品設計をしたい場合は、自分がどんなものを作ってみたいのか、製品を見定める所から始めたら良いと思います。ただ、就職に関してこういった製品メーカーの設計士になるためには、基本的に学歴が重要です。「製品が作りたいから」という理由で、すぐに入れさせてもらえることはなかなか少ないと思いますので、学生であればその目指す製品の専門知識を得ることが重要ですし、その企業に入りやすいよう、自分のポジショニングをしておく必要があります。

 

纏めると

  • 一つ一つの部品の細かい要素を検証・設計・製造コストが学べる
  • 一つの製品開発フローを広く学べる
  • 他の部署との連携・コミュニケーションを学べる

です。

 

【2】製造装置の設計・開発プロセス(設備開発系・生産技術系)をする人の達成感とやりがい

ここでいう製造装置とは、各部品を組み立てたり、加工をして製品にしたりする機械になります。(製造装置がそのメーカーの製品という場合もあります)

 

この製造装置には、ある程度雛型の決まっている機械を改造的な設計をする場合もありますし、雛型が無く新規で立ち上げる未知的な機械設備の設計もあります。こういった製造装置は製品自体の設計と違い、市販されている機器(モーターやシリンダーなど)を利用して設備を構成していく事が多いです。そのため、様々な機器を扱える知識を備えたオールマイティーな機械設計士になれるという特徴 があります。

 

但し、扱う機械要素の 取り付け方・使い方・細かい部分 などは、機械製造メーカーが行うので幅広く機械要素に触れられても細かいところまでは把握が難しいポジションです。

 

製造装置を設計する人の達成感・やりがいを感じる瞬間はまさに未知の物をつくりあげた時 だと私は考えています。こんな設備を作るお仕事をしたい場合は、製品メーカーの生産技術職を志望すると良いと思います。

※上記1(製造技術)及び2(生産技術)の違いを寄り解りやすく記事にしていますのでそちらも一読ください ⇒生産技術と製造技術の違いとするべきことを明確にしてみた

 

纏めると

  • 機械設備全体のマネジメント・費用対効果(コスト関連)などを学べる
  • 幅は広い知識を得ることが出来るが深い部分には触れにくい
  • 他の部署、会社との連携・コミュニケーションを学べる

です。

 

 

【3】CADを使った構想・設計(詳細設計・CADオペ)をする人の達成感とやりがい

このポジションは【1】製造技術、及び【2】生産技術からお仕事を請ける下請け的な存在になります。(私は今ここにフリーランスという形で機械設計の仕事をしています)

 

このポジションのお仕事は、一つの製品(メーカー・お客様)ではなく、複数の会社さんとお付き合いできるのが最大のメリットであり、それにより幅広い知識・機械要素の使い方・設備立ち上げまでの苦労を一式体験できます。

 

よって、このポジションのやりがいは技術がどんどん着いていく事 です。

 

今回はA社A製品の組立設備を作り、次回はB社の加工機と加工機を結ぶ搬送設備だったり、その後は設備の配管図を作成したりと、色々な経験ができます。未知の物をつくりあげる時にはやってみないとわからない事が沢山ありますし、実際に造ったが上手く機能しない設備もあります。そんな時の対応力がこのポジションん機械設計士に求められる能力になります。しかし、そういった壁の先には完成を喜んでくれるお客様や、その機械を利用する現場のスタッフに感謝されることに抜群のやりがいを感じます。

 

こんなお仕事を探す場合はセットメーカーと呼ばれる機械設備を作る企業さんを探してみるかと良いと思います。製品メーカーからの依頼を受けて製造設備を作るポジションです。(形は色々あるかもしれません)大手製品メーカーは、優秀であろうエンジニアを先に取ってしまいますが、セットメーカーは地域の職安に求人情報を出している場合が多く、エンジニア不足という事もあり、初心者であっても設計の教育のために現場の優しい作業から教えてくれる会社さんもあります。

 

纏めると

  • 機械の構成、設計手法など機械要素の多くを幅広く深く学べる
  • 機械設備の一部を設計する事が多いので全体を把握する事は少ない
  • 他の部署、会社との連携・コミュニケーションを学べる

です。

 

 

まとめ

今回、3つの機械設計についてやりがいを書いてみましたが、どちらも特徴のあるやりがいを得られます。

 

私は学歴が無いままこの世界に入り、辛いことも沢山ありますが 誰かのためになった・喜んでくれた・など、やりがいを感じた瞬間は最高です。 冒頭で「私の知っている3つの働き方」と書いていますが、これが基本の3パターンだと思います。もう少し細かく区切ると、まだまだ沢山の働き方があると思いますので、是非色々な会社さんに足を運んで体感してみてください。

 

以上です。

 

関連記事:機械設計の話