機械・装置の見積りシートと見積りの方法

2018年4月11日




今日は「機械・装置の見積りシートと見積りの方法」についてのメモです。

 

ここ数ヶ月の間で複数の省力化機械の構想~運転までの見積りをしました。その際に考えたことを今日も全力全部マル出しでメモしたいと思います。また、最後には「機械・装置見積りシート」も添付していますのでどうぞご利用ください。

機械の見積り方法

機械設備の見積りは1品ものなので高い

機械の購入をされると「思ったより高い」印象を受けることが多いです。一品物なので、高価なのは仕方がありません。

 

最近の私は、比較的大きな金額が動くお仕事を請けるようになってきたので、お客様の「あーしたい、こーしたい」をどう攻略し「予算がこれくらい必要ですよ」って提示する機会がとっても多いんですよね。一品物が高いといっても、最適な設計で最適な価格でご提示したいと思い日々励んでいます。

 

 

見積りを立てる順番

これは私が実際に見積りを立てたときに考え実践してみた脳内フローです。

 

1.工程の順序と最適フロー把握

2.各工程の機構(部位)とその機構の用途を明確にする

3.各機構(部位)ごとに構成と説明を入れる

4.その計画を満足できる機器を仮選定する(基本計算必須)

5.その機器がメーカー的視点から見ても満足できているかの裏づけを得ておく

6.定価ベースでよいので機器の金額を出しておく

 

ここまでを先に文章化します。私の場合はエクセル表にて作成します。

 

6.5の機器をCADにて空間レイアウトする。 (出来れば架台などのイメージがあると良く、言葉で説明が困難な新機構などは概要がわかる計画を入れる。また、作業員などのモデルを入れるとよりイメージしやすい)

 

この時点でお客様との打合せが可能です。全体のレイアウト寸法と、説明をこちらからプレゼンすることでお客様がイメージを持つことが出来、追加項目(検査項目など)の情報をくれるのでそれらを追加し、より詳細に詰めていきます。そして機器の金額と、機器の性能を説明できれば、過剰な能力の場合はお客様から「部分的にコスト優先か、お金かかっても良いから電動化優先か」の判断を頂くことができます。

 

7.1~6の工程に修正を加えて設備の精度を上げる

8.空間レイアウトをより正確に調整し、隣接するユニット同士を1つの架台に載せるなどの簡易的イメージを作る

9.各ユニットごとの見積りを計算する (見積り詳細は後ほど説明します)

10.提出

 

という順序です。

 

 

発注まで進むための秘策

見積りを出すこと自体は基本的に、無償の範囲が多いかと思います。そしてその見積りは1社(我々)だけでなく、競合他社も参加している場合がほとんどです。お客様目線でいえば、お金を出すなら良いものが欲しいわけで、それら見積りと内容がいかにメリットがあるかが重要なので、見積りを行なう際に織り込んでおくと良い要素があります。それは

 

・設備で扱う対象物(ワーク)とそのワークが今後のどんな方向性なのか

 

という点です。一品物ではありますが、その設備がどれくらいの拡張性を持っているのかは非常に重要です。例えば多品種少量の設備の場合は、段取り変えという工程が発生しますが、その段取り変えの容易さや、以降に出てくる新ワークも対応できる要素(お客様からみた魅力度)があるのかという所です。

 

もう一つは、

・新規機構と流用機構の把握度と提案力

 

という事です。新規設備を起こすといっても、過去のノウハウがどこの工場でもお持ちです。既存を無視した新機構はだれもが敬遠すると思います。新規にする機構は、既設の問題点とそれを解決できる機構だから採用されます。多少しつこく問い合わせてでも、既存設備の把握度は高いほうが良いです。これらも説明に織り込むことでお客様へ安心感を与え、発注に向けて大きく前進するかと思います。

 

・考え方の一致度

 

特に、ロボシリンダで行くか空圧で行くかはめっちゃ重要です。機器選定の想定がつくようになったら、値段を出すための理由をお客様へ問いかけて答えをもらってください。逆に、お客様は「安い空圧」とそこそこする「電動」の差額を把握したいのです。なので、提案としては「基本的に全部電動で一旦出しますね。」ってやればこちらとしてはどの電動機器が高いのか把握できますし、予算のコストダウンの提案もできますよね。 購入品の差額分安くなるわけです。

 

 

大きく外さないために決めるべき最低限の見積り項目

見積る種類

出来上がった見積りが適切なのかを聞かれて不安になる営業の人も多いのではないでしょうか。出来る限り大きく外さないためには、必要な項目を最初から織り込んでおくという体系的な見積り方法です。体系的と言っても、必要な項目を見積もり時に埋めて行くといったやり方です。機械設計をする上で最低限必要な見積り項目は以下の通りです。

 

1.各ユニットもしくは複数ユニット一体品での見積り

・主要購入品の定価

・その他必要であろう購入品のイメージ価格

・加工部材費

・機械設計費

・組立調整費(前組・現地組立調整・配線)

 

2.全体関係

・電気・ソフト設計費

・制御機器費(PLCや制御盤など)

・運搬据付け費(輸送費)

・安全柵、カバー、歩廊関連

 

大きくずれない購入品の価格

購入品は能力に応じて値段は変化します。しかし、始めの段階で適切な必要能力を把握して見積もれば、固定費がわかります。それが解ればそれを扱うために必要な設計時間・組立て時間がおおよそはじけます。

 

 

専用機器メーカーに向けてはより詳細なイメージで値段を出してもらう

例えば、一般的には利用されない専用機などの専用メーカーの物を使う場合もあります。その際は「大体の値段」でお願いしてもいいんですが、それを言ってしまうと「損」を恐れているのか、雛形があるのかめっちゃ高い金額が出てきます。ま、、付加価値って言われてしまえばそれまでですけどね・・。ただ、想像で値段出すって良くないですよね。お互いに。なので、ここは我々が発注側になるので仕様を適切に伝えて専用メーカーがコストをはじきやすくする必要があります。そう努力するべきです。

 

 

設計費用を見積もるコツ

多くの生産設備は、複数のユニットが集まってラインとなります。こういった機械設備は、各ユニットごとを単発装置として見積もりをかけると、結構な値段になります。しかし実際は複数のユニットが関連性をもっているので、一つのユニットを設計している時に他のユニットの設計も同時進行で進める場合があります。それが想定される複数ユニット一体型の設計費はまとめてしまいましょう。

 

結局の所、機械設備の見積りにどれくらいの期間を要するのか。

見積りは簡潔に行ないたいですが、上記の内容を満足しようとすると時間は掛かります。これは機械設計メモのツイッターで呟いた内容ですが

 

 

こんな感じだと思います。実際はもっと細かく把握はしていますが、纏めるとこんな感じです。私は機械設備の見積りを立てるために、経験の中からお客様が欲しい品質を計画するのが8割、残り2割は新しい製品でクリアを目指すという考えでいます。

 

機構やセンシングの方法は、過去に経験した実績を基に計画したり、お客様の工場に有る既存設備のリニューアルという考えです。新製品を取り入れることで複数の作業をまとめたりする事ができるので、機械設備のレイアウトなどに制限が多い場合は、新製品でクリアすることがよいかなと思います。

 

最後に。発注側が意識する事

見積りってゆっくりやっていたら時間を使うだけですし、見積りに費用が発生しない場合がほとんどですよね。ですので、正直ここにはムダにお金を掛けたくないです。この見積もりに費用が発生しないことに問題を感じているのは僕だけでしょうか?こういった装置は、新しく作るわけですから、初期の計画検討がとても重要です。「品質は工程で作る」は、行程の品質が重要です。

 

工程の品質作りはこの段階から始まっていますので、なぜここにコストをかけないんでしょうか。私が発注側になることも有りますので、その場合注意したいことは

 

・良い工程の計画(新しい設備の見積り)に結構コストを掛ける。

・正しい見積りを出す(リスクを明確にする)

 

「結構コストを掛ける」という意味ですが、安易な計画から、作れそうなものを作って後にズルズル手離れ悪いより、しっかりコストを掛けて計画し、検討することが大切なんです。計画図に時間を掛け、確実なものを作った方が最終的に安上がりです。

 

機械・装置見積りシートの雛形

ここでは、機械・装置見積りシートをUPしておきます。きっと各社の雛形があると思いますので必要なければスルーしてくださいね。もし急に必要で、一から作るの大変・・・という方はこのシートをダウンロード、アレンジして使ってください。(今後も随時バージョンUPしていきます)

そんなこんなで、これから私が色々な装置を見積りしていく中で、便利だったツールや、解ったこと、教えていただいたことなどがあればここにどんどんシェアしていこうと思います。皆様の負荷が少しでも減りますように・・・。 以上です。

 

以上です。

 

一覧ページ
業務改善
業務関連資料

ここでは 普段使っている業務関連の資料をシェア しています。 業務資料 見積り/仕様書(各種) 設計費用の見積り 装置費用の見積り 仕様書の雛形     スケジュール管理 スケジュ ...

続きを見る