今日は「Oリングのつぶし代・つぶし率・充填率まとめ」についてのメモです。
Oリング(JIS B 2401)は、液体や気体などが装置から漏れるのを防ぐために使用するものですが、Oリングの選定としては
- シールの対象物な何か
- 固定用なのか、運動用なのか
- 金属シールか非金属か
- 接触なのか非接触なのか
といった流れの結果としてOリングが選定されますが、Oリングは押しつぶすことによって発生する応力で密封機能を発揮するので、適切な応力を保つ為につぶし代やつぶし率の確保(溝の設計)が必要となります。
基本的に、Oリングのカタログにある溝寸法は、各Oリングのつぶし代・つぶし率・充填率の推奨設定に合わせてあるので、その溝寸法で設計しておけば大きな問題は起きないはずです。JIS規格ではOリングが触れる流体・高温環境によって起きる膨潤や熱膨張も考慮し、Oリング自体が20%容量増加をおこしても差し支えない溝寸法で設定されているそうです。
ただ、お客様からそれら値を指定される場合がありますので、その場合はつぶし代・つぶし率・充填率を確認しながら溝寸法を決めていきます。
Oリングのつぶし代・つぶし率・充填率まとめ
Oリングのつぶし代
Oリングのつぶし代というのは溝深さに対するOリング直径の差(圧縮させる寸法)です。この圧縮によってゴムが復元しようとする反発力で密閉します。
Oリングつぶし代の計算式
つぶし代の計算式は以下の通りです。
計算式:δつぶし代[mm]=W-H
- W:Oリング太さ(mm)
- H:溝深さ(mm)
ただし、つぶし代がおおきければ良いかというとそうではなく、この後説明するOリングのつぶし率によって圧縮割れを起こすため 密閉作用に必要なシール力を確保した上でつぶし代は最小限にする必要があるそうです。
Oリングのつぶし率
つぶし率とは、Oリングの直径に対してどれだけ圧縮させたかを表す値で、Oリングの圧縮永久歪と関係が有ります。
基本的には
- つぶし率が低い:漏れが起きる方向
- つぶし率が高い:漏れが起きない方向になるが、上限がある
となります。もう少し具体的に分けると
- 密封性を得る最低つぶし率:10%以上を確保する必要がある
- 耐久性と組付性を考慮:20%~30%
- 圧縮割れを起こす可能性がある:40%以上は危険
と、このようになります。
Oリングのつぶし率計算式
つぶし率の計算式は以下の通りです。
計算式:Aつぶし率[%]=(δ/W)*100
- W:Oリング太さ(mm)
- δ:つぶし代(mm)
Oリングの充填率
Oリングの充填率は、溝の断面積とOリングの面積の割合となりますが、充填率のポイントは 中央値で75%狙いで最大90%以下になるようにします。
Oリングの充填率計算式
充填率の計算は以下の通りです。
計算式:B充填率[%]=(((PI()/4)*(W^2))/(G*H))*100
- W:Oリング太さ(mm)
- H:溝深さ(mm)
- G:溝幅(mm)
以上がOリングのつぶし代・つぶし率・充填率の説明になります。
最後に
今回のメモは、出典先にある情報のポイントをまとめさせて頂きました。(ありがとうございました)
- 桜シール株式会社様:Oリングのつぶし代とつぶし率
- 華陽物産株式会社様:Οリング溝設計ガイド
- NOK様:Oリングのカタログ
計算書のダウンロード
機械設計メモでは、以下の項目でOリング計算書をシェアしていますので、宜しければご利用ください。
以上です。