今日は最近起きた事例を元に「エアシリンダを持ち上げ動作で使う場合の注意点」について、シェアしたいことがあります。
持ち上げる
エアシリンダで持ち上げ動作
エアシリンダを持ち上げ動作に利用する事がよくあります。持ち上げる場合は、持ち上げる物の重さと、持ち上げるスピードを考慮してエアシリンダのサイズを決めるかと思います。スピードについては、スピコンで平均スピード調整をするので、最終的に予定通り!1mm/sも狂いがないぜ!
って、ことはあまり無いように感じます。
最低動作圧力について
エアシリンダを利用する場合、現場で圧力を調整する場合もあることから、特に設計側では「使用圧力」に対する出力を確認して設計します。以下はあくまで私の基本的な設計方法(考え方)ですが、
- 周辺構造:使用圧力は0.5MPaを想定し、それによる出力の2倍以上の荷重に耐えられる構造
- 出力(推力):0.3MPaの供給でも、必要な能力を満足するエアシリンダサイズ
という感じです。
それでも末端で動きが悪い時がある
エアシリンダの使い方として、出側も戻り側も、押し付ける場合はストロークに余裕を持たし押し付け動作をします。
これはエアシリンダ内部のピストンがエアの圧力を正確に対象物を押し付けている状態です。逆に戻り側は、対象物を押し付けていない場合が多く、戻り端からロッドが出る瞬間は自身のロッドが出れば良いだけなので普通に動作します。しかし、持ち上げ動作で常に重量物を持ち上げる場合、戻端ですでに重量が掛かっている場合、シリンダの出が悪くなります。
これは供給されるエアがピストン全面を押し出せていない事が原因になります。(押出し時の受け面積が少し違います。)
画像はSMC様よりお借りいたしました。
なので、持ち上げている最中は正確な推力が想定できますが、末端からの押し上げ動作の場合は「初動力」の考慮をして、気持ち大きいエアシリンダを準備するか、戻り側の時にスペーサによりシリンダ内部が戻りきらないようにする事が必要です。
後者の方がよいかもしれませんね。
押し付けが強すぎるのも、他に不具合を起こす場合があるので、この場合の考えは「必要能力を最適に発揮できる設計をする」といった感じでしょうか。
それにまつわるDRのあるある
上記の事を考慮した設計をしても、DRで省かれる場合もあります。
それはやってみないと解らない部分でもあるからですが、DRで省かれたが、後でそんな改造が起きることも考慮して修正が可能な設計しておくとベストだと思います。
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以上です。