今日は「カムの形状・機構・運動・曲線など、機構の設計に必要な用語の説明」についてのメモです。カム機構を勉強するために「一般的」な用語の意味を簡潔にまとめてみました。目次を作って見やすくしています。どうぞご利用ください。
カムの形状(カムプロフィール)
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カム径
カムの外径
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カムの基礎円半径
一般的にカムの輪郭最小半径とされる、カム形状の基準となる円の半径
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カム代表半径(カム有効半径)
カムの代表半径は一般的に、カムの最大半径と最小半径の中間値
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カムの接触幅
接触子と接触している線の長さ
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外接カム
カムの軸心と従節の軸心の間(直線間)の間に、カムとの接触が行われるタイプのカム。(一般的なカム)
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内接カム
内接パラレルカムのように、カムの軸心と従節の軸心を結ぶ線の幅の外でカムとの接触が行われるタイプのカム。
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拘束カム(確動カム、共役カム)
カムフォロアがカムから離れないように両方向からカムによって拘束されているもの(高精度・高速度用途で溝カムなど)
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カムの曲率半径
曲線の任意の点における曲がり具合を相当する円の半径の値で表したもの
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カムの曲率中心
曲率半径の中心のこと
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カムの曲率
曲率半径の逆数のこと
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平端従節
平板状のカムの接触子のように従節の先端形状が平面である機構
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尖端従節
ナイフエッジ状の尖端でカム面と接触する従節。摩耗しやすい
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法線
接点において、接線と直角な線。
カムの節や機構
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原節(原動節)
従節に運動を与える要素。カムのことを原節と呼ぶ。
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従節(従動節)
カムに直接接触する相手側要素で、機構の出力側の節の総称。
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直動従節
カム従節機構のひとつで、カムによって駆動され、直進変位を得るために使用される従節
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揺動従節
カム従節機構のひとつで、カムによって駆動され、往復角度変位を得る為に使用される従節
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接触子
カムフォロアやローラフォロアなどの、カム輪郭に直接接触する機構要素
カムの運動
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停留性
止まることの程度
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片停留運動
始まり、または終端のどちらか「一方」だけに停留のある運動
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両停留運動
始まり、または終端のどちらも停留のある運動
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無停留運動
運転の始めと終りに停留がなく、任意の加速度のまま連続して往復運動を繰り返すこと
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オーバーラップ
機械のサイクルを短縮するためにひとつの動作が終わる前に次の動作を始めること。もしくはしている状態
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カムの向い側回転
揺動従節で、ローラ側から支点に向うカムの回転方向
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カムの逃げ側回転
揺動従節で、支点からローラに向かうカムの回転方向
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ローラ中心軌跡
カム固定時で、カム軸を中心として従節側を回転させたときのローラ中心の軌跡
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カムの割出精度(位置決め誤差)
間欠割出装置1回の割出しにおける従節の変位量の理論値と実測値との差。
カムのトルク
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カム軸トルク
カム軸に作用するトルク
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予圧(プリロード)
与圧が大きいほど精度や剛性が高くなる反面、摩擦力(回転トルク)も大きくなる。
カムの角度
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圧力角
カムと従節との共通法線方向が従節の運動方向に対する角度
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割付角
従節を1回割出すのに必要なカムの回転角
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停留角
出力軸が停留状態にある区間の入力軸の回転角
カムの曲線(カムの運動曲線)
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カム曲線(運動曲線)とは
従節がカムによって動かされた時の「最終出力端動作」を時間もしくは入力変数の関数で表したもので、カム曲線は、カムの運動によって作られる従節の運動曲線
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単弦曲線
加速度のパターンが等速円運動一軸成分の運動曲線
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対称カム曲線
正転と逆転で同じ特性をもつカム曲線で、このカム曲線は加速度のパターンが対称性をもつ
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非対称曲線
加速度のパターンが対称性をもたないカム曲線
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不連続曲線
始端・終端を含めた区間で速度や加速度が連続でない曲線
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変形正弦曲線(標準的なカム曲線)
最大速度小・カム軸トルク係数小・加速度小のため広く用いられる。
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変形台形曲線
最大加速度が小さい標準的なカム曲線。高速・軽荷重用途
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変形等速度曲線
曲線の中間に等速区間を持つカム曲線。
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ユニバーサル曲線(ユニバーサルカム曲線)
カム曲線を7つの区間に分けて定義し、加速度まで連続に持続した三角関数系の汎用カム曲線で各区間の時間配分をパラメータで処理する
以上です。