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・ばね

ばね定数とは何か。ばね定数がばらついてしまう理由

2019年6月11日




今日は「ばね定数とは何か。ばね定数がばらついてしまう理由」についてのメモです。圧縮スプリングを設計する際に出てくる「ばね定数」について、ばね定数の基本的な考え方と、ばね定数を設定する時の注意点を纏めました。

スプリング(圧縮ばね)

ばね定数とは何か

ばねに負荷を加えた時の荷重を、伸び(縮み)で割った比例定数で、ばねの線径が太いとばね定数は大きく、巻き数が多かったり、コイル平均径が大きいとばね定数は小さくなる。

 

ばね定数の関連式

・ばね定数=加えた荷重÷伸び(縮み)量
・加えた荷重=伸び(縮み)量×ばね定数

 

基本的に押しつけ力10%UP程度なら、ばね定数を変えずに全長で調整。

既存のばねより、割増の押しつけ力を得ようとした場合、ばね定数は出来るだけ変えない方が良いです。

 

 

上記は、ある一定の高さにおいて、ばね定数の違う3本のばねがあります。基準100Nの押しつけ力はどれも同じですが、高さが変わると押しつけ力が変わります。その為に、既存のばねから押しつけ力を上げようとして、むやみにばね定数を変更するのは間違いだということになります。ストロークが大きく動く場合は十分考慮してください。見落としがちになるのが、数本のばねを利用する場合は、その変化が本数倍に効いてくることです。

 

若干のばね定数変化と、本数倍により痛い目にあったことがある

以前、上記と同じようなばねの押しつけ力割増のスプリング設計を行った事があります。

その時は、ばねを数本利用したユニットで、ストロークも少しであったのでばね定数を変えずにスプリングの全長伸ばしで対応しました。大変急いでいたために、発注も口頭で「0.6mm伸ばしで!」といった感じでスプリングを制作しました。

出来上がってきたばねは想定外の押しつけ力で10%アップ狙いが25%アップくらいまでになっていた。しかし、ばね定数の変更していないはずなのに、出来上がっていたものは押しつけ力で25%も上がっていました。原因は、スプリングメーカーさんに相談したことで発覚しました。ばね定数がばらついたのは、指定高さでの押しつけ力を指示していなかったからです。指定高さでの押しつけ力を指示していなかったので「成り行き」でスプリングが作られてしまったのです。その時のばね定数は、計画していたばね定数よりも大きいばね定数でした。そのあとに計算でもこれだけばね定数が違うことを確認しました。

ばね定数の計算は以下の通りです。

ばね定数=(横弾性係数×材料の線径^4)÷(8×有効巻き数×コイルの平均径^3)

このばね定数の計算式を見れば気づく人は気づくと思いますが、

 例>コイルの平均径:2.3mm
材料の線径  :0.5mm
有効巻き数  :8巻き
横弾性係数  :78500N/mm2

 

上記の場合、ばね定数を求めると

ばね定数=(78500×0.5^4)÷(8×8×2.3^3)=6.3N/mm

しかし、結局は許容差(製造誤差や線径のバラつき)を考慮すると

ばね定数=(78500×0.505^4)÷(8×8×2.2^3)=7.5N/mm

上記の様にばね定数が大きく違うことが分かりました。

 

※SWPB0.5の線径の寸法許容差はJISで「±0.008」の範囲内「+0.005」で作られてきた場合。

※平均径の許容差を「±0.15」とし「-0.1」でで作られてきた場合。

 

このように、ばね定数の差は十分起こりえます。これに本数倍になれば狙い値はまず狙えません。

 

ばね定数はあくまで想定の計算結果であって、実際は目的に合わせて調整してもらう。

これまでの内容から、ばね定数はちょっと慎重に管理しないといけないとわかると思います。ばね定数はあくまで計算値です。実際はスプリングメーカーさんに「指定高さでの荷重値」を指示して「平均径」であったり、線径のばらつきがあれば製造中に張力を検査し「調整」してもらう必要があります。

 

スプリングメーカーさんでは「指定高さでの荷重値」の考え方

私はこの一件で、スプリングメーカーに問い合わせたところ、指定高さ時の荷重±10%であると、製造側としてはありがたいようです。中には荷重の精度を求められる場合においては指定高さ時の荷重±5%の公差を求められる場合もあるそうです。

やはり公差は緩い方がいいですから。設計側でしっかり計算してできる限り緩い許容幅でスプリングを制作したら良いかと思います。

 

ばね定数の考え方(押しつけ力UPに関して)

・間違った考え×

スプリングに使っている材料も一緒だし、径も同じ。ばね定数が一緒なら全長変えて対応したらいいじゃん

 

・正しい考え○

スプリングに使っている材料も一緒で、径も同じだけど、ばね定数の違うものが出てきてしまうから指定高さ時の荷重を指示して調整してもらおう

以上です。

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