今日は 「シャフトやロッドに利用するセンタレス丸棒の種類や特徴」 のメモです。
機械設計では 加工を極力減らしてコストダウンを狙うため 規格販売されているみがき棒やセンタレス丸棒を利用 します。 この記事では、センタレスの丸棒について、 センタレス丸棒の種類や特徴をメモ しておきます。
センタレス丸棒
センタレス丸棒ですが、始めに理解しておく事があります。鉄系の丸棒が材料として売っている状態は以下の
- 黒皮材:鋼材の表面に熱間圧延時の酸化皮膜(黒色)の酸化鉄を残した状態
- みがき材:熱間圧延加工後に冷間圧延加工した(黒皮が無い)状態
- ピーリング材:ピーリングマシンで黒皮を旋削除去した状態
- センタレス材:センタレス研磨で仕上げした状態
という4つの状態の中にセンタレス材というのがあるんですが、このセンタレス丸棒は、研磨棒・研磨ロッドとも言われる事があります。センタレス丸棒の加工方法は、センタレス研磨ですのでセンターが無い状態で研磨すること・心なし研削とも呼ばれています。センタレス材の加工方法は
引用:ミクロン精密株式会社さん
「一直線上にない3点を円周とする円はただ一つだけ存在する」という定理を研削に適用している。
と、されています。このセンタレス丸棒の特徴としては
- 研磨のため外径が安定した寸法で仕上がっている
- 研磨による仕上げで曲がりが無い
- 使用する場所に合わせて面粗度がいくつか選択出来る
- 研磨工程があるので若干高い(が後工程はコストダウンできる)
- 円筒研削盤で不可能な長さでも入手可能。
このようになっています。
センタレス丸棒を購入して使う目的
我々、機械設計者がセンタレス丸棒を利用する目的は素材の段階で外径公差など出しておく事で、トータル費用を削減するなどが主な目的であるといえます。
みがき丸棒とセンタレス丸棒(研磨棒)の違い
補足になりますが、先ほどの材料の状態上記4種類の中で、みがき材の丸棒とセンタレス丸棒が比較される事があります。どちらを使うべきなのかは特徴を把握することで解決します。※以下、簡単に書きます
みがき材の丸棒の面粗度・外径公差
- 仕上げ方法:冷間圧延
- 外径公差:h9が一般的に流通している(と思う)
- 外周の面粗度:Ra0.4~0.9程度
※みがき材の外径公差h9は正確にはIT9という公差です。(h9と同じ領域)
センタレス丸棒の面粗度・外径公差
- 仕上げ方法:心なし研削
- 外径公差:一般的にh7、g6(圧入用のm6、p6など)が選択出来る
- 外周の面粗度:Ra1.6以下
みがき丸棒とセンタレス丸棒(研磨棒)の使い分け
このように、みがき材は外径公差がほぼh9になってしまうので、素材の状態で外径公差を選択する必要があれば、通常の引抜材よりも寸法精度、真円度に優れているセンタレス丸棒(研磨棒)を外径公差を選択し発注するほうがよいと思います。
重要な部分ですのでもう一度言いますが、素材の状態で外径公差を指定する場合にみがき材かセンタレスで選択してください。全体を旋削する予定なら素材からセンタレスを指定する必要は無いでしょう。加工屋さんに図面要求を満たす材料(みがきかセンタレスか)を相談して決めてもらうのも良いと思います。
また、他の方のブログでこんな記事がありました。「ステンレスみがき丸棒をSUS304-Dと表記して鋼材屋さんに発注したらh9の丸棒を入荷した話。」 こういった材料というのは選択肢が多いためか、認識をまちがえてしまいがちです(私も気をつけたいと思います)
【補足1】センタレス丸棒で一般的に利用される材質(普通径)
少し補足します。センタレス丸棒で普通径(φ3~φ30辺りまで)でよく利用・流通している材料は以下の通りです。
- S45C
- SUS303
- SUS304
【補足2】センタレス丸棒で一般的に利用される材質(小径:~φ5辺りまで)
センタレス丸棒で小径(φ0.5~φ5辺りまで)でよく利用・流通している材料は以下の通りです。
- SUJ2
- SKD11
- SKH51
- SUS304
- SUS440C
- 粉末ハイス鋼
以上です。