TRIZの手法39の技術特性についての説明

2016年9月16日




 

今日は TRIZにおける39の技術特性 についてのメモです。

 

TRIZの手法39の技術特性は「工学的矛盾解決マトリクス」で使える技術特性の定義で、 古くから 多くの発明は「矛盾」を解決することで成功してきました。 その矛盾は「Aを改善するとBが悪化する」などの単純な矛盾です。

 

それら「A」と「B」の定義を正しく理解する必要があります。今日はその「39の技術特性」の定義を出来る限り簡潔に説明します。

39の技術特性

使い方としては、上記「工学的矛盾解決マトリクス」で「Aを改善するとBが悪化する」を、該当するマス内にある番号、1~4個くらいの数字を発明内で行なえば矛盾を解決できる可能性が高いということです。

 

「工学的矛盾解決マトリクス」にある1~4個ある番号は「TRIZの手法40の発明原理」になります。どうぞご利用ください。

 

39の技術特性とその説明

1.移動物体の重量

重力場における物体の質量。物体を支持したり吊るしたりする時に働く力。

 

2.静止物体の重量

重力場における物体の質量。物体を支持したり吊るしたりする時に働く力、または物体が置いてある面にかかる力。

 

3.移動物体の長さ

任意の直線状の寸法であり、必ずしも最長のものとは限らない。

 

4.静止物体の長さ

同上

 

5.移動物体の面積

平面上の線で囲まれた部分により示される図形特性。物体により占有される表面の部分。あるいは、物体の内部または外部の表面積。

 

6.静止物体の面積

同上

 

7.移動物体の体積

物体が占める空間の体積。長方形の物体に対する (長さ)x(幅)x(高さ)、円柱に対する (高さ)x(面積) など。

 

8.静止物体の体積

同上

 

9.速度

物体の速さ。時間に対する処理または動作の割合。

 

10.力(強度)

力はシステム間の作用の尺度。ニュートン力学では (力)=(質量)x(加速度) であるが、TRIZでは、物体の状態を変えようとするいかなる作用も力とみなされる。

 

11.応力または圧力

単位面積当たりの力。張力も含まれる。

 

12.形状

システムの外形、外観。

 

13.物体の組成の安定性

システムが完全または無傷であること。システムを構成する要素の関係。摩耗、化学分解および分解などはすべて安定性を減少させる。また、エントロピーの増大は安定性の減少を意味する。

 

14.強度

物体が力により変形してしまうことに抵抗できる度合い。壊れ難さ。

 

15.移動物体の動作時間

物体が動作することのできる時間。耐用期間。平均故障間隔時間は動作時間の尺度。持続力。

 

16.静止物体の動作時間

同上

 

17.温度

物体やシステムの熱条件。熱容量など、温度の変化率に影響を与える他の熱パラメータも含められる。

 

18.輝度(照度)

単位面積あたりの光束。または、明るさ、光質など、システムの他の照度特性。

 

19.移動物体のエネルギー消費

物体が作業を行う能力の尺度。古典力学ではエネルギーは力と距離の積。このパラメータにはスーパーシステムから供給されるエネルギー(電気エネルギー、熱など)も含まれる。特定の作業を行うのに必要なエネルギー。

 

20.静止物体のエネルギー消費

同上

 

21.出力

作業が行われる、時間に対する割合。エネルギーを消費する割合。

 

22.エネルギー損失

行われている作業に寄与しないエネルギーの消費。パラメータ項目19を参照。エネルギー損失の削減にはエネルギー消費の改善とは異なるテクニックを要することがあるため別項目として設けられている。

 

23.物質損失

システムの材料、物質、部品またはサブシステムの、部分的または完全な、一時的また は永久的な損失。

 

24.情報損失

システムの、またはシステムによる、データまたはデータへのアクセスの、部分的または完全な、一時的または永久的な損失。芳香、感触などの知覚データを含む場合が多い。

 

25.時間損失

時間とは、ある活動の期間を指す。時間の無駄を改善するとは、その活動に要する時間を減らすことを意味する。「サイクルタイム削減」という表現がよく使われる。

 

26.物質の量

部分的または完全に、一時的または永久的に変えることのできる、システムの材料、物質、部品またはサブシステムの数または量。

 

27.信頼性

意図された機能を予測可能な方法と状態で遂行するシステムの能力。

 

28.測定精度

システムの特性に対する測定値と実際の値の近似度。測定誤差の削減により測定精度が上がる。

 

29.製造精度

システムまたは物体の実際の特性が仕様上のまたは要求された特性と合致する度合い。

 

30.物体が受ける有害要因

外部で発生した(有害)作用にシステムが影響を受ける度合い。

 

31.物体が発する有害要因

有害な作用とは物体またはシステムの機能の効率や品質を低下させる作用を指す。これら有害作用は物体やシステムにより、その動作の一環として生じる。

 

32.製造の容易性

物体/システムの製造や組み立てが容易、楽、簡単である度合い。

 

33.操作の容易性

単純性。大人数を要したり、操作に多数のステップが含まれていたり、特殊なツールが必要である場合、そのプロセスは容易とは言えない。「困難な」プロセスは生産性が低く、「容易な」プロセスは正しい操作を行いやすいので生産性が高い。

 

34.修理の容易性

システムの欠陥、故障、傷を修復する際の便利さ、快適さ、平易さ、時間などの品質特性。

 

35.適応性または融通性

システム/物体が外部の変化に対して前向きに反応する度合い。あるいは、多様な条件において複数の使い方のあるシステム。

 

36.装置の複雑度

システムの構成要素と要素間の作用の数および多様性。ユーザ自身もシステムの複雑さを増大する要素になり得る。システムをマスターする難易度はその複雑さの尺度となる。

 

37.検出と測定の困難度

複雑、高価、セットアップと使用に時間がかかる、構成要素間に複雑な関係がある、構成要素が干渉し合うというような測定・監視システムは何れも「検出と測定の困難さ」を示している。許容誤差範囲内に収めようとするとコストが増えてしまうのも測定が困難であることの表れである。

 

38.自動化のレベル(範囲)

人の介在無しにシステムまたは物体がその機能を果たす度合い。最低レベルの自動化では、手動で操作するツールが用いられる。中間的なレベルでは、人間がツールをプログラミングし、その動作を見守り、必要に応じて中断したりプログラムし直したりする。最も高いレベルでは、必要な動作を機械が感知し、自身をプログラミングし、自身の動作を監視する。

 

39.生産性

システムにより単位時間当たりに行われる機能または動作の数。ひとつの機能または動作に要する時間。単位時間当たりの出力、または出力ひとつに要する費用。

※移動物体:自力または外部からの力で空間内の位置を容易に変えることのできる物体。乗り物や携帯用に設計された物体がこの部類の典型。
※静止物体:自力または外部からの力で空間内の位置を変えない物体。物体が使用される状況を考えて判断する。

 

 

以上です。

 

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