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エンジニア不足の現実?元請、下請、孫請の関連

2017年11月28日

今日は「エンジニア不足の現実?元請、下請、孫請の関連」についてのメモです。ここ数年は特に地方のエンジニア不足が深刻です。そのエンジニア不足によりどんなことが現実に起きているのか、私の知る範囲、私の経験から設計者側からの視点で少し纏めてみようと思います。

 

エンジニア不足

発注者(優秀なエンジニアが揃う)

ここでいう発注者は大きく分けて2パターンあります。

  • 大手企業
  • 中小企業

発注するということは、外に出した方がメリットがあるから外に発注する。という簡単な理由が大半を占めると思います。上記二つの企業は、その発注方法に対して大きな違いがあります。その一つは「発注に慣れているか慣れていないか」という違いです。その慣れている(外注化の歴史がある)所は、仕様書が適切に発行され、元請け、下請けへと流れます。中小企業が、外注化する理由は大きく分けて二つあります。一つは社内のエンジニア不足により外注化せざるを得ない、もう一つは、あえて外注化を行い新しい考えなどを取り入れる目的です。

最近では、お客様の製品を生産する設備を、従来は社内のエンジニアが作っていたが、そのエンジニアが退職したりすることで社内にその設備を管理できる人が居なくなり、設備を外注化するパターンが増えて来ています。

今はまだ定年前の先輩エンジニアが在籍しているところも多いのですが、時間が経つにつれて社内で行なえなくなる業務が増えてきてますます外注化して来ると思います。

 

元請(エンジニア不足)

元請けとは、その仕事を直接受注するところになります。設備の設計などではメイン設備を作っているメーカーが元請けとなり、その周辺設備をさらに外注化(下請けへ)する場合が多いかと思います。また、最近では商社などが元請けとなることも多いかと思います。商社は幅広い部材集結が可能になりますので、発注側としては大きなメリットがあります。

しかし、元請けにはその請け負った仕事を適切に処理する能力が大きく問われます。発注側からの広い範囲の仕様を「詳細に仕分け仕様を作り振り分ける」必要があるのです。装置一つにしても大きく分けて機構と電気に別れますし、それら外注からの問い合わせへの対応、発注側への報連相などの業務が大半を占めます。

ここが大手企業外注化の理由があります。この業務の負荷とその後のリスクを軽減するために外注化を行ないます。単純なものほど外注への置き換えが進んでいます。ここで元請けにも良くできたエンジニアが必要になってきます。

  • 理解力
  • 交渉力(提案力)
  • 管理するマネジメント能力

です。地方ではこの元請け自体のエンジニア不足が深刻です。

 

下請と孫請け(エンジニア不足)

下請けとは、元請けから受け取った部分的な仕事を請け負う所です。一般的な機械設計会社や電気設計会社は、この下請けか孫請けの位置になります。部分要素に特化しているので、より確実・繊細な仕事が要求されます。また、下請け・孫請けに行けば行くほど「納期が細かく刻まれ納期に余裕が無い」現実を味わいます。

地方ではここのエンジニア不足もかなり深刻です。下請けや孫請けのエンジニアに要求されるスキルは

  • 理解力
  • 交渉力(提案力)
  • 成果物の品質を満足させる様々な技

です。

 

元請け・下請け、両方エンジニア不足のプロジェクトは絶望的

 

これ、こんな言い方したら怒られるかもしれないんですが、元請けと下請け両方出来るエンジニアが居ない場合のプロジェクトは絶望的な結果になります。

発注側は「結局コスト掛かっちゃったよ・・・」とい結末を迎えることになります。ここでいうコストはお金だけの話ではなく、トータルコストです。間違いないものが上がってくるのであれば立会いの回数も少なくて済むと思います。予算内で仕事を上げてもらうのは当たり前ですが、見えにくいコストが多く掛かってしまいます。

その理由は、先ほどエンジニアに求められるスキルの「理解力」と「交渉力」が不足していると良い品質のものが上がってこないですよね。それを見てINPUT情報を出した側の発注者から見ると「これじゃ駄目だよここは提案欲しかったなぁ」となってしまうわけです。

意外と発注者は知らない部分かと思うのですが、下に行けば行くほど発注者から出されるINPUT情報が薄れていきます。理由は簡単で、発注者から出されるINPUT情報は比較的広範囲の要求仕様に対し、下に行けばいくほど詳細な要求仕様が必要になります。その詳細な要求仕様の出し方が得意なところもあれば不得意な所もあります。エンジニア不足により仕様の詳細が「口頭」での連絡へと変化し、INPUTがあいまいになることが多く、最後まで届きずらくなっているのです。

そして仕様書と同等かそれ以上に大切なのが「打合せでの内容」、すなわち議事録になります。下請け、孫請けになればなるほどその議事録を見ることも少なくなるのと、言葉で聞いていないのでその議事録内の部分的内容の重要度も理解しづらいのです。

この現状を理解した上で、上下の情報を理解し、お互いに交渉し合えるエンジニアが今特に必要だと思います。「仕様書に書いてあるから」とか「元請けに問い合わせたけれど回答がないからそのままにしちゃった」とか、よく聞きます。そうせざるを得ないときもありますが・・・

そこが出来ないから決まった予算しかない中で、やり直しが多く、結果赤字の業務をせざるを得ない場合が多いのです。

上手く言いたいことが伝わればよいのですが、発注側はしっかりしているところは適切な予算を立てて発注している所が多いです。そもそも下請けを苦しめるつもりは無いわけで、その予算内で無駄を沢山作って結果儲からない仕事をしているというのが現実だと思います。

 

何が必要かって、実務の出来るエンジニアです。(まとめ)

この状況を打破しようとしたときに必要になるのは、仕事のやり方をしっている人です。

  • 仕様を理解できて、適切な理由をもって仕様変更を交渉できる
  • 発注側の無理な予算に適切に提案できる
  • 詳細仕様を起こし、下(孫)請け工数の適切な量が理解できる(元請け・下請け)
  • 仕様が理解でき、自分の工数見積りが出来、交渉できる(孫請け)

そして今育てていく必要があるのは

  • その仕事のやり方を覚えて実務で改善していく人

です。最近は他の会社さんの情報を頂く中で少し違和感を感じる事があります。それは「コンサルタント」だけで業務改善を行なおうとしている事です。確かに、今のエンジニア不足は深刻で、今のエンジニア不足が起きる前に現役で業務に当たっていた人がコンサルティングして会社の技術力を上げようとするのは良いと思いますが、それに頼っている会社さんも正直多いです。

【コンサルタント】

クライアントに解決策を示してその発展を助ける業務を行うこと

コンサルタントは発展を助ける業務です。 それについてくる人材が必要ですよね。ここもまた書いてしまうとお叱りを受けるかもしれませんが、社内に入り込んで根本的に解決しようとしてくれるコンサルタントも圧倒的に少ないです。

この深刻な状況において、表面だけ整えても全く意味が無いんですよね。ですから、コンサルタントの考えを実務で実現する人材が必要です。

  • 理解力
  • 交渉力(提案力)

コンサルタントさんたちは自分が出来てしまうので、結局発注側との交渉ごとをしてしまうケースが多いのです。これを現役のエンジニアで伸ばす必要があります。

 

最終的に何を伝えたかったかというと

 

最終的に何を伝えたかったというと、エンジニア不足により今地方ではとても大変なことになっているんですよ。変われる会社はもっと攻撃的に変わっていく必要があると思います。

 

以上です。