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【解説】電磁弁の基本的選定方法と使い方

2018年6月18日

 

今日は、設計初心者の方に向けて「電磁弁の基本的選定方法と使い方」をメモしてみたいと思います。

 

電磁弁の選定

電磁弁選定の難しさ

まず先に、電磁弁についての一般的な解釈ですが、はっきり言って

 

「電磁弁は種類が多過ぎてどれが答えかわかりずらいです。」

 

私自身もお客様ごとに、標準品として使用しているメーカーに合わせるなどの要求がありますし、装置ごとに使い方も変わりますので、よく頭がパニックになるんですよね。多くのメーカーの電磁弁選定手順は「必要流量」から製品を絞っていく形が一般的に多いと思います。まぁ、各電磁弁を扱うメーカーにしてみたら様々な使い方をするお客様がいるわけなので、特徴のある電磁弁が開発されて、結果的に今のカタログの様に、分厚くなっちゃうんですよね。

 

そしてどんどんカタログの見方も難しくなり、選定が簡単じゃなくなってきてるんです。

 

電磁弁の選定はを例えてみると、自動車みたいなもので

 

移動手段として自動車があるんですが、別に軽自動車でも駄目なことはないけど普通車のほうが長距離運転が楽だし安定するから「普通車にするべき」という基本的な選定と、その中でもトヨタは安定してるし故障が少ない、でも面白い車出しているのはやっちゃえ日産だね。・・・っていう感じで、

 

要するに、浅くでよいから全部知っていないと、自分が本当に欲しい電磁弁って、選定できないって事です。(車の例えは一例です)

 

さて、

 

このままでは、永遠選定しづらい事を永遠語ってしまいそうなので本題に入りますが、今日はとにかく基本的な電磁弁が探せるように、選定の基礎をメモしてみようと思います。細かい所(味付け部)は使用する各メーカーにお問い合わせください。

 

 

知っておくべき電磁弁の用語と意味

先ほどもいいましたが、多くのメーカーが「必要流量」から製品を絞っていく形が一般的に多いです。ですが、そこへ入ってしまう前に知しっておくべき事があります。それは電磁弁を選定する際に出てくる意味不明な用語の意味です。

それらが一体何を示しているのか、全てを知る必要はありませんが、それらが分かっていないと必要流量から選定に入った所でその先悩むことが多いんです。ですので、まず先に電磁弁の基本選定に必要な内容をここに纏めました。

 

 

2ポート、3ポート、4ポート、5ポートの違い

電磁弁の選定にあたり、カタログを開くと目にする「3ポート」とか「5ポート」とかのキーワード。これは電磁弁に空気が入ったり出たりするポートの数 であると考えてください。このポートは何種類あるかというと、

2ポート:1(P)、2(A)

 

 

3ポート:1(P)、2(A)、3(R)

 

4ポート:1(P)、2(B)、3(R)、4(A)

 

5ポート:1(P)、2(B)、3(R)、4(A)、5(R)

 

上記の形に分類されます。

 

ポート記号「P,A,B,R」意味

上記ポート番号の隣に書いてあるのが、電磁弁のポート記号になります。P,A,Bまでは大体のメーカーが同じ表記ですが、以降は各メーカーごとに記載文字が違ったりするので、それらは内容で理解すると良いと思います。

 

P:1次側供給
R:排出
A:(ONの時、電磁弁からの)供給
B:(ONの時、電磁弁への)戻り

 

などになります。

 

2位置と3位置の違い

ポート番号(ポート記号)は、電磁弁の2位置と、3位置にも関係があります。2位置とか3位置というのは言葉の通り、電磁弁の動作する位置が2つあるか、3つあるかの違い になります。

 

代表的な2位置は以下の通り。

 

 

代表的な3位置は以下の通り。

 

 

先ほどのポート記号と照らし合わせてもらうと理解が出来るかと思いますが、 1(P)供給の行き先や排気の出口が、電磁弁の動作(位置)により変わるのがポイント です。

 

そしてこれを電流で切り替えるのが、電磁弁です。  機械に利用するシリンダーを、期待通りの動作をさせる為に、電磁弁の中身が重要になってきます。

 

補足:クローズドセンタ、エキゾーストセンタとは?

【クローズドセンタ】
バルブ非通電時にAとBのポートが閉鎖、停電時の簡易的な中間停止に使用、再起動時はソレノイド駆動でバルブが動く。

【エキゾーストセンタ】
バルブ非通電時にAとBのポートが排気になるためシリンダを手で動かすことが可能、緊急停止等に使用、再起動時はソレノイド駆動でバルブが動く。

 

 

直動式とパイロット式の違い

その電磁弁の動作方式も大きく分けて2つあります。直動式電磁弁は、電磁弁内部の可動するコアによって、メイン通路をメカ的に開閉させるタイプの電磁弁です。また、これをソレノイドバルブと言います。

 

「ソレノイドバルブ=直動式」ですね。

 

パイロット式の電磁弁は、エアなどの流体圧力差を利用し駆動させるタイプの電磁弁です。パイロット式には内部パイロットと外部パイロットが存在しますが、ここではそこまで深く知識は必要ありません。

 

 

シングルソレノイドとダブルソレノイドについて

ここでは、2位置のシングルソレノイドとダブルソレノイドの見分け方と使い分けについて説明します。

 

 

「ソレノイドバルブ=直動式」だったのでもうお分かりかと思いますが、シングルの場合は片方へ動かすときに電流を流しソレノイドを駆動します。ダブルソレノイドはそれらが両方についていて、動かしたいときにソレノイドをそれぞれ個別に駆動します。

 

シングルソレノイドの特徴は、片方を駆動して電流を遮断するともとに戻ります。対するダブルソレノイドはその位置に切り替わったまま保持しています。

 

3位置でいうと「3位置エキゾーストセンタ」という電磁弁がありますが、例えばこのような場合、

 

 

両端ソレノイドで駆動するけれど切ったら(非通電状態いなったら)センタに戻る という物もありますので用途に合わせる必要があります。

 

 

「N.O」「N.C」の違い

さて、次にきますが、上記までで2位置と3位置あること、そしてそれらを駆動する方法はシングルソレノイドとダブルソレノイドが有るということもご理解いただけたかと思います。

もう1点選定のポイントがあります。

それは「動作する前にどの位置に居るのか」ということです。電磁弁のカタログを見ると「N.C弁」とか「N.O弁」などの記載や、ノーマルクローズとかノーマルオープンという記載があります。これは電磁弁の初期段階(ソレノイド駆動前)の状態を表しています。

ダブルソレノイドなどではその位置を保持する特徴がありますが、シングルソレノイドの場合、電流遮断時に元の位置まで戻っちゃいますので、戻った状態なオープンなのかクローズなのかは確認が必要です。

 

 

直接配管とベース配管の違い

さぁ、いよいよ選定の中盤に差し掛かりました。

 

「電磁弁って本当・・・選定が大変ですね・・・。」

 

直接配管とベース配管ですが、これは名前の通り、直接配管は電磁弁の本体にポートが設けられているもので、直接電磁弁に配管するタイプです。ベース配管というのは「マニホールド」や「サブプレート」と呼ばれるベースに「ポートのない電磁弁」を取付けて使用するタイプのセット品になります。

※中には直接配管型の電磁弁にマニホールドの役目をするエア通路のあいたカセットタイプもあります。マニホールドタイプの使い方なのに、マニホールドがないので、設備内が狭い・取付場所が低い場合や、連数を増やしたりができるので便利です。

 

 

以外と大切な、弾性体シールとメタルシールの違い

電磁弁の選定で「弾性体」と「メタル」シールというキーワードが出てきますが、弾性体はパッキンを使っているのでエア漏れが少なく、メタルは長寿命になります。用途に合わせて選ぶと良いと思います。

 

使用予定のエアシリンダと予定している駆動速度から範囲を絞り込む。

ようやくここまで来ました。ここからが一般的なメーカーが提供している選定の手順その1になります。笑

使用予定のエアシリンダを、予定している駆動速度で動かした時に「エアの供給が間に合う電磁弁を選ぶ」のがここでの選定作業となります。「予定速度と供給が間に合う電磁弁」は、2要素同時に検討しなければいけません。

 

その理由は、

 

例えば、φ25のシリンダを100mm/s以下で使う場合Aという電磁弁で満足することが確認できても、300mm/sでは満足しない場合があるのです。その速度に対して供給が追いつかないという捉え方でよいと思います。逆に、Aという電磁弁を利用し、エアシリンダのサイズアップを行なった場合、駆動速度を遅くなる方向へ調整して供給を満足させる方法もあります。・・・・言ってる意味伝わりますかね・・・?

 

その後の設計変更の可能性や、能力アップなどを考えると電磁弁も余裕を見た供給量を持っている必要があります。

 

一応、機構選定はこれで終わって、後は味付け部分です

いやぁ・・・長いことお付き合いいただきまして有難うございました。

以上までの項目、使い方を選んで、取り付け方を選んで、流量の間に合う電磁弁を探す所までこれましたね。

電磁弁も、設計における機構の一つですので、使い方とそれに沿って動く物であれば機械は動きます。 しかし、この後の味付け部分も重要です。味付け部分にはどんなものがあるかというと、例えば通信ネットワーク環境に入り込める電磁弁などです。

ここも色々あります。ただ、これは設計士だけで決められる内容ではなく、お客様、電気屋さんなどの意見も聞きながら決める必要があります。 そうやってようやく電磁弁が決まります。(毎回選定が辛い・・・・)

 

最後に

今回は、電磁弁の選定がしやすくなるように違いなどを纏めてみましたが、最後に1点便利アイテムの紹介です。

例えば3ポートの電磁弁を使って1対でシリンダを駆動するものが2セットある場合、普通に考えれば「3ポート電磁弁1個+シリンダー1個が2セット」となりますが、デュアル3ポートの電磁弁を使うと「デュアル3ポート電磁弁1個+シリンダー2個」という使い方も出来ますので、各メーカーが主有する特色に有る電磁弁を選定してみてください。

 

以上です。

 

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