今日は「IAIのロボシリンダで出来る基本的な動作」についてのメモです。
私は主に、生産設備(製造ライン・組立ライン)や、専用加工機の設計などがメインですが、いずれもIAIのロボシリンダを使う事が多いです。
押し付けたり引っ張ったり、ピッチ動作でワークを押し出したりと、エアシリンダーだと構造が複雑になる部分をロボシリンダーではシンプルな構造で出来るというメリットがあります。 また、多品種対応の設備でも大きな効果を発揮します。ロボシリンダを単純にエアシリンダーの置き換えだけに利用するのは勿体ないです。
そこで、今日はロボシリンダの出来る基本的な動作や出来る設定をメモしておきます。 機械設計初心者の方は、是非確認しておいて下さい。
IAIのロボシリンダで出来ること
ロボシリンダの出来る動作
ロボシリンダの出来る基本動作は以下3つです。
- 繰り返し精度 ±0.02mm の位置決め動作
- 原点からの位置もしくは他位置を起点にした指定距離の移動、ピッチ動作
⇒インクリメンタル移動で、無制限にピッチ送りが可能 - ワークなどを押付けた状態で保持する押付け動作
参考:【初心者向け】モーター選定の要素インクリメンタルとアブソリュートの違い
ロボシリンダで出来る調整・設定
ロボシリンダで出来る調整及び設定は以下の通りです。
- 設定された範囲にアクチュエータが進入したときに信号を出力できる(ゾーン出力)
⇒中間地点でのセンサ代わりや到達判定に利用できる - スライダ移動中に外部信号によって減速停止させる入力が出来る(一時停止入力)
⇒インターロックなどで利用可能 - 移動中に、速度や位置変更の設定ができる
- 加速度及び減速度の個別設定が出来る
【補足】動作のスムーズさと動作パターンの設定
エアシリンダーは基本的に急発進・急停止という動作となりますが、ロボシリンダは加・減速を調整できるので動作をスムーズに行えるメリットがあります。
- 速度は 1㎜/s 刻みで設定が可能
- 加速度は 1/100G 刻みで設定が可能
つまり、ワークなどを搬送(押出し)する場合など速いのにスムーズな動作(振動を減らしたり)できるのでサイクルタイムの短縮に大きな効果を発揮しますね。 また、ロボシリンダは一般で言う「品種切替」にも、動作の設定をすることで対応できます。 エアシリンダーのように段取り替えの際にスピコン調整し直すこともなくなります。
最後に
IAIのロボシリンダは価格的にも安いですし、電力量もエアシリンダーの1/5と言われています。
我々設計者は基本的にエンドユーザーの指定を受けることも多いのですが、場合によってはこちらからの提案も必要ですので、IAIのロボシリンダに限らず他のメーカーの特色も把握しておきたい所ですね。
以上です。