今日は「LMガイドの走行距離寿命と時間寿命計算方法」のメモです。
LMガイドの寿命計算をする場合、以下の計算式を参考にLMガイドの寿命計算を行ってください。またこの計算式は「THKカタログ」に記載されている物をまとめたものです。そして、与圧を考慮しない場合においての計算式になります。
ここで一言、 そもそも寿命って何か? なぜ見る必要があるのか って事なんですが、例えばTHKさんで言う寿命の定義は以下の通り。
引用:THK(カタログ:定格寿命の算出より)
LMガイドの寿命は同じように製作されたものを同一運転条件で使用してもバラツキがあります。このためLMガイドの寿命を求める目安として、つぎのように定義された定格寿命を使用します。定格寿命とは、一群の同じLMガイドを同じ条件で個々に運動させたとき、そのうちの90%がフレーキング(金属表面のうろこ状のはく離)をおこすことなく到達できる総走行距離をいいます。
ミスミさんではこのように定義づけされています。
引用:ミスミ(リニアガイドの寿命計算より)
リニアガイドが荷重を受けて直線往復運動をする場合には、たえず繰返し応力が転動体(鋼球)や転送面(レール)に作用しますので、材料の疲れによるフレーキングと呼ばれる、うろこ状の損傷が現れます。この最初のフレーキングが発生するまでの総走行距離を、リニアガイドの寿命といいます。
定格寿命とは、一群の同じリニアガイドを、同じ条件で個々に走行させたとき、そのうちの90%がフレーキングを起こすことなく到達できる総走行距離をいいます。
この フレーキング(金属表面のうろこ状のはく離)によって動作不良を起こす ので、我々設計者はお客様の求める寿命期間において安定して動作できるLMガイドを提供し、異常な荷重がガイドに掛からないように上手く荷重を分配したりするなどで、寿命を延ばす努力が必要です。
LMガイドの定格寿命は 90%がフレーキングを起こさない とあるので、計算寿命内であっても確実に大丈夫とは言えない事と、組立やLM取付面の精度によって異常荷重がかかる場合もあるので余裕を見て程よいサイズにしてください。 それでは、LMガイドの寿命計算の方法をメモしていきます。
LMガイドの寿命計算方法
では、LMガイドの寿命計算の計算方法をメモしていきますが、前提条件があります。 それは
という事です。 また、LMガイドの寿命計算を行うにあたり、LMガイドの種類によって計算方法も違いますので、ここの選択を間違えないように寿命計算してください。
- ボールを利用したLMガイド
- オイルフリーLMガイド
- ローラーを利用したLMガイド
ボールを使用したLMガイドの定格寿命計算式
ボールを使用したLMガイドの定格寿命を求めるためには以下の項目が必要です。これら係数はLMガイドの型式などで変わってくる部分となるので、それら選定されたLMガイドのもつ能力で寿命が変わってきます。
L :定格寿命 (km)
C :基本動定格荷重 (N)←ここは注意してカタログの値を参考にしてください
P C :計算荷重(N)
f H :硬さ係数(LMガイドの一般的係数=1.0)
f T :温度係数(100℃以下での使用=1.0 150℃=0.9 200℃=0.7)
f C :接触係数(通常使用=1.0 ブロック2個密着使用=0.8)
f W :荷重係数(V≦0.25m/s=1.0 0.25<V≦1m/s=1.2 1<V≦2m/s=1.5 V>2m/s=2.0)
寿命計算は以下の計算式を参考にしてください。
引用:THKのボールねじカタログにある定格荷重の記号「Ca」と「C0a」について
【補足】LMガイドの定格荷重の「C」及び「C0」呼び方
ちなみにLKガイドでの基本定格荷重の呼び方は、
- C:基本動定格荷重(N)
- C0:基本静定格荷重(N)
ボールねじと同じように「基本動定格荷重 < 基本静定格荷重」となります。
オイルフリーLMガイドの定格寿命計算式
オイルフリーLMガイドの定格寿命を求めるためには以下の項目が必要です。
L :定格寿命 (km)
F 0 :許容荷重(N)
P C :計算荷重(N)
f W :荷重係数(V≦0.25m/s=1.0 0.25<V≦1m/s=1.2 1<V≦2m/s=1.5 V>2m/s=2.0)
寿命計算は以下の計算式を参考にしてください。
ローラーを使用したLMガイドの定格寿命計算式
ローラーを使用したLMガイドの定格寿命を求めるためには以下の項目が必要です。
L :定格寿命 (km)
C :基本動定格荷重 (N)
P C :計算荷重 (N)
f H :硬さ係数(LMガイドの一般的係数=1.0)
f T :温度係数(100℃以下での使用=1.0 150℃=0.9 200℃=0.7)
f C :接触係数(通常使用=1.0 ブロック2個密着使用=0.8)
f W :荷重係数(V≦0.25m/s=1.0 0.25<V≦1m/s=1.2 1<V≦2m/s=1.5 V>2m/s=2.0)
寿命計算は以下の計算式を参考にしてください。
寿命時間の計算方法
上記の各定格寿命(L)が求められると、ストローク長さと往復回数が一定の場合において寿命時間は以下の計算式により求め
られます。
Lh :寿命時間 (h)
Ls :ストローク長さ (mm)
n 1 :毎分往復回数 (min -1 )
計算エクセルシートのダウンロード
ここではLMガイドの走行距離寿命と時間寿命計算を行えるエクセルシートをダウンロードできます。
このエクセルシートは上記4パターンの計算ができるようになっています。自由にカスタマイズしてご利用ください。各係数においての詳細はTHK様のカタログでご確認ください。(エクセルシート内にも記載しています。)
LMガイドの走行距離寿命と時間寿命計算方法_191211
以上です。
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