【計算書付き】圧縮スプリングの基本設計及び選定の目安

 

今日は、圧縮スプリングを初めて設計する方に向けた「圧縮スプリングの基本設計及び選定の目安」についてのメモです。

 

市販されている圧縮スプリングはサイズや仕様が豊富 で、中でも私達FA機械設計者が扱う圧縮スプリングは、比較的小型のものを機械の仕様に合わせて購入する場合が多いです。

 

そして、圧縮スプリングはバリエーションが豊富なので 設計や選定においてはどこから手を付ければ良いかわからず、特に選定初心者の方は時間が掛かると思います。 私も、頻繁に設計・選定・購入しないので次回購入する時の選定に時間が掛かってしまいす。 書籍・WEBにある圧縮スプリングの計算は、基本的に 試しに何か数値を入れてその計算結果(許容範囲に入っているかなど)の評価で微調整していくのが殆どです。 専門用語も多いですし、初心者の方にとって圧縮スプリングの設計はハードルが高いと思います。

 

そこで、今日は 欲しい仕様を入力するだけでおおよそのスプリング寸法がわかり、その目安を元に選定出来る計算書をシェア しながら、初心者の方でもわかりやすい説明をしていこうと思います。 どうぞご確認ください。




圧縮スプリングの設計と選定方法

それでは早速、圧縮スプリングの計算方法及び選定するために必要な知識をメモしていきますので、必要な方は先に資料(エクセル計算書)をダウンロードして一緒にご確認ください。

 

動的使用・静的使用などの細かい部分は含んでおらずシンプルな計算書ですので、初めてスプリングを設計する方でも把握しやすい計算シートになっていると思います。

 

 

圧縮スプリングの設計にあたり知っておくべき各項目と理由

圧縮スプリングは 設計の自由度が高いので味付けの変わった設計が容易に多く設計出来る のですが、 出来上がったスプリングは以下の状態が良いとされている指標がある ので、それら項目と理由をメモします。

 

①縦横比の理想は0.8〜4に収まるようにする

縦横比とは「縦横比=自由長 / 中心径」で求められます。

出来上がった圧縮スプリングの縦横比は0.8-4.0以下が推奨とされています。 0.8以下は有効巻き数が確保できずばね特性のバラつきが大きくなる、そして4.0以上はばねの座屈を考慮した案内が別途必要になるためです。(ガイドを利用する場合は超えても良いです)

 

②ばねの周回ピッチは0.5D以下

ピッチが0.5D(0.5×平均径D)を超えると 荷重の増加に従いコイル平均径が変化してしまう ので0.5D以下が推奨されています。

 

③ばねの使用領域Rは20~80%に収まるようにする

圧縮スプリングの可動範囲MAXとMINは、 縮んでいない自由長(MAX) と、 目いっぱい縮めた密着長(MIN) になります。 ばねの使用領域というのは、自由長と密着長(全たわみ)の間で実際に使用する位置が、全たわみに対して20~80%内に収まるようにする必要があります。

 

④ばね指数は4~22の範囲になるようにする

ばね指数とは ばね平均径は線径の何倍か という関係を数値で表したものです。 このばね指数は4~22の範囲内で設計することが推奨されています。ばね指数が低いものは線径が割合的に太いので弾力のある硬いバネで、ばね指数の高いものは割合的に線径が細くやわらかいフワフワしたばねになります。

 

ばね指数の違いによる設計に関わる傾向は以下の通りです。

 

  • ばね指数が低すぎる:ばね定数が高くなる傾向にある、折損しやすい
  • ばね指数が高すぎる:ばね定数が低くなる傾向にある、変形しやすい

 

実際に圧縮スプリングを設計してみる

上記の目安を元に計算すると、 実際に利用したいセット高さとその時に押し付ける力の2点の情報があれば、圧縮スプリングの大よその形が見えてきます。

 

※計算書左側の青枠部分に入力すると、下の緑枠内に仮計算のスプリング寸法が出てきます。 そして、今回シェアする計算書は、緑枠内が以下の状態になるように目安の計算をしています。

 

  • 自由長H0:縦横比を「3」として計算
  • ピッチP:平均径×0.4
  • その他:外径はセット高さの1.75倍で計算

 

また、固定の値と選択の値は以下の通りです。

 

  • 横弾性係数G:78500N/mm2 で固定
  • 線径d:市販されているスプリングの線径から選択

 

です。

 

参考記事:スプリングのばね定数計算に出てくるSWPA、SWPBの横弾性係数について

 

この仮計算では、部分的に仮値を入れて計算しているので 仮に計算されるばね定数と、実際に想定されるばね定数に差ができます。 その為、最後に 線径を選択・調整して実際に製作が可能で、狙った仕様の圧縮スプリング寸法を計算します。 具体的には 仮値におけるばね定数 と 実際に想定されるばね定数 が最も近くなるように調整します。 計算書ではここの差を±20%で判断しています。(20%は私の設定です)

 

また、初期の入力2項目は極端な値で計算をすると NG判定が出る項目もあります。 もちろん上記の設定は標準設定扱いで、この計算シートを利用していく上で 好みが出てくると思うのでアレンジして使ってください。 (例:ばね定数高めが好き → 縦横比を3から2.75に下げてみる など。)

 

 

市販されているスプリングを選定し評価する

さて、目安寸法がわかったので次に市販されている圧縮スプリングの中から目安寸法に近いものを選定するか、新規で製作します。

 

先に選定する場合についてメモします。 ここでは皆さんがよく利用しているMISUMIでの選定方法を代表でメモします。

  1. 材質を決める※計算書で入力した材料を選択します ⇒特に指定が無ければSWPBで良いと思います。
  2. 許容荷重(範囲指定)(N) を選択し、絞り込む
  3. 許容荷重 P2(N)が 目安計算の値より大きいものを全て選択 する
  4. 許容荷重時高さ H2(mm)が 近くて目安計算よりも低いもの(-2mm程度低いもの)を全て選択 して絞り込む
  5. コイル外径 OD(φ)が外径D2に近いもの(±1mm程度)もしくは最も近いものか前後1づつを選択し、絞り込む
  6. ばね定数 k(N/mm)が最も近いものを選択し、絞り込む
  7. この時点で1型式に絞られなければ、線径 d(φ)が最も近いものを選択し確定します。

 

 

最後に、選定したスプリングが使えるものか、計算シートに入力し、応力など含めて実際に使えるか判断します。(応力に関してはシート2枚目に許容がわかるグラフを貼っています)

 

この選定で目安とかけ離れている場合は、スプリングを新規で製作するか、その市販品が使えるように設計側で調整する必要があります。

 

新規でスプリングを製作する

次に、新規でスプリングを作る場合の説明ですが、新規でスプリングを設計する際も、購入品と同じように入力していきますが、基本的に左で検討している寸法や巻き数そのままでOKです。 

 

最後に

この圧縮スプリングの簡易計算は 繰り返し荷重で使用される場合(動荷重) を織り込んでいないため、動荷重で利用される場合は必ずスプリングメーカーに選定したばねが利用できるかご確認ください。

 

最後に、改めて計算シートを貼っておきます。

 

以上です。

 

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