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MS(マージンオブセーフティ)とは

2016年2月25日

今日は設計における 「MS(マージンオブセーフティ)」 についてのメモです。

 

お客様から、設計するシステムの「MS(マージンオブセーフティ)」を求められる場合があります。 その際の解釈と「MS(マージンオブセーフティ)」の計算方法についてメモしておきます。

MS(マージンオブセーフティ)とは

MS(マージンオブセーフティ)とは 安全余裕 を意味します。

これは、確実性の極めて高い環境において MS=0以上の場合は安全であるといえるもの です。

 

 

安全率とマージンは違う

安全率 とは、システムの破壊で正常に作動しなくなる最小の負荷と、予測されるシステムへの最大の負荷との比 です。

 

例えば、ある部品の耐荷重が100だとして、100の力を加えれば「安全率=1」となり、これは安全を考慮していないという考えになります。

 

マージンは、安全率の同義語として使われることがありますが、安全率から「1」を引いた余裕部分をマージンといいます。

 

その為、マージンは、安全率の同義語として使われることがありますがが全く別の考えとなります。

 

 

 

MS(マージンオブセーフティ)の計算方法

MS=設計終極荷重÷予想される最大荷重-1>0

※設計終極荷重=予測される最大荷重×安全係数(状況に応じて1~1.2程度)

 

 

 

そもそも安全率はどうして必要だったのか。

設計時に設定される安全率とは、強度の不確実性、負荷の不確実性が存在するために設定されるもの で、設計において 想定される「不確実性」が大きい物ほど安全率(何倍)を取る必要があります。(不確実性とは、材質の経年劣化や環境の違いや、想定外の使われ方をされるなどという確実性に掛けていること。)

 

よって、安全率の高い物(危険度の高い物)は大げさな設計になる のです。

 

また、 安全率はシステムにおいて危険度の高い要素に対して設定であるので、必ずしも安全性が高いことを意味するものではない のですが、一般的に安全率は、直接的に人命に関わるような部材は安全率も大きめに取られている場合が多いですし、特定のカテゴリにおいては法律でも決まっている場合もあります。

 

しかし、航空宇宙などでは安全率が1.2倍±5%程度と、極めて低くされています。

 

これは航空宇宙系のシステムにおいて、安全のための設備や余裕がそのまま機体重量に直結することで経済性の悪化につながるため なのです。

 

それができるのは徹底した設計、検証、品質管理が行われ、また整備に多くの時間をかけることができるために可能となります。(参考:宇宙機器に行なわれるQTやATレベルの試験とは

 

以上です。